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2024.03.26

CADオペレーターとは?仕事内容・平均年収・キャリアパスを解説!

CADオペレーターは、ものづくりの現場に欠かせない職業です。当記事では、CADオペレーターが担う仕事の概要から年収、将来性、やりがいまで徹底解説しています。ものづくりに興味がある方やCADに触れた経験を生かしたい方は、ぜひご覧ください。

CADオペレーターは、CADを駆使してさまざまな図面を作成し、設計者を助ける専門職です。自動車やアパレルをはじめとした多岐にわたる業界で活躍するこの職業は、ものづくりの現場に欠かせません。しかし、CADオペレーターの具体的な仕事の内容については、よく知らない方も多いのではないでしょうか。

当記事では、CADオペレーターが担う仕事の概要から年収、将来性、さらにはやりがいといった面まで広く解説します。ものづくりに興味がある方、CADに触れた経験を生かしたい方は、ぜひお役立てください。

CADオペレーターとは?

CADで機械の図面を作成している画像

CADオペレーターとは、CADを用いて、さまざまな業界で必要とされる設計図や図面を作成・修正する専門職です。設計者からの指示に基づき、建築・土木・機械・電気製品などの図面作成を担当します。設計図の精度が製品の品質に直結するため、CADオペレーターの役割は非常に重要です。

そもそもCADとは、「Computer Aided Design(コンピュータ支援設計)」の略称で、コンピュータを使用してデザインや設計を行うソフトウェアの総称です。

CADには平面図を作成する2次元CADと立体図を描く3次元CADがあり、業界によって使用されるソフトウェアの種類が異なります。分野ごとに特化した専用のCADソフトがあるほか、自社専用のソフトを使用する企業も少なくありません。

業界ごとに、求められる役割が異なるのがCADオペレーターです。例えば、建築業界では設計図や完成予想図を作成し、工事費用の見積もりや材料調達のための重要な情報源となります。機械設計では、試作品や金型の作成前の形状検討や修正、加工情報の追加を行い、設計から製造までの一貫したデータシステムに貢献する存在です。また、電気・電子系では、回路図の製図を主に担当します。

設計者の思い描くアイデアを図面に落とし込むCADオペレーターは、製品開発の初期段階から最終製品に至るまでのプロセスにおいて、不可欠な存在です。

CADオペレーターとCAD設計士の違い

CADオペレーターと混同されやすい職種としてCAD設計士がありますが、双方の果たす役割は異なります。CADオペレーターは、設計者の指示やできあがった設計図に基づいてCADソフトを使用し、図面やデザインの作成・修正を行うサポート職です。

一方、CAD設計士はCADをツールとして使用し、設計そのものを行う専門職です。建築や機械などの分野で、安全性や環境面、コストを考慮しながら設計を進めるため、建築学や建築法規などの専門的な知識が求められます。

CADオペレーターの仕事内容

ウイルテック、CADオペレーターの女性従業員

CADオペレーターの仕事は、設計補助が中心です。設計者やデザイナーの指示に基づき、CADソフトを駆使して設計のアイデアを形にする重要な役割を担っています。CADオペレーターが主に担う仕事内容は、以下の3つです。

●製図

CADオペレーターの主要な業務は製図です。設計者が描いたラフスケッチなどを基に、CADソフトを使用して正確な図面に仕上げます。建築・機械・電気など、分野に応じて使用するCADが異なるため、希望する業界があるなら該当するソフトのスキルを身につけておきましょう。製図の正確性がプロジェクトの成功に直結するため、細部にわたる注意と精密さ、そしてCADソフトの熟練した操作能力が求められます。

●製図データの修正

設計過程で製図データの修正や変更が必要になるケースは珍しくありません。CADオペレーターは、設計者からのフィードバックを受けて、図面を修正します。小さな変更が全体に影響を及ぼすこともあるため、細心の注意を払いながら作業を進めなければなりません。このプロセスは設計の精度を高め、最終的な製品の品質向上に寄与します。

●製図データの管理

製図データの管理も、CADオペレーターの重要な業務です。データの紛失や破損を防ぐため、小まめにバックアップを取り、管理します。製図データはプロジェクトの関係者間で共有されることが多いため、アクセス管理やデータの整理も行います。製図データの適切な管理は、プロジェクトのスムーズな進行と情報の正確な伝達を保証するために不可欠です。

