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2024.02.19

派遣の3年ルールとは?メリットや例外ケースをわかりやすく解説

ウイルテックで働く従業員たち(男女)

派遣法の3年ルールとは、派遣社員が同じ職場で就労できる期間を定めたもので、2015年に施行されました。派遣社員として働き続けるためには、あらかじめ将来的な働き方について考えておく必要があります。ここでは、3年ルールのメリット・デメリットや例外ケースなどを解説します。

この記事の監修

ウイルタス編集部

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派遣法の3年ルールとは?

事務の派遣で働くウイルテックの女性従業員

派遣法の3年ルールとは、労働者派遣法(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣社員の保護等に関する法律)において、派遣社員が同じ事業所で勤務できる期間を3年までとしている制限のことを指します。

3年を超えて勤務をする場合には、派遣会社が該当の派遣社員を正社員雇用してもらえるように派遣先企業に促す必要があります。2015年の労働者派遣法改正で派遣3年ルールが適用されました。

元々派遣社員は、一時的な人員補充を目的としたもので、長期的な雇用が想定されていませんでした。しかし実際には、専門知識を持った派遣社員を即戦力として用いることで、人員調整や労務管理が容易になるという面から、正社員ではなく派遣社員として長期雇用を続けるケースが増加していました。

そこで、有期雇用労働者を保護するために、業種を問わない派遣3年ルールの適用が決定したのです。ここでは、派遣3年ルールの概要を詳しく解説します。

派遣3年ルールの目的と対象者

派遣3年ルールは、労働者の雇用安定とキャリアアップを目的に設立されました。対象者は、派遣元の事業主と有期雇用派遣契約を結んでいる派遣労働者です。

有期雇用派遣契約とは、期限付きの派遣契約を意味します。同じ職場で働き続けるためには、指定の期間を過ぎる頃に、再度契約内容の見直しと更新が必要です。

有期雇用派遣契約を結んでいる派遣労働者は、契約期限満了時に派遣先企業が契約を更新してくれなければ、意に反して職を失ってしまう可能性があります。したがって派遣3年ルールは、有期雇用派遣労働者の不安定な雇用状況の改善に役立っています。

期間制限には2つの種類がある

派遣3年ルールの期間制限は、以下のように2つの種類に分けられます。

制限の内容補足
事業所単位の制限最長3年まで同一の事業所において派遣労働者を受け入れることができる派遣先の過半数労働組合に対して意見聴取を実施することで、期間の延長が可能
個人単位の制限最長3年まで同じ派遣社員を同一事業所の同一組織単位に派遣できる個人単位の期間制限よりも、事業所単位の期間制限が優先される

優先順位として、事業所単位の制限のほうが高くなる点は押さえておく必要があるでしょう。たとえば、該当の派遣労働者の勤務期間が3年に満たない場合でも、事業所単位での派遣労働者受け入れ期間が満了した場合は、引き続き勤務をすることが認められません。

派遣3年ルールと5年ルールの違い

派遣3年ルールと混同されがちなのが、5年ルールです。それぞれの概要は次のとおりです。

対象者制度内容
派遣3年ルール有期雇用派遣契約を結んでいる派遣労働者派遣社員が同じ事業所で3年を超えて勤務することはできない
5年ルールすべての有期雇用契約を結んでいる労働者(派遣労働者、契約社員など)同一の企業に通算で5年を越えて就労している有期雇用労働者の申し出によって、無期雇用に転換できる

2012年の労働契約法の改正により定められた5年ルールは「無期転換ルール」と呼ばれることもあります。該当の労働者から無期雇用契約の申込をされた企業は、申し出を拒否する権限がありません。

工場で派遣にて働くウイルテックの従業員(男女)

派遣3年ルールが例外となる6つのケース

派遣3年ルールには、例外とされる以下の6つのケースが存在します。

  1. 派遣社員の年齢が60歳以上
  2. 有限プロジェクトに従事している
  3. 派遣元と無期雇用契約を結んでいる
  4. 日数限定業務に従事している
  5. 産休や育休、介護休暇中の従業員の代替で従事している
  6. 就業開始から3年の途中で部署異動している

制度の内容をしっかりと理解しておかないと、思わぬ不利益を被ってしまう可能性があります。ここでは、各ケースについて詳しく解説します。

     1.派遣社員の年齢が60歳以上

派遣3年ルールの例外対象として、派遣社員の年齢が60歳以上と規定されています。そのため、就業開始日または就業開始日から3年経過時点で、当該派遣社員の年齢が60歳以上の場合は3年ルールの対象外です。

たとえば、59歳で有期派遣社員として働きだした場合、抵触日時点の年齢は62歳であるため、3年ルールは適用されません。

2.有限プロジェクトに従事している

有限プロジェクトに従事していることも、派遣3年ルールにおける例外対象の1つです。「事業の開始、転換、拡大、縮小または廃止のための業務」で、終期が明確に決まっているプロジェクトに従事する派遣労働者については3年ルールの対象外となります。

つまり、派遣就業期間が3年以上となる場合でも、プロジェクトの終了まで業務を続けることが可能です。ただし、すべてのプロジェクトが認められるわけではない点には注意しましょう。

3.派遣元と無期雇用契約を結んでいる

派遣元の事業主と無期雇用の契約を締結している労働者には、3年ルールが適用されません。無期雇用の契約とは、期間を定めない労働契約を意味します。

労働者は派遣元企業に雇用されている状態であるため、3年ルールの対象外となります。

4.日数限定業務に従事している

日数が限定された業務に従事する労働者に対しても、派遣3年ルールは適用されません。具体的には、1か月の勤務日数が通常の労働者の所定労働日数の半分以下、かつ1か月の勤務日数が10日以下という条件を満たす必要があります。

