半導体のはなし
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2023.08.07

「導体と絶縁体」が電気を通す・通さない理由!「半導体」と呼ばれる理由や違いとは?!

半導体と導体イメージ

「導体」「絶縁体」「半導体」、それぞれの性質やなぜそう呼ばれているのかには理由があります。皆さんも感じているこの疑問について、分かりやすく簡単に解説します。

はじめに

「半導体」は、電気を通す「導体」と電気を通さない「絶縁体」、この2つの中間性質を持っています。

しかし、どうして「導体」は電気を通すことができ、「絶縁体」は電気を通さないのでしょう。

なんとなくわかっているようで、なかなか説明は難しく、この点について疑問に感じている人も多いのではでしょうか。

そこで今回は、「導体」が電気を通す理由や「絶縁体」が電気を通さない理由、併せて「半導体」との違いについても簡単に解説していきます。

また本記事では、自由電子や電気伝導率、電気抵抗など、中学の授業で教わった懐かしい電気の話などもありますので、ぜひいっしょに学んでいきましょう。

「導体」電気を通す理由

「導体」が電気を通す理由は、自由電子の数の多さに関係しています。

導体の代表的なものと言えば主に金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)などがあげられ、これらは自由電子の数が多い物質です。自由電子とは、原子に束縛を受けていない電子のことであり、電気の運び手として物質内へと電気を流しています。

では電気がどのように流れるのか、銅線を例にとり一緒に見ていきましょう。(※銅線に電池をつないだ場合)

  1. 電池は電気を押し流す力があるため、その力を利用し金属の中の自由電子が一斉に動きまわる
  2. 自由電子が電池のマイナス(-)からプラス(+)の方向へ動く

自由電子は、マイナス(-)の電子を持っているためプラス(+)側へ引っ張られるようにして移動します。自由電子の数が多ければ多いほど、電気の流れは良くなるというわけです。

また導体の特徴として、電気伝導率が高いことがあげられます。

電気伝導率とは、電気伝導や導電率、電導度とも呼ばれ、物質中において電気がどの程度通しやすいかを示した数値であり、物質によっても数値が大きく異なります。

上記の物質を電気伝導率の順番に並べてみると、①銀(Ag)②銅(Cu)③金(Au)の順番となり、特に銅(Cu)は柔らかく、加工のしやすさなどから調理道具や家電製品など幅広く使用されています。

電子イメージ

「絶縁体」電気を通さない理由

「絶縁体」が電気を通さない理由にも、自由電子の数が影響しています。絶縁体の代表的なものと言えば主にガラス、ゴム、プラスチックなどがあげられ、「導体」と異なり電子が束縛され電気の運び手がいない状態となります。電気を運ぶ自由電子がいなければ、電気は流れることはありません。そのため、電気を安全に使用する場所や感電防止などに使用されています。

しかし絶縁体の限界地以上の電圧をかけた場合、「絶縁破壊」を起こし電気が流れます。絶縁破壊とは、物質の中にあるわずかな自由電子を、高電圧によって飛び出させます。その弾みで飛び出した自由電子がまたさらに別の原子に衝突、これを繰り返すことで電気が流れます。

雷も同じく、絶縁破壊の現象によるものです。絶縁体である空気は、電気を通すことはありませんが高電圧が加えられたことによって、雲から地面へ電気が流れます。この時、電気が流れる方向は、導体と同じくマイナス(-)からプラス(+)の方向へと流れていきます。

「半導体」と呼ばれている理由や違い

「半導体」とは、導体の性質を持ちながら絶縁体の性質も兼ね備えている、言い換えると半分が導体で、半分が絶縁体という性質を持つことから、「半導体」と呼ばれています。

また、導体と絶縁体との違いとして電気抵抗率があります。電気抵抗率とは、電気がどれだけ通しにくいかを表す値のことであり、半導体は温度変化によって電気の抵抗率が変わります。しかし導体である金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)などは電気を通しやすく、抵抗率も低くなります。一方絶縁体であるガラス、ゴム、プラスチックなどは電気を通しやすく抵抗率が高くなるため、違いとしてあげられます。

この性質を活かすことで次のようなことができるようになります。

①電気を光に変換できる 

②光を電気に変換できる

③一定の方向に電気を流すことができる

④電気のON/OFFの切り替えができる

少し変わった性質を持つ半導体だからこそ、複雑な動きに対応することができスマートフォンやパソコン、エアコンの温度センサー、通信などの社会インフラと幅広い分野で活用され、私たちの暮らしを支えてくれているのです。

社会インフライメージ

まとめ

今回は「導体」が電気を通す理由、「絶縁体」が電気を通さない理由、「半導体」と呼ばれている理由や違いを簡単にわかりやすく解説いたしました。

・「導体」が電気を通す理由・・・自由電子の数が多く電気を運んでいたから

・「絶縁体」が電気を通さない理由・・・自由電子が束縛され電気を運ぶことができない状態だから

・「半導体」と呼ばれている理由・・・導体と絶縁体を同じように持っているから

導体、絶縁体、半導体をそれぞれ調べてみると、こういうことだったのか!と改めて知ることができ、それと同時に、中学で学んだ理科や社会を思い出された人も中にはいたのではないでしょうか。身近な半導体、ぜひ探してみてください。