設備管理に向いてる人の特徴12選|仕事に役立つおすすめの資格も
設備管理(ビルメンテナンス)とは、建物の設備を安全に使用できるよう維持・管理する仕事を指します。当記事では、設備管理の概要から設備管理に向いている人の特徴、さらに設備管理の仕事に役立つおすすめの資格まで徹底解説しています。
日本には都市部を中心に多くのビル・施設が存在し、それぞれの建物には電気・水道・空調などの設備があります。建物の設備を常に使用できるように維持管理する仕事が「設備管理」です。
設備管理の仕事に興味があり、働くにあたってどのような能力が求められるかを知りたい方も多いのではないでしょうか。
今回は、設備管理に向いている人の特徴と、仕事に役立つおすすめの資格を解説します。設備管理の求人探しをしている方や就職に向けた資格勉強をしている方は、ぜひ参考にしてください。
設備管理(ビルメンテナンス)とは?
設備管理とは、オフィスビル・商業ビルや病院、工場といった建物の設備を維持管理する仕事です。ビルメンテナンス、略して「ビルメン」とも呼ばれます。
ビルなどの建物には電気設備・水道設備・空調設備から、エレベーターのような機械設備、避難はしごや非常用照明といった防災設備まで、さまざまな設備があります。それぞれの設備が不具合なく使用できるよう、定期的な巡回・点検とメンテナンスを行うことが設備管理の仕事です。
設備の維持管理をしないままでいると、建物の利用者が安心して生活や業務ができなくなり、建物全体の劣化を招いて資産価値の低下にもつながります。利用者が建物を効率的に使えるようにし、建物の資産価値も高く維持するためには、設備管理が欠かせません。
設備管理に向いている人の特徴12選
設備管理は仕事内容がそれほど大変ではなく、比較的多くの人に向いている職業です。
中でも以下で紹介する特徴を備えている人は、設備管理の仕事を効率的に行ったり、職場での人間関係をうまく作れたりします。
以下では、それぞれの特徴が設備管理に向いている理由や、仕事にどのような恩恵があるかを解説します。
機械や設備に対する一定の知識・理解がある人
機械や設備に対する一定の知識・理解がある人は、さまざまな設備の操作方法・点検方法も学べばすぐ習得できます。設備管理ではビルの設備や工場・病院の機械を扱うため、機械や設備についてすでに一定以上の知識を持っている人に向いています。
機械や設備の中には、今まで扱った経験がないものも出てきます。そのような場合にも一定の知識・理解があれば、取扱説明書や保守マニュアルを読むだけで設備管理の業務を実行できるでしょう。
機械や設備に触れるのが好きな人
機械や設備に触れるのが好きな人は、設備管理の仕事を楽しんで行えます。設備管理の仕事では基本的に複数の建物を担当することになり、さまざまな種類の機械や設備に触れられます。
設備管理の仕事はルーティンワークが多く、仕事内容が自分に合っていなければ続けにくい仕事です。機械や設備に触れるのが好きな人であれば、ルーティンワークが多い設備管理の仕事も楽しめて、高い集中力で業務を行えます。
学習意欲がある人
学習意欲がある人は、仕事に役立つ新たな知識・技術を常に学ぼうとする姿勢を取れます。設備管理の仕事ではさまざまな機械や設備を扱うため、機械・設備についての勉強が欠かせません。
特に設備管理の仕事で活躍したい方は、資格勉強をして設備管理に関する資格を取得することが大切です。学習意欲がある人は新たな知識・技術や資格を取得できて、職場での待遇や給与アップも期待できます。
柔軟かつ臨機応変な対応ができる人
柔軟かつ臨機応変な対応ができる人は、仕事で発生する問題にも適切な対処ができます。
設備管理の仕事では、機械・設備のエラーやトラブルが発生することが少なくありません。ときには自分が持っている知識・技術だけでは解決できないケースもあるでしょう。
自分の力だけでは解決できない場合は、職場の先輩に対処方法を尋ねたり、メーカー側に問い合わせたりする必要があります。考え方の柔軟さや臨機応変さがある方は、トラブルが発生したときにも冷静な対処で解決へと導けます。
突発的なトラブルへの対応力がある人
設備管理の仕事では突発的なトラブルが発生することもあります。突発的なトラブルに対しても冷静に対処でき、解決のための作業が行える人は設備管理に向いています。
たとえば電気設備のトラブル対応で停電が発生したり、水道設備であれば漏水が見つかったりするケースもあるでしょう。そのようなときにも設備管理の担当者は動揺せず、施設内にいる人への連絡やトラブル発生箇所の確認などを行わなければなりません。
