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2024.02.22

KYT(危険予知訓練)とは?4ラウンドの進め方と例題を紹介

KYTトレーニングをするウイルテックの従業員

KYT(危険予知訓練)とは、作業や職場に潜む危険な現象や有害な現象を引き起こす危険要因を、作業者自身が指摘し合うことで、危険を予知し、未然に事故を防止する訓練です。主に製造業の現場で実施されることが多く、安全に働くために重要な役割を果たしています。KYTの概要や効果、実施のコツを解説します。

この記事の監修

ウイルタス編集部

ウイルタスでは、製造業・ものづくり業界に特化した人材サービスを展開しています。
当メディアでは、求職者の方に役立つキャリア形成のノウハウから、現場で活かせるスキルや業界トレンドまで、幅広い情報をお届けしています。

KYT(危険予知訓練)とは?

KYT(危険予知訓練)とは、予期せぬ労働災害に備えて、危険要因の発見・対策能力を養うためにおこなう訓練です。製造業を中心に、多くの職場や作業場で取り入れられています。

KYTの由来となっているのは、危険「K」・予知「Y」・トレーニング「T」の頭文字です。安全に作業ができる環境を整えるうえで、KYTは重要な役割を果たしています。 ここでは、KYTの具体的な手法と歴史を解説します。

KYT(危険予知訓練)の手法

KYTは、作業中に潜む危険をいち早く見つけ出し、解決策を探す訓練です。職場の安全を守るには、一人ひとりが注意を払うことも大切ですが、チームで危険要因を共有し、対策を講じることも重要です。

また、KYTの一般的な手法としては、チームを組んで実施する「4ラウンド法」が挙げられます。4ラウンド法では、まずチーム内で実際の職場や作業の状況を記したイラストや写真を共有し、この中にどんな危険が潜んでいるか、危険要因について話し合いをします。

次に、とくに危険と考えられるポイントの絞り込みをしたうえで、事故防止のための対策を考案し、具体的な行動目標に落とし込む流れです。チームの全員が積極的に意見を出し合うことで、他人事ではなく自分たちのための安全な環境を作り上げることができます。

KYT(危険予知訓練)の歴史

KYTが最初に実施されたのは、1973年のことです。中央労働災害防止協会が、ゼロ災運動の一環としてKYTを取り入れました。

1978年には、問題解決4ラウンドと関連付けた「KYT4ラウンド法」として整備されました。翌年からは中央労働災害防止協会がKYTにまつわる研修を全国で積極的に実施するなど、普及に努めてきた背景があります。

現在では、厚生労働省の「交通労働災害防止のためのガイドライン」において、KYTが交通事故にも有効があると明記されるまでになりました。

参照:厚生労働省「交通労働災害防止のためのガイドライン

安全について協議しているウイルテックの従業員

KYT(危険予知訓練)の目的や効果

KYTの主な目的と効果は、次のとおりです。

  • 労働災害を未然に防ぐ
  • 職場の危険ポイントを洗い出す
  • 安全確認の手法を身に付ける
  • チーム内の危険意識レベルを高める

各メンバーがKYTの目的や効果を把握しておくことによって、より効果的な訓練が行えるようになります。それぞれの内容を確認しておきましょう。

労働災害を未然に防ぐ

KYTの重要な目的は、危険要因を取り除くことによる、労働災害の防止です。毎日同じ職場で似たような作業に携わっている場合、当初の緊張感が薄れてしまい、気付かないうちに労働災害が起こりやすい状態になっている可能性があります。

KYTを通してチーム一丸となって労働災害について考える時間を持つことで、これまで認知できていなかったリスクが明らかになるでしょう。KYTの実施によって、労働災害に対する意識を高める効果が期待できます。

職場の危険ポイントを洗い出す

KYTを実施することで、自身の働いている職場の危険ポイントを洗い出せます。一見問題が無いように見える場合でも、仕事の仕方によっては労働災害につながるリスクを抱えている場合があるでしょう。

