ネットワークエンジニアの将来性と今後の需要|習得すべきスキルも
ネットワークエンジニアとは、コンピューターネットワークの設計から構築と運用、保守管理までを行う技術職です。今回は、ネットワークエンジニアを取り巻く現状・需要を高める5つの要素、習得すべきスキルまで徹底解説しています。
コンピューターネットワークは活用分野が広がっていて、ネットワークエンジニアの活躍できる場所も増えています。IT系の職種の中で、ネットワークエンジニアの仕事に興味を持つ方は多いでしょう。
ネットワークエンジニアの仕事はIT技術の進歩に伴って変化しているため、IT系のスキル取得を目指すことはもちろん、将来性についても考えることが重要です。
今回はネットワークエンジニアの仕事内容などを説明した上で、将来性と今後の需要、将来性を高めるために習得すべきスキルなどを解説します。
目次
そもそも「ネットワークエンジニア」とは?
ネットワークエンジニアとは、コンピューターネットワークの設計から構築と運用、保守管理までを行う技術職です。
現代では、パソコンやスマートフォンによるデータの送受信が当たり前のように行われています。日常生活や業務活動で使用する通信環境を構築し、快適な通信が行えるように保守管理をすることが、ネットワークエンジニアの役割です。
ネットワークエンジニアの仕事内容は、大きく分けて下記の4つがあります。
●ネットワーク設計 |
顧客が求めるネットワークシステムを設計する業務です。顧客へのヒアリングをもとに要件定義をまとめて、ネットワークの構成や使用機器・使用回線などを決定した設計書を作成します。 |
●ネットワーク構築 |
設計書の内容にもとづき、実際にネットワーク機器の設置や配線をする業務です。構築するネットワークの規模が大きい場合は、ネットワーク構築に数か月がかかるケースもあります。構築後はネットワークの稼働テストを行い、問題がなければ運用開始する流れです。 |
●ネットワーク運用 |
ネットワーク運用は、構築したネットワークが正常に動作するよう維持する業務です。専用のソフトウェアを使用して稼働状況を監視し、システム障害などが発生した場合には保守作業を行います。 |
●ネットワーク保守 |
ネットワーク機器を交換したり、利用状況に応じてネットワークの強化を行ったりする業務です。 障害やトラブルが発生した場合は原因を突き止めて迅速な復旧を行い、再発予防策の検討・実施も図ります。 |
ネットワークエンジニアを取り巻く現状
ネットワークエンジニアの将来性を考えるためには、現状を把握することが大切です。現状の社会課題や業界の動向が、ネットワークエンジニアの将来性に大きく影響しています。
以下ではネットワークエンジニアを取り巻く現状を、「求人数」「給与水準」の2つの観点から説明します。
求人数
日本では、労働人口の減少が進んでおり、IT人材の確保が企業にとっての大きな課題となっています。しかし、一方でIT業界は市場規模が拡大しており、IT人材の需要は高まっています。その結果、ネットワークエンジニアの求人数は常に多く存在しています。
ネットワークエンジニアに限らずIT人材全般が人材不足であり、IT系の求人サイトでは常に求人が掲載されています。人手不足に悩まされているIT企業が多いことも見てとれる状況です。
給与水準
ネットワークエンジニアの給与水準は、IT人材が深刻な人手不足である点や、専門性の高い職種である点を理由として、一般的なITエンジニアよりもやや高くなっています。
参考として、求人サイトの情報などから抜粋したネットワークエンジニアの平均年収は「約440万~530万円」です。
ネットワークにかかわる幅広い業務を担当できるネットワークエンジニアは希少価値が高い職種であることも、給与水準の高さに影響していると考えられます。
ネットワークエンジニアの需要を高める5つの要素
ネットワークエンジニアの現状は、市場に数多くの求人が存在していて、給与水準もIT系職種の中で高い水準にあります。
ネットワークエンジニアの需要は今後も高まると言われていて、将来性の高さが魅力です。
ネットワークエンジニアの需要が高まると言われる理由を、5つの要素に分けて解説します。
IT人材不足の深刻化
IT業界における現状の課題の「IT人材不足」は、今後ますます深刻化すると見られています。日本社会の少子高齢化によって労働人口はさらに減少し、一方でIT技術の進歩によるIT人材需要は高まり続けるためです。
