RPAエンジニアに将来性はある?必要なスキルからキャリアパスまで
「RPAエンジニアの仕事に興味があるものの、将来性が気になる」という方も多いでしょう。当記事では、RPAエンジニアの概要・仕事内容から将来性、生き残るために必要なスキル、主なキャリアパスまで徹底解説しています。
近年の日本企業は業務効率化・生産性向上への取り組みを行っていて、RPAシステムの導入を進める企業も増えています。RPAシステムの導入に深くかかわる業種が「RPAエンジニア」です。
RPAエンジニアの仕事に興味があり、将来性があるかどうか気になっている方も多いのではないでしょうか。
今回はRPAエンジニアの概要や仕事内容を説明した上で、RPAエンジニアの将来性と今後の需要から、必要なスキル・キャリアパスまでを徹底解説します。
目次
そもそも「RPAエンジニア」とは?
RPAエンジニアとは、RPAシステムの導入やロボット開発・運用支援などを行う技術者です。
RPAは「Robotic Process Automation」の略語であり、ソフトウェア上で動作するロボットにより業務プロセスを自動化することを指します。特に事務やオペレーションなどがRPAの対象領域です。
事務やオペレーションの業務プロセスは大部分がルーティン化されていて、企業の事業活動において重要であるのと同時に、人材リソースが多くかかる業務です。RPAを導入すればロボットによる業務自動化ができるため、業務負担の軽減を図れます。
企業のRPAの導入を支えることがRPAエンジニアの役割であり、業務効率化や生産性向上の取り組みを進める企業から注目されている職業です。
RPAエンジニアの仕事内容
RPAの導入では、顧客の企業にとって最適なRPAシステムを選定・構築する必要があります。RPAエンジニアはRPAの導入全体にかかわるため、仕事内容を把握しておきましょう。
RPAエンジニアの業務を3つの項目に分けて、それぞれの仕事内容を説明します。
業務分析・要件定義
最初に、RPAを導入したい企業と打ち合わせをして、企業の業務を分析します。企業へのヒアリングや業務の洗い出しをして、業務のどの部分にRPAを導入するかを決定する工程です。
RPAを導入する業務を決定したら、導入するロボットの要件定義を行います。導入対象の業務に適したロボットの仕様を考えることはもちろん、企業がロボットに求める機能や、RPA導入後の業務フローも考えて要件定義をしなければなりません。
要件定義を行った後は、決めた内容を盛り込んだ設計書を作成します。
RPAシステムの構築
作成した設計書をもとにRPAシステムを構築します。RPAシステムの構築は、RPAエンジニアにとってメインとなる業務です。
RPAエンジニアはRPA開発ツールを使用して、業務を実行するロボットの開発を行います。
開発の流れは、顧客が求める動作となるようにRPAの動作シナリオを作成し、ロボットに学習させる方法が一般的です。高度な作業の自動化が必要な場合はプログラミングも行います。
RPAシステムの完成後はテストを行い、設計書・仕様通りの動作を確認した後に導入を進めます。
RPAシステムの保守・運用
導入したRPAシステムの保守・運用を行う業務です。
RPAシステムでエラー・不具合が発生した場合には、修正などの保守対応を行います。RPAシステムのトラブルは業務の停滞につながるため、RPAエンジニアは早急な解決を図らなければなりません。
また、RPAシステムを運用するためのマニュアル作成や、実際に運用する担当者への教育も行います。企業の業務内容などに変更があった場合は、RPAシステムが現在の業務に対応できるように調整する作業も必要です。
RPAの市場動向から分かる「PRAエンジニアの将来性と今後の需要」
企業の生産性を向上させて、人的コストの削減にもつながるRPAの活用は、企業規模や業種を問わず進んでいます。
2022年における「年商50億円以上の企業の社数ベース導入率」は45%であり、半数近い企業がRPAを導入しているという状況です。
年度別の推移で見ると、RPAの市場規模は拡大を続けています。RPA関連サービス・RPA製品合計の市場規模は、2016年度には85億2,000万円であったのに対し、2019年には529億7,000万円まで拡大しました。
推移の予測では2023年度は1,520億円になるとされており、RPA市場の将来展望は明るいと言えます。
現在は実験的な導入に留まっている企業も、将来的には本格的な活用に進むと見られており、RPAの利活用はさらに拡大する見込みです。