これらの業務を通じて、CADオペレーターは設計プロセスの効率化と品質向上に貢献します。専門的なCADスキルだけでなく、コミュニケーション能力やチームワークも重要とされるため、多方面からの知識と技術が求められる職種です。

CADオペレーターの平均年収

CADオペレーターへの就職・転職を考えている方は、どの程度の収入が得られるのか気になるところでしょう。令和4年の賃金構造基本統計調査のデータによると、CADオペレーターの平均年収は約461.8万円です。

出典:厚生労働省 job tag「CADオペレーター」

ただし、この金額はあくまで平均値であり、経験年数や保有するスキルによって年収は大きく変わります。特に、高度なCAD技術や関連分野の専門知識を持つ人は、平均以上の年収を目指すことが十分に可能です。また、職場や業界の選択も年収に影響を与える重要な要素となります

CADオペレーターに求められる知識とスキル

パソコン画面で確認するウイルテックのCADオペレーター

CADオペレーターには、主に以下の知識とスキルが求められます。これらは職務を効率的に、かつ正確に遂行するために不可欠です。

●CADソフトウェア操作技術

CADオペレーターの基本となるのは、CADソフトウェアの操作スキルです。使用するソフトウェアは業界や職場によって異なりますが、2次元CADや3次元CADの基本操作、製図技術は共通して必要とされます。高度な操作技術を持つことで、より複雑な設計図の作成や修正が可能になり、作業の効率化にもつながるでしょう。

●コミュニケーション力と理解力

設計者やデザイナーの意図を正確に理解し、図面に反映させるためには、優れたコミュニケーション力と理解力が必要です。また、プロジェクトの進行中には複数の案件を同時に扱う場合も多く、各チーム内での効果的なコミュニケーション力に加え、スケジュール調整能力も求められます。

●製図知識と基本PC操作技術

建築分野であれば、建築基礎知識も求められますが、専門的な設計やデザイン知識は必須ではありません。しかし、製図に関する基礎的な知識は、正確な図面作成のために必要です。さらに、CADソフト以外の基本的なPC操作技術も、日々の業務で必須となります。

これらのスキルを身につければ、CADオペレーターとしての価値を高め、幅広い業界へ飛び込むきっかけを得やすくなるでしょう。ただし、CADオペレーターには、働く業界特有の専門知識が要求されるケースも珍しくありません。継続的な学習と経験の積み重ねが、より技術力と専門性を高める鍵となります。

CADオペレーターのやりがいと大変なこと

CADオペレーターの仕事は、ものづくりの現場で欠かせない重要な役割を担っています。そのやりがいと大変さについて詳しく見ていきましょう。

【CADオペレーターのやりがい】

●   社会への貢献が目に見える形で残る
●   チームで1つのものを作り上げる達成感が味わえる
● 物理的な力を必要とせず、誰でも挑戦できる

CADオペレーターの大きなやりがいは、自分が関わった設計図が実際の建築物や製品として形になり、社会に貢献することを実感できる点です。また、関係者と協力しながら1つのプロジェクトを完成させる過程は、チームワークの大切さと達成感を教えてくれるでしょう。

デスクワークが中心であるため体力的な負担が少なく、幅広い年齢や環境の人が活躍できる職種である点も魅力の1つです。

【CADオペレーターの大変なこと】

●   納期前は忙しくプレッシャーがある
●   長時間の集中作業による心身への負担がある
● 技術の進歩に対応するための継続的な学習が必要になる

CADオペレーターの仕事は納期前が特に忙しく、高い集中力が求められます。これによる身体への負担やストレスは大変な点の1つです。また、CAD技術や関連する技術の進歩は速く、継続的な学習が必要となります。新しいソフトウェアの習得や業務手法の更新は、常に努力と時間を要求されるため、この点も大変だと感じる方もいるでしょう。

CADオペレーターとして成功するためには、これらのやりがいを追求しつつ、大変な点を乗り越えられる対策を考えることが重要です。

CADオペレーターに向いている人の特徴

CADオペレーターは、ものづくりの現場で重要な役割を果たします。向いている人の特徴を見てみましょう。

【向いている人の特徴】

●   集中力があり、細かい作業を正確にこなせる人
●   コツコツとした作業を根気強く続けられる人
●   数学や図面が得意で、空間認識能力がある人
●   ものづくりや建築に興味があり、新しいことに好奇心を持てる人
● チームワークを大切にし、コミュニケーションを取りながら仕事を進められる人