また、ネットワークエンジニアは専門性が高い職種であり、業界未経験や無資格ではなかなか採用されません。業界での業務経験やIT系資格がある人材は需要が高く、キャリアアップも目指せるでしょう。
クラウド化・DX化
多くの日本企業が導入しているITシステムは時代遅れとなっており、今後もそのまま使い続けていると経済損失が発生し続けると言われています。特に2025年以降は経済損失が大きく膨らむ「2025年の崖」があると指摘されており、クラウド化・DX化といったITシステムの刷新は企業にとって喫緊の課題です。
企業がITシステムの刷新を推し進めるには、専門的なIT人材が欠かせません。特にネットワークエンジニアは、クラウド化やDX化においてネットワークの設計・構築を行う重要な役割を担います。
先端技術の需要
近年はIoT(モノのインターネット)やAIによるビッグデータの活用、通信技術では5Gなど、インターネットにかかわる先端技術が数多く登場しています。
ネットワークエンジニアは、インターネット関連の先端技術を企業が活用するのに欠かせない職種です。
先端技術は今後も登場し続けて、企業はビジネスへの導入・活用を進めるでしょう。先端技術を活用する企業にはネットワークエンジニアの活躍場所があり、将来的に需要は高まると予想されています。
IT業界の市場規模の拡大
大企業を中心にクラウド化・DX化が推進されていることにより、IT業界の市場規模は拡大しています。クラウド化・DX化がある程度進んだときにも、インターネットシステムの運用や機器の保守点検は必要であるため、IT業界の市場規模は高い水準を維持するでしょう。
IT業界の市場規模が拡大することにより、ネットワークエンジニアの需要も高まります。特にシステムの運用保守にはマネジメントスキルやITセキュリティスキルが必要であり、該当するスキルを保有する人材は高収入を目指すことが可能です。
リモートワークの普及
コロナ禍や働き方改革をきっかけとしてリモートワークの普及が進み、クラウドによるデータのやり取りや、社内データへの遠隔アクセスの必要性が高まっています。
ネットワークエンジニアは、安全に活用できるリモートワーク環境を構築し、効果的なシステム運用をするために欠かせない人材です。多くのリモートワークはリアルタイム性が求められるため、安定かつ高速な通信が行えるネットワークの構築が特に重要となります。
リモートワークなどの時間や場所にとらわれない働き方は将来的に増えると考えられており、ネットワークエンジニアの需要も高まることが期待できます。
クラウド化にともなうネットワークエンジニアの仕事・需要の変化
ネットワークエンジニア全体の需要を高める最大の要因は「人手不足」であるものの、個々の将来性を左右する最大の要因は「クラウド化」にあると言えます。
従来は、社内にサーバー機器を設置する「オンプレミス環境」のネットワークが主流であり、機器の設置・設定がネットワークエンジニアの仕事内容に含まれていました。
一方で近年はクラウド環境のネットワークが主流となっていて、物理的な機器設置やネットワーク構築といった業務は減少傾向にあります。企業のクラウド化が進むにつれて、ネットワークエンジニアにはクラウド上でのネットワーク設計や構築・運用業務が求められるようになりました。
すでに説明したように、ネットワークエンジニアは需要が高まっていて、将来性もあると言われている職種です。
しかし、需要が高く将来性もあるネットワークエンジニアとは、クラウドサーバーを扱えるネットワークエンジニアのことです。クラウド化に対応できないネットワークエンジニアは、反対に需要がなくなっていくと言えるでしょう。
ネットワークエンジニアが将来性を高めるために習得すべきスキル
現代のネットワークエンジニアには「クラウド化への対応」が重要であることが分かりました。先端技術の多くはクラウドでの活用が前提となっていて、ネットワークエンジニアはクラウド化に対応できるスキルを身につける必要があります。
以下では、ネットワークエンジニアが将来性を高めるために習得すべき6つのスキルを紹介します。
クラウドサービスに関する専門知識
ネットワークエンジニアがクラウドに対応するための前提として、クラウドサービスに関する専門知識が必要です。
現代のクラウド環境の多くは、下記のクラウドサービスが活用されています。
● AWS(Amazon Web Services) ● GCP(Google Cloud Platform) ● Microsoft Azure |
また、クラウドサービスで仮想ネットワークを構築するには、さまざまなサービスの利用・連携を行います。ネットワーク設計・構築で利用するサービスについての知識も必要です。