特に近年の働き方改革推進により、残業の発生する労働体制の解消や、人手不足への対策は企業にとって喫緊の課題です。現在は事務やオペレーションといった一部業務への活用に留まっているRPAも、活用が進むにつれて業務プロセス全体への活用が進むことは十分に考えられます。
RPAの利活用の拡大・加速に伴って、RPAエンジニアの需要も高まります。RPAシステムの導入や保守・運用で活躍できるRPAエンジニアは、将来性が明るいと言えるでしょう。
RPAエンジニアが「やめとけ」と言われる理由
RPAエンジニアは将来性が明るいと言われているにもかかわらず、「やめとけ」「将来性が期待できない」という意見も少なからずあります。
RPAエンジニアを目指す方は、将来性についてのネガティブな意見も把握し、就職・転職の判断材料としましょう。
RPAエンジニアが「やめとけ」と言われる理由を、2つの観点から説明します。
最新技術を常に学び続ける必要があるため
RPAシステムの技術は日々進歩していて、RPAエンジニアが習得した知識やスキルは劣化しやすい特徴があります。
RPAシステムの開発・運用を担うRPAエンジニアは、RPAシステムの技術進歩に対応しなければなりません。最新技術を常に学び続ける必要があり、仕事に大変さを覚えやすい点が「やめとけ」と言われる理由です。
また、RPAシステムを導入する企業側にも技術進歩があるため、RPAエンジニアは企業の業務に使われている最新技術も勉強する必要があります。
技術進歩によってRPAの需要がなくなるおそれがあるため
RPAをはじめとした自動化技術は常に進歩しており、近年ではより高度なAI技術を活用した業務自動化も注目され始めています。
技術進歩によってRPAの需要がなくなるおそれがあることが、RPAエンジニアについて「将来性が期待できない」と言われる理由です。
将来的には新たな自動化手法が登場・発展するケースもあります。新たな技術が「RPAに取って代わる技術である」と評価された場合、RPAの需要は途端になくなる可能性も十分に考えられるでしょう。
RPAエンジニアが生き残るために必要なスキル4選
RPAエンジニアの将来性については明暗両方の意見が言われていて、どちらの意見にも理があります。
しかし、RPAエンジニアの需要や将来性に大きくかかわるのは、本人が持つスキルや強みです。業界で求められるスキルがあれば、RPAエンジニアとして活躍して、将来的にも生き残る可能性を高められます。
RPAエンジニアが生き残るため・将来性を高めるために必要な4つのスキルを紹介します。
RPAに関する専門的な知見
RPAエンジニアにはRPAに関する専門的な知見が必要です。「RPAシステムを導入することで何ができるか」「企業の業務効率や生産性がどのように改善されるか」を理解し、顧客に説明できるスキルを身に着けましょう。
RPAの導入を検討している顧客であっても、RPAの具体的な内容や効果を知らないケースは少なくありません。RPAエンジニアはRPAの専門家として、企業の担当者・経営者にRPAについて説明を行い、RPAプランの提案も行います。
また、RPAにも実現できないことはあります。RPAでできない内容を顧客に要望された場合は、実現できない理由を説明する能力、代案や解決策をともに考える能力も求められます。
RPA領域のセキュリティに関する知識
RPAはソフトウェア上のロボットにより業務プロセスを自動化する方法であり、不正アクセス・データ流出防止といったセキュリティ対策が必要です。
RPAシステムを標的としたサイバー攻撃に対処するために、RPAエンジニアにはRPA領域のセキュリティに関する知識が求められます。
RPAのセキュリティ対策は、RPAシステムの設計・開発時はもちろん、運用環境にも施さなければなりません。RPA領域のセキュリティに詳しいRPAエンジニアは、導入するRPAシステムに最適なセキュリティ方法を選択して、顧客の安全な業務自動化を支援できます。
技術進歩への適応能力
RPAエンジニアには技術進歩への適応能力が求められています。RPAシステムはもちろん、自動化技術にかかわるAI・データサイエンスのスキルについても学ぶ姿勢を持つことが大切です。
RPA関連の技術は進歩していて、すでにRPAとAIを組み合わせたRPA製品が登場しています。データサイエンスを活用して高度なプロセスを自動化するRPAの登場も予測されており、将来的にRPAはより多くの技術とかかわりを持つようになるでしょう。
RPAを中心として関連知識・スキルを身につけると、RPAエンジニアとして将来性を高めることにつながります。
