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2024.04.05

セキュリティエンジニアの将来性|主な活躍分野とキャリアパスも

セキュリティーエンジニアイメージ画像

IT技術がめざましい進歩を遂げることに比例して、セキュリティエンジニアの需要も増加しています。当記事では、セキュリティエンジニアの概要や将来性が見込まれる理由から、必要スキル、活躍が見込まれる分野、主なキャリアパスまで徹底解説しています。

IT技術が日々進化し続ける現代では、「情報」の保護が重要になりました。

情報漏えいやサイバー攻撃への対策が求められる中、セキュリティエンジニアの存在はより一層、不可欠になっています。しかし、セキュリティエンジニアの仕事内容が今一つ分からない方や、AIの目覚ましい発達を見て将来性について不安に感じる方もいるでしょう。

そこで今回は、セキュリティエンジニアを目指す方や転職を考えている方へ、需要の傾向や必要なスキル、活躍できる分野まで幅広く解説します。

そもそもセキュリティエンジニアとは?

パソコンを使用している男性とセキュリティーのイメージ画像(鍵のマークが、人やモノと繋がっている図)

セキュリティエンジニアとは、ネットワークやシステムをサイバー攻撃などから守る専門家です。セキュリティに関する企画や提案を行い、システムの設計から実装、そして運用・保守までを担当します。また、トラブル対応や定期的なセキュリティチェックも、重要な仕事です。

近年、クラウドツール導入やIoT化など、多くの企業がITシステムの活用を進めています。しかし、インターネット接続が増えたことにより、企業の保有するあらゆる情報がサイバー攻撃の危険にさらされるようになりました。そのため、セキュリティエンジニアの需要は高まっており、極めて重要な役割を担う職種と言えるでしょう。

セキュリティエンジニアの将来性が見込める3つの理由

ビルの写真と、セキュリティーのイメージ図(鍵のマーク同士がが繋がっている様子)

デジタル化が進む現代において、企業や自宅などあらゆる場所で情報セキュリティの重要性が高まっています。さまざまな職種で人間からAIへの置き換えが検討される中、セキュリティエンジニアはまだまだ将来性があると言われる職種です。

ここからは、セキュリティエンジニアのニーズがなくならないと予想される理由を、3つ解説します。

IT化のさらなる促進

世界の産業全体に大きな影響を与えているのが、IT化の進展です。AI・IoT・ブロックチェーンなどの技術が社会に浸透し、これらを活用した新たなシステムが次々に開発・実用化されてます。

出典:経済産業省「参考資料(IT人材育成の状況等について)

しかし、IT技術の進歩とともに重要な情報がインターネットとつながることが増えれば、それを狙うサイバー攻撃の増加にも対応しなければなりません。民間企業から公的機関まで、セキュリティ対策は不可欠です。インフラを含む幅広い分野でセキュリティエンジニアは必須の存在となっており、その需要は今後も続くでしょう。

サイバー犯罪における手口の巧妙化・複雑化

インターネットの普及以降、IT技術の爆発的な利用増加に伴い、サイバー犯罪は企業や個人にとって避けられない脅威となりました。利用者のリテラシー向上や対策情報の強化・拡散は進むものの、サイバー犯罪の手口も年々巧妙化・複雑化しており、インシデントの発生件数は微増しています。

出典:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「情報セキュリティ白書2023

顧客情報や機密情報の漏洩により企業や組織が受けるダメージは計り知れず、信用や経済的損失に加え、経営の存続さえ危うくなりかねません。セキュリティ対策の高度化は急務であり、セキュリティエンジニアに対する需要は今後さらに高まることが予想されます。

IT人材(情報セキュリティ人材)の不足

IT化のさらなる促進とサイバー犯罪の手口の巧妙化・複雑化により、IT人材、特に情報セキュリティ人材の需要が急激に高まっています。

一方で、人材の供給は現状すでに追いついていません。人口減少の影響もあり人材不足は今後も続く可能性が高く、経済産業省の調査では、2030年ごろには最大で約80万人規模のIT人材が不足すると試算されています。

出典:経済産業省「参考資料(IT人材育成の状況等について)

高度な技術力と情報リテラシーが求められる上、育成に時間がかかるセキュリティエンジニアは、希少価値が今後さらに高まっていくでしょう。長期的に見ても売り手市場が続く、将来性の高い職種と言えます。

「セキュリティエンジニアはやめとけ」と言われる3つの理由

スーツを着用した男性の人形と、STOP!の赤い標識の画像

セキュリティエンジニアは需要が高く将来性がある一方で、「やめておけ」と言われることも少なくありません。

次に、セキュリティエンジニアの職を避けた方がよいと言われる3つの主な理由を紹介します。職種のマイナスとなる面を把握し、自分に適しているかを慎重に検討することが重要です。