設備管理で働くにはトラブルが発生する可能性を常に考え、万が一のときに動けるように備えておく心がけが必要です。
注意力が高く小さな変化にも気付ける人
注意力が高く小さな変化にも気付ける人は、機械・設備の不調や違和感に気付きやすくなります。機械・設備で故障などが発生する前には駆動音や臭い、温度などが普段と異なることが多いためです。
注意力の高さは、日常的に「何か違うところがないか」と周囲を意識するようにすると磨けます。設備管理の仕事を目指す人は、わずかな変化にも気付けるように訓練しておくと良いでしょう。
責任感のある人
設備管理は建物の機械・設備を維持管理する仕事であり、建物の利用者の生活を守ることにつながります。建物を安全に、快適に使用できるかどうかにかかわるため、責任感のある人に向いている仕事です。
責任感のある人は、人々の生活を守ることにやりがいを感じやすく、日々の仕事のモチベーションを維持できます。「自分の仕事が人の役に立っている」という実感を持てる働き方をしたい方におすすめです。
生涯役立つ専門性を身につけたい人
設備管理の仕事で働くと、仕事を通して機械・設備に関する専門的な知識・技術を学べます。設備管理ができる人材は需要が高いため、生涯役立つ専門性を身につけたい人に向いています。
特に設備管理の仕事に役立つ資格を取得すれば、高い専門性があることを客観的に証明可能です。生涯役立つ専門性を身につけるには、資格取得も目指すと良いでしょう。
単調かつ細やかな作業でもコツコツ取り組める人
設備管理の仕事は巡回や点検作業といったルーティンワークが多く、仕事内容が単調に感じやすい傾向があります。
しかしながら、機械・設備を扱う仕事であるため、作業は細やかに行わなければなりません。仕事に慣れて手を抜いたり、不注意な状態で作業をしたりすると、トラブルや事故が発生する可能性もあるでしょう。
単調かつ細やかな作業でもコツコツ取り組める人は、高い集中力を持って設備管理の仕事をこなせます。
協調性がある人
協調性がある人は、チームワークを意識して自分の役割をこなし、目的達成に向けて邁進できます。設備管理は基本的にチーム単位で行うため、協調性がある人のほうが向いている仕事です。
特に規模が大きい工場や病院の設備管理では、複数の技術者が分担して機械・設備の巡回や点検を行います。故障・エラーなどのトラブルにもチーム全員で対応するため、協調性は身につけていたほうが良いでしょう。
コミュニケーション能力がある人
チーム単位で行う設備管理の仕事では、コミュニケーション能力も重要となります。
コミュニケーション能力と言っても、場を盛り上げるほどのコミュニケーション能力の高さは求められません。対人業務が苦にならず、チームメンバーやクライアントなど関係者との情報共有がしっかりとできる程度のコミュニケーション能力があれば十分です。
また、機械・設備のトラブルが発生した場合には、施設の利用者に状況を説明する必要があります。コミュニケーション能力が高い人であれば状況を分かりやすく説明でき、トラブル対応を円滑に行えます。
ワークライフバランスを重視する人
設備管理は初心者でも覚えやすい仕事が多く、職場によっては残業や夜勤もほとんどありません。仕事の難易度が低いため給料も低い傾向はあるものの、ワークライフバランスを重視する人に向いている仕事です。
資格取得によって専門性を高めたり、宿直や夜勤をしたりすることで昇給も見込めて、給料の低さをカバーできます。なるべく給与が高い職場で働きたい方は、求人情報の昇給や勤務条件をよく確認しましょう。
設備管理の仕事に役立つおすすめの資格
設備管理の仕事ではさまざまな設備の点検・メンテナンスを行うため、必要となる資格がいくつかあります。求人への応募要件として特定の資格が必須となるケースもあるため、設備管理で働きたい方は資格取得を目指すと良いでしょう。
ここからは、設備管理の仕事に役立つ8つの資格を紹介します。
第二種電気工事士
第二種電気工事士とは、600V以下で受電する場所での電気設備の取り扱いができる資格です。
第二種電気工事士は国家資格であり、資格を取得するには筆記試験・技能試験に合格する必要があります。受験資格はなく、誰でも受験できる資格です。
設備管理では電気設備の配線・保守などの作業を行うため、第二種電気工事士の資格取得を求められる職場が多いでしょう。
また、第二種電気工事士の上位資格には「第一種電気工事士」があります。第一種電気工事士を取得すると600V以上で受電する設備も扱えて、工場に設置される高圧受変電設備などの工事にも携われるようになります。
危険物取扱者乙種4類