CADオペレーターには、長時間のデスクワークを苦に感じない集中力と、細かな作業をコツコツと正確に行える能力が求められます。図面の作成や修正では、わずかなミスが大きな問題につながるため、細部に注意を払いながら作業を行う緻密さが必要です。

また、設計者やデザイナーとの連携が重要なため、コミュニケーション能力も欠かせません。ものづくりや建築に対する興味・関心が高く、新しい技術や知識を学ぶことに対して積極的な姿勢を持つ人は、CADオペレーターとして大きなやりがいを感じられるでしょう。

以上のような特徴を持つ人は、CADオペレーターの仕事に大きく貢献でき、仕事を通じて成長し続けられる人と言えます。

CADオペレーターにおすすめの資格

CADオペレーターになるための、必須資格はありません。しかし、専門的な知識と技術を証明できる資格を持っていれば、キャリアアップや就職・転職を有利に進めるために大変役立ちます。以下は、CADオペレーターに特におすすめの資格です。

●2次元CAD利用技術者試験(1級・2級)

2級は、CADの基本機能や図面データの取り扱いに関する基本的な知識を問う筆記試験です。実技はありません。一方、1級は「建築」「機械」「トレース」の3つの分野に分かれており、実技試験を含むため、より高度なCAD作図能力が求められます。

●建築CAD検定(準1級・2~4級)

建築分野に特化した実務能力を重視する検定で、いずれの級も実技試験のみです。準1級は最高レベルで、1級建築士試験に準拠した問題が出されます。有資格者は、高度な建築CADスキルを持つことが証明できる検定です。

●CADアドミニストレーター

建築系や機械系に限らず、図形の基礎知識や作図能力、CADの操作技能を評価する試験です。幅広い分野で活躍するCADオペレーターにとって、基礎力を証明する有効な資格と言えます。

●テクニカルイラストレーション技能試験(1~3級)

平面図から立体図への書き起こし能力を評価する国家資格です。合格者は「テクニカルイラストレーション技能士」として、高い図面作成スキルを証明できます。

これらの資格は、CADオペレーターとしての専門性を高めるだけでなく、技術的な信頼性を外部に示すことができるため、キャリアアップに大いに役立ちます。特に、CAD技術の更新が迅速に進む現在、資格を取得する課程で最新の知識と技術を身につければ、変化する市場ニーズへの対応力も上がるでしょう。

CADオペレーターの将来性とキャリアパス

CADオペレーターの将来性とキャリアパスについて考える際、技術の進化は重要な要素です。特にAIの発展は、CADオペレーターの業務に大きな影響を及ぼす可能性があります。単純な設計図のトレースや修正作業といったルーティンワークは、AIによって自動化される可能性が高いと言えるでしょう。これは、AIが正確性を要するトレースや単純な作業を得意とするためです。

しかし、CADオペレーターの仕事全体がAIに置き換わるわけではありません。人間独自の発想や判断が求められる案件はAIが容易に代替できるものではなく、今後もCADオペレーターの需要は続くでしょう。クリエイティブな要素を含む設計作業や、コミュニケーションを要する作業、予期せぬ問題への対応などが、その代表格です。

特定分野のスペシャリストとなればどの職場においても重宝されるものの、技術の進歩に合わせてキャリアパスを広げることも重要となります。「BIMオペレーター」への転換はその一例です。BIM(Building Information Modeling)は建築情報のモデリングを指し、設計から施工、管理までを一元的に扱えます。建築業界の効率化と精度向上を実現し、国際的にもその重要性が高まっている技術です。

CADオペレーターは、クリエイティブな思考やコミュニケーション能力、そして新しい技術への適応能力を武器に、さまざまなキャリアパスを模索できる職種です。AIの発展によって変化する市場環境の中でも、将来を見据えて柔軟にキャリアを構築しましょう。

まとめ

CADオペレーターは、建設や製造業界で不可欠な役割を担う専門職です。CADソフトウェアを使用して、設計図を作成・修正する「設計補助作業」が主な仕事であり、図面の理解力や専門用語の知識、そして細かな作業に対する集中力が求められます。未経験からでも基本スキルを身につけ、資格を取得することで、多様なキャリアパスが開ける職種です。

進化を続けるAIに代替されにくいスキルの習得が、これからのCADオペレーターには重要となります。クリエイティブな仕事への適応や、新たな技術への対応力を磨くことで、活躍の場はより広がっていくでしょう。

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