製造業・工場のお仕事
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2023.11.10

【溶接資格の種類一覧】取得難易度や取り方、費用もあわせて紹介

溶接作業の内容によっては、資格が必要です。どのような資格が必要とされるのか、また、スキルアップやキャリアアップのために取得しておきたい資格には何があるのかまとめました。各資格の取得方法も説明します。ぜひ参考にしてください。

溶接の仕事に資格は必要?

金属と金属を熱や圧力で接着する溶接作業自体には、特別な資格は必要ありません。ホームセンターで販売されている器具などを使い、DIYで溶接することもあります。

しかし、溶接作業を仕事としておこなうときには資格を求められることがあります。たとえば、アーク溶接やガス溶接を業務としておこなうときには国家資格が必要です。資格なしに作業に従事すると、雇用側が刑罰の対象になることがあります。

溶接の資格一覧表

溶接作業に必要な資格、関連資格は以下の9種類です。

資格難易度年齢制限条件資格取得費用
アーク溶接作業者学科11時間、実技10時間以上約12,000円 ~(実施団体により異なる)
ガス溶接技能者学科9時間、実技5時間約12,000円 ~(実施団体により異なる)
ガス溶接作業主任者★★★★一定学科・講習を修了、あるいは一定年数以上の経験があると2科目免除8,800円
アルミニウム溶接技能者(基本級)★★15歳以上1カ月以上アルミニウムの溶接技能を習得すること約15,000円~(材料費、認定証発行料含む)
アルミニウム溶接技能者(専門級)★★★15歳以上3カ月以上アルミニウムの溶接技能を習得すること約15,000円~(材料費、認定証発行料含む)
普通ボイラー溶接士★★★1年以上溶接作業の経験があること32,800円
特別ボイラー溶接士★★★普通ボイラー溶接士資格を取得し、1年以上ボイラーあるいは第一種圧力容器の溶接作業の経験があること36,800円
溶接管理技術者★★★★級によって異なる約100,000円~(受講料、試験料、登録料など含む)
溶接作業指導者★★★★25歳以上特定の資格を保有し、なおかつ実務経験があること約80,000円~(受講料、試験料、登録料など含む)

難易度の設定は以下を基準としています。
★:初心者向け、条件なしの場合
★★:初級、条件に実務経験ありで1年以下の場合
★★★:中級、条件に実務経験1年以上、またはその他条件がある場合
★★★★:上級、条件に実務経験3年以上、またはその他条件がある場合

溶接未経験者におすすめの資格

溶接作業未経験の方は、作業の基礎ともいえるアーク溶接とガス溶接の資格取得を目指しましょう。アーク溶接作業者とガス溶接技能者の資格は、いずれも実務未経験の方でも取得可能です。また、いずれも更新手続き不要の国家資格のため、一度取得しておくと可能な業務が増え、仕事の選択肢が広がります。

アーク溶接作業者

仕事内容

アーク溶接とは、アーク放電と呼ばれる放電現象を空気中で起こして高熱を発生させ、その熱により金属を溶かして接合する技術のことです。溶接棒と溶接する素材(母材)をアーク溶接機に接続し、アーク放電によって生じた熱で母材を溶かして接合します。溶接の方法のなかでも一般的なもので、建物や自動車などのさまざまな場所・モノに使われています。

取得方法

事業所でアーク溶接をおこなうときには、アーク溶接作業者の資格が必要です。アーク溶接作業者の資格は国家資格で、11時間の学科と10時間以上の実技を修了することで取得できます。なお、試験はなく、規定時間を修了すれば資格者となります。

<学科講習>
・アーク溶接に関する知識:1時間
・アーク溶接機に関する知識:3時間
・アーク溶接の作業に関する知識:6時間
・関係法令:1時間

<実技講習>
・アーク溶接機の取扱、作業など:10時間以上

需要と将来性

アーク溶接の技術は、金属を使って製品を製造する工場や修理工場などで求められます。たとえば自動車工場や造船所、鉄工所、建設現場などで必要です。

工場によっては溶接作業をロボット化しているところもありますが、中小規模の工場では人が作業をしているのが現状です。すぐに全ての工場において自動化が進むとは考えにくいため、将来的にもアーク溶接の有資格者に対するニーズはあると想定されるでしょう。

こんな人にオススメ

・製造業に興味がある人
・DIYや工場で作業をするために、アーク溶接のスキルを習得したい人

ガス溶接技能者

仕事内容

ガスを使った溶接をおこなうときは、ガス溶接技能者の資格が必要です。ガス溶接技能者の資格は労働安全衛生法に準拠する国家資格で、9時間(うち1時間は試験)の学科講習と5時間の実技講習を受けることで取得できます。

ただし、アーク溶接作業者の資格とは異なり、講習後に学科試験がある点に注意しましょう。6割以上の正答で合格とされているため難しくはありませんが、試験に合格できないときは資格を取得できません。

<学科講習>
・設備の構造や取扱の知識:4時間
・可燃性ガスと酸素の知識:3時間
・関係法令:1時間
・学科試験:1時間

<実技講習>
・ガス溶接に関連する設備の取扱など:5時間

需要と将来性

ガス溶接もアーク溶接と同じく、規模の大きな工場などではロボット化が進んでいます。しかし、複雑な作業や中小規模の工場などでは、依然として人がガス溶接の作業を担当しているのが現状です。そのため、将来的にも一定の需要はあり、必要性は高いと考えられます。