5.産休や育休、介護休暇中の従業員の代替で従事している

産前産後休業や育児介護休業を取得している労働者の代わりとして業務につく場合も、3年ルールの対象外と定められています。代替要員としての派遣労働者受け入れを想定しているため、対象者の業務をそのまま引き受けるのが基本です。

業務内容が変更になったり減ったりした場合は、代替業務としてみなされなくなる可能性があります。

6.就業開始から3年の途中で部署異動している

就業開始から3年の途中で部署異動している場合も、派遣3年ルールが例外対象です。派遣先企業での就業開始日から3年間経過する途中で部署異動した場合は、異動前の部署での就業期間がリセットされるため、新たな部署で3年間の勤務が可能です。 たとえば、総務部で2年勤務した派遣社員が財務部に異動になった場合、総務部での2年間の就業期間はリセットされ、財務部では、また新たに3年間派遣社員として就労することができます。

派遣3年ルールのメリットとデメリット

有期雇用派遣労働者の安定した雇用を目的にした派遣3年ルールですが、デメリットにも注目しておく必要があります。ここでは、派遣社員として働くことを検討する際に知っておきたい、派遣3年ルールのメリットとデメリットをご紹介します。

派遣3年ルールのメリット

派遣3年ルールの大きなメリットとしては、3年後に直接雇用契約を結べる可能性がある点が挙げられます。派遣社員として派遣先企業への貢献が認められれば、その後も直接雇用契約を結び働き続ける道が開けるかもしれません。

派遣先企業側としても、働きぶりを把握している人材を即戦力として雇用できるのがメリットです。ただし、直接雇用とはいっても、正社員登用されるとは限らない点には注意しましょう。

派遣3年ルールのデメリット

モチベーション高く仕事に取り組んだとしても、直接雇用には結びつかない可能性があるのは、派遣3年ルールのデメリットだといえるでしょう。最長3年で就業先を変わらなくてはならず、いちから新しく業務や職場に適応しなければなりません。

また、事業所単位の期間制限がかかる場合は、3年を待たずに職場を異動しなければならないケースもあります。

同じ職場で働ける?3年ルール適用後の働き方

ウイルテックのキャリアアドバイザー

派遣社員として働くには、3年ルールの抵触日を迎えた後の働き方についても知識をつけておく必要があります。主な働き方は、次のとおりです。

・派遣先企業と直接雇用契約を結ぶ

・派遣先企業内で部署異動する

・派遣元企業と無期雇用派遣契約を結ぶ

・派遣先を変更するか正社員を目指して転職する

将来的なキャリアを見据えて、どのような働き方を選択すべきか、事前に検討しておくと安心です。ここでは、それぞれの内容について解説します。

派遣先企業と直接雇用契約を結ぶ

抵触日以降も同じ職場で働き続けるために、派遣先企業との直接雇用契約を目標としているケースも多いでしょう。職場を移る必要がないため、スムーズに仕事を継続できるのがメリットです。

また、派遣会社側も派遣労働者の雇用安定に努める義務があるため、派遣先企業での直接雇用について相談してみるのも手です。条件が合えば、派遣会社が派遣先企業に直接雇用を打診してくれる可能性があります。

ただし、先に説明したとおり、直接雇用が必ずしも正社員雇用とは限らない点は押さえておきましょう。

派遣先企業内で部署異動する

派遣先企業内で部署移動をすれば、業務内容に変更は出るものの、同一企業内で働き続けられます。直接雇用を目標に業務をこなしていても、派遣先企業の状況によっては契約が難しいケースもあるでしょう。ただし、直接雇用は難しい場合でも、自社に貢献してもらいたいと思ってもらえれば、部署移動での就労継続が提案される可能性はあります。

この場合、3年ルールの期限カウントはリセットされるため、新しい部署でまた3年間勤務ができる方法といえるでしょう。

派遣元企業と無期雇用派遣契約を結ぶ

派遣元企業と無期雇用派遣契約を結ぶ形でも、3年ルールの対象外となり同じ職場で働けるようになります。なぜなら、無期雇用派遣は派遣元の事業者との間に雇用関係を結んでいるため、労働契約の更新をしなくて済むためです。

ただし、既存の有期雇用派遣契約を変更する形となるため、無期雇用派遣契約を結ぶには、派遣元企業と派遣労働者双方で合意する必要があります。そのため、安定して働き続けられる一方、派遣3年ルールの対象外となることで、派遣先企業と直接契約を結べる可能性が低くなってしまう点には注意しましょう。

派遣先を変更するか正社員を目指して転職する

実際には、3年ルールの抵触日を迎えたタイミングで、派遣会社に別の派遣先を紹介してもらい就業するのが一般的な方法の1つです。経歴や希望する条件に合った職場を紹介してもらえるように、派遣元企業と話し合うようにしましょう。

あるいは、派遣社員を終了し、正社員を目指して転職する選択肢もあります。3年ルールにより職場を転々としなければならない派遣社員に比べて、正社員であれば自分の満足する環境で長く働き続けられる可能性があるでしょう。

ウイルテックと無期雇用派遣契約を結んだ男性従業員

まとめ

派遣社員としての就労を検討している場合に避けては通れないのが、派遣法の3年ルールです。3年ルールとは、派遣社員が同じ事業所で勤務できる期間を3年までとしている決まりを意味します。

ただし、派遣社員の年齢が60歳以上である場合や有限プロジェクトに従事する場合などは、3年ルールの対象外です。自分がどの立場にあたるのかをしっかりと理解しておくことで、将来のキャリアパスを想定しやすくなるでしょう。 派遣社員として働くことを選択する際には、抵触日を迎えた後の働き方について、あらかじめ考えておく必要があります。

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