KYTは、複数のチームメンバーで職場に潜む危険について話し合うことができるため、一人では気がつけなかった危険要因についても明確にできる可能性が高まります。また、危険要因が明らかになれば、職場の環境を整えたり、仕事の仕方を変えたりといった具体的な対策が必要です。

安全確認の手法を身に付ける

KYTの導入により、危険が潜みやすいポイントを見つけることができるだけでなく、作業前の指差し呼称など、安全に作業をするための手法が身に付くのもメリットです。いくら「安全に作業をしよう」と心がけていても、具体的にどのような危険が存在しているかを把握できなければ、集中力が低下する可能性があります。

KYTでは、まず職場の危険を発見するところからスタートするため、安全確認の重要性を再認識することができます。

チーム内の危険意識レベルを高める

KYTをおこなうことは、職場の作業員一人ひとりの危機意識を高めることにもつながります。具体的な安全確認の手法を身に付けられるため、今後職場を移った場合にも、安全な職場環境確保に取り組めるでしょう。

またKYTは、実際にチームメンバーと職場の危険について話し合い、対策を立てるという流れを踏むことで、チーム全体の危険意識のレベルが底上げされます。事前に話し合いをしているため、お互いに注意喚起しやすくなるのもKYTならではの効果といえるでしょう。

KYT(危険予知訓練)を実践!4ステップ

工場の倉庫の画像

KYT4ラウンド法の具体的な流れは、次のとおりです。

  • 1ラウンド:危険ポイントを洗い出す
  • 2ラウンド:危険の本質を追求する
  • 3ラウンド:危険に対する対策を立てる
  • 4ラウンド:行動目標を設定する

KYTを実施する際には、5~6人でチームを組んでおくのが一般的です。少人数のチームであるからこそ、一人ひとりが積極的に参加しやすくなります。

また、スムーズにKYTを進めるために、司会進行を担当するリーダーと書記を決めておくとよいでしょう。

次にKYT4ラウンド法の各ステップを詳しく解説します。

1ラウンド:危険ポイントを洗い出す

KYT4ラウンド法のファーストステップでは、どのような危険が潜んでいるか、職場の現状把握をする必要があります。実際の現場でKYTの実施ができる場合は、隅々まで確認しながら労働災害につながるような危険ポイントを洗い出しましょう。

しかし、実際の職場でのKYTを行うことが難しい場合は、危険予知訓練用のイラストを準備し、潜んでいる危険要因について話し合うことができます。1ラウンドで重要なのは、すべての危険要因を洗い出すことです。

そのためには、チームメンバー同士積極的にコミュニケーションを取り、意見を出しやすい環境を整えておくことが大切です。

2ラウンド:危険の本質を追求する

2ラウンドでは、洗い出した危険要因のなかで、とくに注意すべきポイントを話し合います。なぜ危険性が高いのか、その理由まで話し合うことで、危険要因に対する理解を深めることができるでしょう。

KYTでは、メンバー全員が納得して本質的な危険要因を把握しておくことが重要です。多数決などで決めてしまうのではなく、一人ひとりの意見を尊重するようにしましょう。

3ラウンド:危険に対する対策を立てる

対策が必要とされる主な危険要因に対して、どうすれば労働災害を防げるのか、解決策を考えるラウンドです。個々が対策案を出すことで、考えもしなかった新たなアイディアが生まれる可能性はあります。

そのため、できるだけ全員が納得して話し合えるような雰囲気づくりを意識して、聞き手に回ってしまうメンバーが出ないようにしましょう。

4ラウンド:行動目標を設定する

危険要因の対策が出そろったら、具体的な行動目標に落とし込んでいきます。イラストシートで危険要因の洗い出しをおこなった場合も、実際の職場を想定しながら行動目標を設定することが大切です。

労働災害を予防するためには、メンバー全員でどのような行動を取るべきかを話し合いましょう。ただし、あまりにも負担の大きい行動目標を設定してしまうと、継続するのが難しくなってしまう場合があります。そのため、効果的かつ実行可能な範囲で、行動目標の設定をしましょう。