こんな人にオススメ

・製造業に興味がある人
・溶接の仕事を担当したい人

スキル・キャリアアップにおすすめの資格

アーク溶接作業者とガス溶接技能者の資格があれば、ほとんどの事業所で溶接作業に従事できます。しかし、スキルアップやキャリアアップを目指すなら、ほかの資格にも目を向けてみてはいかがでしょうか。溶接作業と関連するほかの資格も取得することで、対応できる業務が増えたり、管理者としての立場で働けるようになったりすることもあります。

アーク溶接作業者とガス溶接技能者の資格取得後に目指したい資格を7つ紹介します。

ガス溶接作業主任者

仕事内容

ガス溶接作業主任者の資格は国家資格です。試験を受け、合格基準以上の点数を取ることで資格を取得できます。

<試験科目(配点)>
・ガス溶接などの業務に関する知識(25点)
・関係法令(25点)
・アセチレン溶接装置とガス集合溶接装置に関する知識(25点)※
・アセチレンそのほかの可燃性ガス、カーバイド、酸素に関する知識(25点)※

※ 特定の学科などを卒業・修了している場合や、特定の技能検定に合格し、なおかつ実務経験が一定以上ある場合は免除される

需要と将来性

ガス溶接などをおこなう事業所では、ガス溶接作業主任者の資格を取得している人を管理者として選任しなくてはいけません。ガス溶接の作業が自動化されても、管理者を配置する必要はあるため、将来的にもニーズの高い資格といえます。

こんな人にオススメ

・管理者として働きたい人
・将来性の高い資格の取得を目指す人

アルミニウム溶接技能者(基本級)

仕事内容

アルミニウムを用いた溶接をおこなうための資格です。アルミニウムは一般的な金属よりも強度が高く、なおかつ軽量のため、自動車の部品などのさまざまなものに用いられています。

取得方法

アルミニウム溶接技能者は、一般社団法人軽金属溶接協会による認定資格です。学科試験と実技試験があり、実技試験は溶接の手法や試験材料の厚さによって複数に分かれています。

各試験合格後には別途、認定証の発行が必要です。また、認定期間が有限のため、期間が修了する前に資格の更新手続きをしてください。

需要と将来性

アルミニウムを用いた製品は多いため、ニーズの高い資格といえます。また、溶接作業のなかには自動化が難しいものもあり、将来的にも必要とされると考えられます。

こんな人にオススメ

・アルミニウムなどの軽金属の溶接作業をおこなう人
・より高度な溶接技術を取得したい人

アルミニウム溶接技能者 (専門級)

仕事内容

アルミニウムを用いた溶接をおこなうための資格です。基本級に加え、専門級の資格を取得していることで、さまざまな方向での溶接作業が担当できるようになります。

取得方法

学科試験と実技試験の両方に合格する必要があります。なお、基本級の実技試験では下向きの溶接方向のみ問われますが、専門級では立向き・横向き・上向き・水平および鉛直固定の溶接方向も問われます。

需要と将来性

工場によって、さまざまな方向における溶接作業を求められる可能性があります。また、アルミニウムを用いた溶接作業は自動化が難しい面もあるため、ニーズの高い資格と考えられます。

こんな人にオススメ

・アルミニウムを用いた溶接の技能を高めたい人

普通ボイラー溶接士

仕事内容

普通ボイラー溶接士は、ボイラーの製造や修理などにおいて溶接作業を担当します。また、ボイラー以外にも、第一種圧力容器やフランジなどの溶接を担当することもあります。

取得方法

学科試験と実技試験の両方に合格すると、資格を取得できます。なお、実技試験では、下向き突合せ溶接と立向き突合せ溶接が問われます。

需要と将来性

発電所や機械工場などでニーズの高い資格です。自動化が難しい溶接作業も多く担当するため、将来性は高いと考えられます。

こんな人にオススメ

特別ボイラー溶接士

仕事内容

特別ボイラー溶接士の仕事内容は普通ボイラー溶接士と同じです。

取得方法

学科試験と実技試験の両方に合格すると、資格を取得できます。なお、実技試験では、横向き突合せ溶接が問われます。

需要と将来性

発電所や機械工場などでニーズの高い資格です。将来性も高いと考えられます。

こんな人にオススメ

・普通ボイラー溶接士より上位資格を目指す人

溶接管理技術者

仕事内容

溶接作業が必要な工程を計画・管理する仕事です。また、直接溶接作業をおこなわない場合でも、関連する作業を担当するときは溶接管理技術者の資格取得が推奨されます。

取得方法

筆記試験と口述試験の両方に合格すると、資格を取得できます。なお、口述試験は免除されることもあります。

需要と将来性

溶接作業の自動化が進んでも、管理業務は自動化が困難です。そのため、将来的にもニーズがあると考えられます。

こんな人にオススメ

・溶接作業の計画・管理に興味がある人

溶接作業指導者

仕事内容

溶接作業や関連作業の監督・指導・助言をおこなう仕事です。

取得方法

講習会を受講し、筆記試験に合格すると、資格を取得できます。

需要と将来性

溶接作業や関連作業の監督・指導は、自動化が困難と考えられます。そのため、将来的にもニーズは高いと推測されます。

こんな人にオススメ

・溶接関連の現場で監督として働きたい人

まとめ

溶接に関する資格を取得することで、仕事の選択肢が広がります。試験なしに取得できる資格もあるため、ぜひ目指してみてはいかがでしょうか。

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