コンサルティング能力
コンサルティング能力は、RPAの導入を検討している企業に対して、RPAエンジニアが最適なRPAシステムを提案するために欠かせない能力です。
現在のRPA導入は大企業が主体となっているものの、将来的には中小企業による導入が増えると考えられています。中小企業は企業規模や業種によって抱えている課題が異なるため、RPAによる課題解決を図るには高いコンサルティング能力が必要です。
高いコンサルティング能力を持つRPAエンジニアは、RPA導入を検討する企業に寄り添い、多角的な視点で課題解決を目指せます。
RPAエンジニアに向いている人の特徴
RPAエンジニアに向いている人の特徴を4つ紹介します。
●効率的な働き方に関心がある |
RPA導入の目的は業務効率化・生産性向上であり、RPAエンジニアは企業の業務効率化や生産性向上を第一に考える必要があります。 効率的な働き方に関心があり、目標を設定して改善を進めることが好きな方はRPAエンジニアに向いています。 |
●論理的思考力に自信がある |
RPAシステムの要件定義や設計を行う際は、顧客からのヒアリングをもとに実装する機能やロボットの動作を決めなければなりません。論理的思考ができる方は、顧客の要望をシステムに落とし込めるRPAエンジニアとして活躍できるでしょう。 |
●柔軟な対応ができる |
RPAの保守・運用業務では、導入現場の業務内容や業務プロセスの変化に合わせてRPAシステムの調整を行う必要があります。現場によって調整の方針が異なるため、RPAエンジニアとして活躍するには柔軟な対応ができることが求められます。 |
●人の話を傾聴できる |
人の話を傾聴できる方はRPAエンジニアに向いています。RPAの導入は、顧客である企業からのヒアリングをもとに進める必要があるためです。 しっかりと傾聴できる能力は、RPAシステムの運用中に発生したトラブルの詳細を聞いたり、システムの調整方針を確かめるときにも役立ちます。 |
RPAエンジニアの主なキャリアパス3選
高いスキルを持ったRPAエンジニアは、RPA業界で活躍できることはもちろん、管理職などのキャリアパスも実現できます。
RPAエンジニアを目指す方は、具体的なキャリアパスを設定して就職・転職活動を進めることがおすすめです。
最後に、RPAエンジニアの主なキャリアパスを3つ紹介します。
RPAコンサルタント
RPAコンサルタントは、顧客の業務課題の洗い出しと、RPA導入による効果予測を主に行う仕事です。RPA導入における上流工程を担っており、RPAコンサルタントが行った分析をもとにRPAエンジニアが設計などを行います。
RPAコンサルタントになるには、RPAシステムについての知見はもちろん、コンサルティングやマネジメントの経験が必要です。
効果予測などの分析精度を高めるために、データサイエンスの知識も身に着けたほうがよいでしょう。
プロジェクトリーダー・プロジェクトマネージャー
プロジェクトリーダー・プロジェクトマネージャーは、プロジェクトの計画立案・進捗管理やチームのマネジメントを行う仕事です。他にもスケジュールや予算の管理、顧客との折衝なども行います。
RPAの業務ではRPA導入・運用計画全体を1つのプロジェクトと設定し、チーム単位でプロジェクトの実現・成功を目指します。
RPAエンジニアがプロジェクトリーダー・プロジェクトマネージャーになるには、タスク管理のスキルやコミュニケーション能力を身に着けることが重要です。
AIエンジニア
AIエンジニアは、AI技術を活用してシステム開発を行う仕事です。AIは技術進歩が著しい分野であり、RPAシステムとの関係も深いため、RPAエンジニアのキャリアパスとして注目されています。
RPAエンジニアがAIエンジニアになるには、AIの専門知識を習得するとともに、RPAとAIを連携した技術についても学ぶとよいでしょう。
まとめ
RPAシステムは業務効率化・生産性向上につながるツールであり、RPAエンジニアには高い需要があります。RPAエンジニアの働き方にはいくつかの課題があるものの、基本的に将来性は明るいと言ってよいでしょう。
将来性のあるRPAエンジニアとして活躍するには、RPA領域の専門性を高めたり、技術進歩への適応能力を身に着けたりする方法があります。必要なスキルや主なキャリアパスを参考に、RPAエンジニアへの就職・転職を検討してみてください。
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