KYT(危険予知訓練)の効果を高める3つの手法

指差し呼称をしているウイルテックの従業員

せっかく時間を確保してKYTをおこなうからには、できるだけ効果を高められる工夫をする必要があります。具体的には、次の3つの手法を組み合わせて実施することで、KYTをより効果的に実施できるでしょう。

  • 指差し呼称
  • 指差し唱和
  • 健康状態の確認

KYTとあわせて実施できる3つの手法について解説します。

指差し呼称

指さし呼称とは、対象に指を差して声を出しながら確認をおこなう手法です。指差呼称(しさこしょう)と呼ばれる場合もあります。

実際に物流や製造現場で多く用いられている手法で、集中力を高める効果が期待されます。まずは対象を目で確認したうえで指を差し、声を出して確認する流れです。

具体的には「〇〇ヨシ!」とシンプルな確認をおこなうことで、集中力が高まり、ヒューマンエラーを防止できる可能性が高まります。声だけではなく、身体を使って確認をおこなうため、目視のみでの場合よりも確実に安全確認ができるでしょう。

指差し唱和

指差し唱和とは、チームメンバーが一緒に対象を指差し、声を出して安全確認を行う手法です。

指差し呼称は、個人で安全を確認する手法ですが、指差し唱和は複数人で行うものです。

指差し唱和は、チーム内で安全な作業をするための行動目標を再認識することで、危険意識を高め、チームワークを強化する効果があります。

具体的には、班長や監督の掛け声に対して「〇〇ヨシ!」と唱和するのが一般的です。

また、チームの結束力を高める手法としては、タッチ・アンド・コールも有効です。タッチ・アンド・コールとは、チームのメンバー同士がコブシを合わせたり、手を重ね合わせながら唱和する手法です。

チームワーク強化には有効的な手法ですがメンバーの中には、触れ合いが苦手な人もいます。そのような場合は、無理にタッチ・アンド・コールを行うのではなく、他の方法で安全確認を行うようにしましょう。

健康状態の確認

作業員の健康状態が万全でない場合は、思わぬ労働災害を招いてしまう恐れがあります。仕事の仲間に迷惑をかけられないという思いから、自分ではなかなか言いだせない場合もあるでしょう。

そのため、作業をスタートする前に、チームメンバーの健康状態を確認しておくことは、安全に作業を遂行するうえで欠かせない手順です。責任者から作業員に対して、体調にまつわる質問をすることのも1つの手段です。 また、ペアを組んでお互いの健康状態を確認する方法もあります。自己申告が難しい場合を想定して、チームメンバーはお互いの顔色や作業中の姿勢など、普段と異なる点がないかを注意深く観察することも重要です。

まとめ

建物内の危険を確認しているウイルテックの従業員

KYT(危険予知訓練)とは、職場の危険要因を察知し、解決策を考える力を養うための訓練です。実際に危険を伴う作業が多い製造業の現場では、すでに広く用いられています。

KYTの主な目的は、労働災害の防止です。労働災害が起きてしまうと、作業員の健康状態に問題が出る恐れがあるだけではなく、製造遅延などビジネスにもマイナスな影響が出てしまう可能性があります。

したがってKYTを実施する際は、①危険ポイントの洗い出しと②危険の本質追求、③対策立案、④行動目標の設定という4つのラウンドを踏むのが一般的です。丁寧に各ラウンドを実施することで、自身の職場の状況を正しく把握でき、危険意識を高められます。

また、KYTの効果をより高めるためには、ご紹介した3つの手法もあわせて実施してみるようにしましょう。

チームメンバー一人ひとりが積極的にKYTに参加することで、他人事ではなく自分のこととして安全な職場環境づくりに取り組めるようになります。

KYTを実施している企業は、社員の安全を重要視している企業だといえるでしょう。ウイルタスを運営しているウイルテックでは、安全教育の受講を全正社員必須にしており、社員の安全を真剣に考えています。また、年に1度の健康診断以外にも各職場特有の健康面への影響が懸念される場合、別途個別の健康診断を実施するなど、長年にわたり健康で働き続けられる環境を整備しております。

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