仮想ネットワークの設計・構築スキル
クラウド環境でのネットワーク構築の手順は、利用するクラウドサービスごとに違いがあります。
AWSを例に挙げると、Amazon VPCを利用して仮想ネットワークを構築し、AWS Internet Gatewayでインターネットとの接続を行います。仮想サーバー構築にはAmazon EC2が必要です。
企業の求める要件に対応できるクラウドサービスを提案し、各サービスのネットワーク構築がスムーズに行えるネットワークエンジニアは、IT企業から歓迎されるでしょう。
プログラミングスキル
クラウドサーバーを扱うネットワークエンジニアには、プログラミングスキルも求められます。クラウドサーバーの稼働状況はソフトウェアで監視・自動制御することが一般的であり、ソフトウェアのプログラミングができるスキルが必要であるためです。
また、クラウドサーバーの環境設定をソフトウェア上で行うときにも、スクリプト使用のためにプログラミングスキルが必要となります。
Java・Ruby・Python・PHPといった主要なプログラミング言語を習得すれば、ネットワークエンジニアの仕事に役立ちます。
クラウド環境におけるセキュリティスキル
クラウド環境におけるセキュリティスキルがあることも、ネットワークエンジニアの将来性を高めるために重要です。クラウド環境を狙うサイバー攻撃は頻発しており、企業のサービス・事業活動に対する脅威となっています。
ネットワークエンジニアは、クラウド環境の設計段階からセキュリティ対策を検討し、構築時に盛り込まなければなりません。運用時にも外部からの攻撃リスクを分析し、セキュリティエンジニアなど他IT職と連携してサイバー攻撃を防ぎます。
また、サイバー攻撃は種類が多様化しており、将来的にますます複雑な攻撃が行われる可能性もあります。ネットワークエンジニアにはセキュリティ対策についての情報収集を積極的に行う勤勉さも必要です。
マネジメントスキル
クラウドサーバーの構築や運用はプロジェクト形式で行う会社が多く、ネットワークエンジニアがプロジェクトチームのリーダーとして働くケースもあります。IT人材としてのキャリアアップを目指す方は、マネジメントスキルがあったほうがよいでしょう。
マネジメントスキルの習得は、チームメンバーの管理が的確に行えるようになる点がメリットです。チーム全体の進捗を確認して判断したり、サーバー運用における問題の把握から対処までを素早く行えたりします。
マネジメントスキルを習得するには、プロジェクトマネジメント関連の資格取得を目指す方法などがあります。
英語力
クラウドサービスやクラウド技術に関する最新情報は、海外発のものがほとんどです。ネットワークエンジニアは英語力があったほうが各種ドキュメントを正確に理解できて、正しい知識の習得に役立つでしょう。
また、高い英語力を身につけていれば外資系企業・海外企業で働くこともできます。活躍する領域の選択肢を高めるためにも、英語力を鍛えることがおすすめです。
ネットワークエンジニアのキャリアパス
ネットワークエンジニアとして長く活躍するためには、段階的なキャリアアップを目標とすることが大切です。
ネットワークエンジニアのキャリアパスには、大きく分けて下記の2領域があります。
【マネジメント系のキャリアパス】
● プロジェクトマネージャー ● フルスタックエンジニア ● ITコンサルタント |
【スペシャリスト系のキャリアパス】
● サーバーエンジニア ● クラウドエンジニア ● セキュリティエンジニア |
マネジメント系のキャリアパスはIT企業の管理職を目指したい方に向いています。
一方のスペシャリスト系は、エンジニアとしての専門性を高められるキャリアパスです。知識・能力を発揮できる専門分野を持つことで、キャリアアップや転職を有利に進められます。
まとめ
ネットワークエンジニアはネットワークの設計から運用・保守までを行う仕事であり、IT人材の中でも需要が高い職業です。
特に、クラウドサーバーの知識を持つネットワークエンジニアは将来性が期待できます。ネットワークエンジニアを目指す方は、紹介した6つのスキルについて習得を目指すことがおすすめです。
また、ネットワークエンジニアのキャリアパスはマネジメント系・スペシャリスト系の2つがあります。自分が進みたい道を考えて、キャリアの構築ができる求人を探しましょう。
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