責任が重い

セキュリティエンジニアは、企業の情報資産を守るという、非常に責任重大な役割を担っています。1つのミスが企業の信頼を大きく損ねるだけでなく、最悪の場合は倒産に追い込まれる可能性も否定できません。

万が一の際に社会的責任を問われかねない重圧の下で働くのは、精神的な負担が大きいと感じる人もいるでしょう。セキュリティエンジニアとしてのキャリアを考える際には、日々の業務に伴う責任の重さに耐えられるかどうか、慎重に検討する必要があります。

迅速な対応を求められやすい

セキュリティエンジニアは、エンジニア職の中でも特にトラブル時の迅速な対応が求められる職種です。サイバー攻撃やアクセス集中によるサーバーダウンといったトラブルは、予測不能なタイミングで発生し得ます。そして、トラブルが発生した際は深夜や休日であっても出勤し、問題が解決するまでは業務から離れられません。

被害拡大を防ぐためにも、セキュリティエンジニアは24時間365日いつでも対応することが期待される立場です。結果として、激務に陥りやすいという特徴があります。

情報を常にアップデートする必要がある

サイバー攻撃の手法は日々進化し、より高度化しています。新たな脅威が生まれては対応策が編み出され、さらにそれに対する脅威が日々生み出される、いたちごっこの様相を呈する世界です。

セキュリティエンジニアとして活躍し続けるには、常に最新のセキュリティ技術や対策法など、広範な専門知識を継続的に更新しなければなりません。勉強を怠ることなく成長し続けなければならない点も、「セキュリティエンジニアはやめとけ」と言われる理由の1つに挙げられます。

セキュリティエンジニアに求められるスキル

セキュリティエンジニアに求められるスキルのイメージ画像
(SKILLと書かれたタグに鍵がついている。周りに消しゴムやパソコン、$札、などの絵が書かれている)

「セキュリティエンジニアはやめとけ」と言われることもあるものの、ある程度のスキルを身につければ、仕事の負担は感じにくくなるでしょう。

セキュリティエンジニアに求められるスキルは多岐にわたりますが、ここでは特に重要な4つのスキルを紹介します。各スキルの習得と向上に努めれば、日々の業務を効率化してより高い成果を出し、自らの市場価値を高めることが可能です。

基礎的なITスキル全般

セキュリティエンジニアには、ITシステム全般に関わる幅広い知識と技術が求められます。特に、プログラミングやハードウェア、ソフトウェアに関する基礎的なスキルは、セキュリティ対策の実装に不可欠です。

また、クラウドサービスや仮想化技術などの最新トレンドにも精通している必要があります。いずれのスキルも、セキュリティシステムをより効果的に構築・運用するための基盤であり、他のエンジニアとのコミュニケーションや協力を円滑にするための共通言語です。

サイバーセキュリティに関する知識

サイバーセキュリティに関する知識は、情報の改ざんや漏えいを防ぐために不可欠です。セキュリティエンジニアは、システムやソフトウェアの脆弱性、最新のサイバー攻撃手法を理解し、適切な対策を講じなければなりません。

多様化する脅威に対応するには、サイバーセキュリティの最新情報のキャッチアップやペネトレーションテストの技術向上が必要です。また、暗号化技術や認証技術など、セキュリティ対策のためのツールやソフトウェアに関する深い理解も重要となります。

情報マネジメントスキル

セキュリティ対策を施した後は、組織やIT環境に合わせたセキュリティ管理ルールを策定し、運用しなければなりません。セキュリティエンジニアは、技術面だけでなく法的要件を満たし、利用者が安全にシステムを利用できる環境を整備する責任を負います。

そのため、システムやソフトウェアの知識はもちろん、個人情報保護法などの法令知識も重要です。これにより、万が一のセキュリティ事故時の影響を最小限に抑え、企業の信頼と経営に大きく貢献できるでしょう。

コミュニケーションスキル

コミュニケーションスキルは、技術的な知識と同様に重要です。セキュリティ対策の提案・交渉・対策方法の説明などには、クライアントやチームメンバーとの円滑なコミュニケーションが欠かせません。

さまざまなコミュニケーション手段を適切に使い分け、情報を正確に収集・共有できる能力は、業務の効率的な進行に必須です。また、クライアントの要望を正確に理解し、要件に落とし込むためにも、高いコミュニケーション能力が求められます。

セキュリティエンジニアの活躍が見込まれる分野5選

セキュリティエンジニアのイメージ図(鍵マークbを指指しているスーツ姿の男性)

