製造業とは?仕事内容・職種・メリット・向いている人など徹底解説
製造業とは、原料や素材からモノを作り出す仕事全般のことです。原料から素材を作り出す上流工程と、素材から部品を作る中流工程、素材・部品から製品を作る下流工程に大別されます。仕事内容や働くメリット、向いている人、平均年収を紹介します。
目次
製造業とはどんな仕事?
製造業とは、原料を加工し、あるいは組み立てることにより製品にする工程にかかわる仕事全体を指します。メーカーと呼ばれることもあります。半導体メーカーや食品メーカーなどが含まれます。
農業や水産業を第一次産業と分類することがありますが、製造業は第二次産業です。金融やITなどの目に見えないサービスを取り扱う第三次産業と異なり、第二次産業は部品や製品などの目に見えるものを作り出し、販売する産業です。
製造業の種類は3つ
原料から製品を作り出す工程を川の流れにたとえて、次の3つに分類することがあります。
- 上流工程
- 中流工程
- 下流工程
それぞれの工程について見ていきましょう。
上流工程〜素材〜
上流工程とは、原料から素材を作り出す工程です。たとえば、綿花から糸や布を作り出す工程や、木材からパルプを作り出す工程は上流工程に含まれます。
なお、上流工程から下流工程まですべて請け負う企業や工場もありますが、各工程だけに特化している企業・工場も少なくありません。たとえば、作った素材をすべて外部企業に販売し、自社では製品化しないゴムメーカーや繊維メーカーもあります。
中流工程〜加工・組み立て〜
中流工程とは、上流工程で作られた素材を使って部品を作る工程です。たとえば、電子部品メーカーや半導体メーカー、金属部品メーカーなどは、中流工程を担っていると考えられます。
下流工程〜自社生産・加工〜
下流工程とは、素材や部品を使って製品に仕上げる工程です。
なお、すべての工程が上流→中流→下流と進むのではありません。たとえば、自動車メーカーや電子機器メーカーなどは、部品を使って製品を作るため上流→中流→下流と進みます。一方、家具メーカーや食品メーカーでは、上流で作られた素材をそのまま加工して製品とするため、上流→下流と進むことが一般的です。
製造業の主な職種と仕事内容(製造現場)
製造業には、さまざまな職種や業務が含まれています。工場などの生産ラインに限っても、職種・業務は多岐にわたります。主な仕事内容は以下をご覧ください。
● 鍛造
● 研磨
● 旋盤
● 組み立て
● クレーン
● 塗装
● 検査
● 梱包
それぞれの業務について簡単に紹介します。
鍛造
鍛造(たんぞう)とは、金属の形を変化させる過程を指す言葉です。たとえば、刃物を仕上げるときであれば叩いて変形させたり、金属部品を作るときなら溶かして型に入れたりする工程を指します。
研磨
研磨(けんま)とは、素材や部品を磨く過程を指す言葉です。たとえば、砥石を使って金属部品などを指定された形に磨いて加工する工程を指します。
旋盤
旋盤(せんばん)とは、機械を使って金属を加工する過程を指す言葉です。研磨とは異なり強い力が素材や部品にかかるため、力加減の調節が難しく、熟練の技が求められます。
組み立て
組み立てとは、部品を組み立てる過程を指す言葉です。精密機器などの細かな部品を組み立てる仕事から、自動車部品のように大きな部品の組み立てる仕事まで多様にあります。
クレーン
クレーンとは、クレーン機を使って素材や部品・製品を運ぶ仕事を指します。クレーンの種類や吊り下げ荷重にもよりますが、免許・資格や講習受講が必要とされることがあります。
塗装
塗装(とそう)とは、色や仕上げ材などを塗る過程を指す言葉です。下地作業と塗装作業、磨き作業の3段階に分かれており、サビ防止などの効果や見た目の改善を目的とした加工を実施します。
検査
検査とは、出荷前に製品の品質や外観などが規格に沿っているか調べる過程を指す言葉です。検品作業とも呼ばれます。従来型の目視だけでは不良品が市場に出回るリスクが高いため、特殊なカメラや検査機を用いた機械化も進んでいます。
梱包
梱包(こんぽう)とは、部品や製品を箱詰めする仕事です。製品はそのまま市場に送られるため、丁寧な作業が求められます。なお、ある程度の慣れが必要とされますが、クレーン作業のような特別な資格は求められません。
製造業の主な職種と仕事内容(製造現場以外)
製造現場でおこなわれる仕事だけが、製造業の業務ではありません。素材や部品・製品を作るためには、現場以外の仕事も必要です。主な職種・仕事としては、次のものが挙げられます。
● 開発
● 設計
● 設備管理
● 営業・広報
それぞれの仕事内容を説明します。
開発
開発とは、素材や部品・製品の開発や、すでに開発されたものの品質向上に関わる仕事を指します。市場ニーズを的確に把握し、具体的な素材や製品などに落とし込んでいくことが必要です。
設計
設計とは、開発担当によって企画された素材や部品・製品を、具体的に作り出すためのプランを立てる仕事です。社内で保有している技術力や機械で対応できない場合は、技術提携や機械の購入・開発なども必要になります。
設備管理
設備管理とは、機械設備の点検・メンテナンスをする仕事です。機械が正しく機能しない場合は、その分、作業が遅れて多大な損失を生むことになるため、定期的な設備点検とメンテナンスは重要な業務といえます。