セキュリティエンジニアはインターネットを利用するあらゆる企業で重要な役割を担いますが、特に活躍が見込まれるのが下記の5分野です。

●   ITサービス・ソフトウェア分野
●   ECサイト分野
●   家電・機械メーカー分野
●   金融分野(フィンテック)
● 官公庁・行政機関

5つの分野でセキュリティエンジニアの活躍が期待される理由と、その業務内容の特徴を紹介します。

ITサービス・ソフトウェア分野

セキュリティエンジニアは、ITサービス・ソフトウェア分野で特に重要とされる存在です。この分野では、情報システムやソフトウェア、アプリケーションの設計から構築に至るまで、セキュリティ観点からの対策が欠かせません。

開発段階でのウイルス防止策の策定や、運用開始後のサイバー攻撃への対応など、セキュリティエンジニアの役割は多岐にわたります。さらに、顧客へのセキュリティソリューションの提案やコンサルティングといった、上流工程でも幅広く活躍が期待できるでしょう。

ECサイト分野

ECサイトでは顧客の氏名・住所・クレジットカード番号といった、個人情報の取り扱いが日常的に行われます。いずれの情報も、悪意を持ったハッカーから常に狙われる対象です。

ECサイト事業は顧客からの信頼が基盤であり、システムの停止や個人情報の漏洩は企業のブランドイメージを大きく損ねます。脆弱性の発見と対応や顧客情報の保護など、高度なセキュリティ対策が必須となる電子商取引を安全に行うには、セキュリティエンジニアが不可欠と言えるでしょう。

家電・機械メーカー分野

IoT技術の普及に伴い、家電・機械メーカー分野でもセキュリティエンジニアの活躍の場が広がっています。近年、エアコンや洗濯機などの家電製品がインターネットに接続されることが増え、スマートフォンなどからも操作できるようになりました。

しかし、インターネットへの常時接続は、便利さをもたらすと同時に個人情報盗難などのリスクも高まります。そのため、家電や機械メーカーでは製品開発段階からのセキュリティ対策が必須となり、セキュリティエンジニアの専門的な知識と技術が必要とされています。

金融分野(フィンテック)

金融分野は個人情報や機密性の高い企業間取引履歴など、重要な情報をインターネット経由で扱う業界です。例えば金融機関がサイバー攻撃を受けた場合、ATMの機能停止やネットバンキングの不具合といった、顧客に直接的な損失を与えかねません。

このような状況を鑑み、2022年には金融庁がセキュリティの高度化や人材育成の強化を進めるなど、サイバーセキュリティ強化に向けた取組方針を発表しました。

出典:金融庁「金融分野におけるサイバーセキュリティ強化に向けた取組方針」

官公庁・行政機関

官公庁や行政機関は、国民の個人情報や機密性の高い法的情報を含む日本全国からのあらゆる情報が集約されているところです。どの情報もサイバー攻撃や不正アクセスによって漏洩や改ざんの危険にさらされれば、国家の安全や信頼を大きく損ねます。

例えば、土地権利の改ざんや戸籍謄本の書き換えなど、国民の人生に重大な影響を及ぼす事件が起こるかもしれません。そのため、官公庁・行政機関におけるセキュリティエンジニアの役割は非常に重要であり、脆弱性の早期発見と迅速な対応が常に求められています。

セキュリティエンジニアのキャリアパス

セキュリティエンジニアのキャリアパスは多岐にわたりますが、特に代表的なのは下記の3つです。

●セキュリティコンサルタント

クライアントのセキュリティ状況をヒアリングし、適切なセキュリティ対策の構築支援やサポートを行う職種です。セキュリティに関する深い知識はもちろん、顧客のニーズを理解し、解決策を提案するためのコミュニケーションスキルやマネジメントスキルが求められます。セキュリティ対策の実装に直接携わることは少なめです。

●セキュリティアナリスト

システムの脆弱性を分析し、サイバー攻撃や不正アクセスの監視、インシデント発生時の対応などを行う専門職です。サイバー攻撃の手法や起源を解析し、より強固なセキュリティ体制を構築するための対策を提案します。高度なセキュリティ技術の知識とともに、攻撃手法の分析能力が要求されます。

●セキュリティアーキテクト

組織のセキュリティ対策を統括し、全体を通したセキュリティ品質の確保を目指すポジションです。セキュリティシステムの設計や開発、セキュリティポリシーの策定、リスク管理などを担当します。技術面だけでなく、経営戦略における情報セキュリティの役割についても理解し、組織全体のセキュリティを高めるための戦略を立案する職種です。

まとめ

IT化が進む現代社会において情報セキュリティの重要性は年々高まっており、セキュリティエンジニアの役割もますます注目されています。セキュリティエンジニアの需要は慢性的に高く、特にインターネットを利用するすべての業界でその専門性が求められる存在です。

責任の重さや迅速な対応が求められる場合もありますが、適切なスキルアップと職場選択を行えば、充実したキャリアを築くことが可能です。セキュリティエンジニアとしてスキルを磨き、多様なキャリアパスを目指しましょう。

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