営業・広報
営業とは、製品を売り込む仕事、広報とは宣伝する仕事です。優れた素材や製品を生み出しても、購入する企業や個人がいなければ、利益を生み出しません。営業担当者が顧客を開拓し、素材や製品を販売につなげます。
また、自社や製品の認知度を高めることで、製造した素材や製品が売れやすくなります。より利益につながりやすい状況を作るためにも、広報担当者によるPR業務が欠かせません。
製造業で働くメリット
製造業は3K(キツイ・汚い・危険)のイメージを持たれがちですが、実はメリットも多く、職場によって差はあるものの、働きやすさに定評のある企業や工場もあります。主なメリットとしては次のものが挙げられます。
● 勤務時間の柔軟性
● 収入アップも可能
● 未経験可の求人の多さ
● 考える仕事も多い
それぞれのメリットについて見ていきましょう。
勤務時間の柔軟性
24時間稼働の工場では、交替制勤務が採用されていることが一般的です。日勤のみや夜勤など、柔軟に勤務時間を調整できることも少なくありません。
また、労働時間が長くなるとミスが生じやすくなり、会社にとっては不利益につながります。ミスが起こりにくい状態にするためにも、しっかり働きしっかり休むという職場作りが行われていることが多いです。
収入アップも可能
深夜勤務では、夜勤手当なども支給されることがあります。収入アップを目指す人にとっても、工場などの製造業はおすすめです。また、クレーンなどの技能を持っている場合は、資格手当の支給も期待できます。
未経験可の求人の多さ
製造業の求人は、未経験可や学歴不問のケースが多い点も特徴です。仕事内容については入社後にしっかりと教育してもらえるため、今までに一度も製造業を経験したことがない人も、安心して業務に就けます。
また、さまざまな業務に携わることで、自分自身のスキルアップにもなり、今後のキャリアの幅も広がります。
考える仕事も多い
製造業は、繰り返し作業が多いイメージがあります。実際に担当業務によっては繰り返し作業が多く、単調さを感じるかもしれません。
しかし、全体の作業工程を考えながら業務に従事することで、ミスが減り、業務効率が向上するのも事実です。思考力を使って業務を工夫したい人にも、製造業は適した仕事といえます。
製造業にはどんな人が向いている?
就職先や転職先として製造業を検討している人は、適性があるか確認しておくことが必要です。製造業に向いている人に見られる特徴は、次のとおりです。
● 几帳面で丁寧な人
● 一人作業が苦にならない人
● 集中力のある人
● 「地道にコツコツ」ができる人
● 体力がある人
それぞれの特徴について見ていきましょう。
几帳面で丁寧な人
作業工程の多くの場面で、几帳面さと丁寧さが求められます。
適当に業務をおこなうと、製品の仕上がりを左右することにもなりかねません。そのため、製造業従事者には、普段から細かな点に気づくこと、ミスが少なく丁寧な仕事ができることが必要です。
一人作業が苦にならない人
製造業では多くの人々が関わって業務を進めていきますが、実際の作業は一人でおこなうことが多いです。リーダーの指示に従い、仲間と助け合いつつも、基本的には一人で黙々と作業するため、一人作業が苦にならない人が向いています。
集中力のある人
ラインでは、流れてくる部品や製品一つひとつに対して注意を払うことが求められます。集中力が切れてしまうと、欠陥品を見逃してしまい、企業全体の信頼性を落とすことにもなりかねません。作業に集中できることはもちろんのこと、継続した集中力を発揮できることが必要です。
「地道にコツコツ」ができる人
製造業ではクリエイティブな能力を求められることもありますが、多くの業務は繰り返し作業が基本です。そのため、繰り返し作業が苦手な人には向かないでしょう。地道な作業に忍耐強く取り組める人は、製造業にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
体力がある人
製造業は工程によって力仕事が必要とされることもあります。重いものを持つことが苦にならない人など、体力も求められるでしょう。
また、力仕事が必要でない業務でも、基本的には立ちっぱなしのことが多いです。立った姿勢で長時間耐えられる体力も、製造業で働く人には求められます。
製造業の平均年収はどのくらい?
賃金構造基本統計調査(令和4年)によれば、製造業の平均月収は301,500円、年収では3,618,000円程度となっております。
※各都道府県・勤務地によってデータが異なることがございます。
参考:「賃金構造基本統計調査」
適性がある人は製造業がおすすめ
製造業は、日本の産業と経済を支える根幹ともなる業種です。3Kのイメージが強い業種ですが、ほとんどの職場において働きやすさを向上させる取り組みが実施されており、休日日数の確保だけでなく、業務時間中も適時休養を取って集中力を維持できるように配慮されています。
几帳面で丁寧、地道な作業が得意などの適性のある人は、製造業にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。勤務時間が柔軟な点や未経験可の仕事も多い点も製造業の魅力です。
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