危険物取扱者乙種4類は、国家資格の「危険物取扱者」の中でも、ガソリン・アルコール類・灯油・軽油などの引火性液体を安全に扱えることを証明する資格です。
危険物取扱者乙種4類は受験資格がなく、誰でも受験できます。試験は筆記のみであり、しっかりと対策勉強をすれば比較的取得しやすい資格です。
建物に設置されているボイラーや非常用発電機は、ガソリン・重油などの引火性液体を燃料としているケースが多くあります。危険物取扱者乙種4類を取得していれば、引火性液体を使用する設備の保守管理業務に携わることが可能です。
二級ボイラー技士
二級ボイラー技士は国家資格の「ボイラー技士」の中で最も等級が低く、受験資格もないため取得しやすい資格です。資格を取得することで、一般的な給湯設備や冷暖房器具に使われているボイラーの操作や保守点検を行えます。
ボイラーは、マンション・オフィスビル・入浴施設・病院・工場などの施設で設置されている設備です。設備管理の仕事ではボイラーを扱うことが多いため、資格を取得していると採用で有利になることが期待できます。
第三種冷凍機械責任者
第三種冷凍機械責任者は、国家試験の「高圧ガス製造保安責任者試験」の中で「第三種冷凍機械」を受験して取得する資格です。資格試験は受験資格がなく、誰でも受験できます。
第三種冷凍機械責任者を取得すると、1日の冷凍能力が100t未満の製造施設で保安などの業務に携われます。食品工場や冷凍倉庫などの建物での設備管理を担当するときに役立つ資格です。
なお、紹介した第二種電気工事士から第三種冷凍機械責任者までの4種類の資格は「ビルメン4点セット」と呼ばれます。
第三種電気主任技術者
第三種電気主任技術者は、国家資格の「電気主任技術者」の中でも第三種を受験して取得できる資格です。受験資格はなく、誰でも受験可能です。
第三種電気主任技術者を取得すると、50,000V未満の電気設備(出力5,000kw以上の発電所を除く)の工事や維持・運用の保安監督を行えます。
電気主任技術者は電気設備の保守管理が主要な役割であり、同じ電気系の資格である電気工事士よりも設備管理の仕事に向いています。
エネルギー管理士
エネルギー管理士は、エネルギーを消費する設備の維持やエネルギー使用量の監視・効率化などを監督する国家資格です。
エネルギー使用量が多い工場や施設では、エネルギー管理者やエネルギー管理員の選任が義務付けられています。特にエネルギー管理者はエネルギー管理士から選任する必要があるため、規模が大きい工場のエネルギー管理業務で需要がある資格です。
なお、エネルギー管理士試験は受験資格が不要であるものの、合格後の資格取得には1年以上の実務経験が必要となります。エネルギー使用の合理化に関する実務に携われる職場に就職した後に、資格取得を目指すと良いでしょう。
建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)
建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)は、建築物の維持管理と衛生管理を監督できる資格です。
床面積が3,000平方メートル以上の特定建築物は、建築物環境衛生管理技術者を選任して維持管理を監督させることが義務付けられています。特定建築物には大型の商業ビルや病院・学校などがあり、規模の大きい施設の設備管理で必要とされている資格です。
建築物環境衛生管理技術者の試験は2年以上の実務経験が必須であり、試験の出題範囲も広いため、取得難易度は高くなっています。
また、第三種電気主任技術者・エネルギー管理士・建築物環境衛生管理技術者の3つは「ビルメン三種の神器」と呼ばれています。
消防設備士乙種4類
消防設備士乙種4類は、国家資格である「消防設備士」の中でも、施設に設置された消防設備の整備・点検を行える国家資格です。乙種は受験資格がなく、誰でも受験できます。
消防設備はビル・工場・病院などの建物には必ず設置されていて、防災上の観点からも保守管理の必要性が高い設備です。消防設備士乙種4類は自動火災報知設備やガス漏れ火災警報設備といった多くの建物で採用されている設備を取り扱えるため、資格取得者には高い需要があります。
また、ビルメン4点セットに消防設備士乙種4類を加えた5つの資格は「ビルメン5点セット」と呼ばれます。
まとめ
設備管理は、建物の設備を維持管理する仕事です。機械・設備が好きな人や、対応力・注意力・責任感などがある人、チームワークで役立つ能力がある人などに向いている仕事と言えるでしょう。
設備管理の仕事で活躍するためには、ビルメン4点セット・5点セットや、ビルメン三種の神器に該当する資格の取得がおすすめです。需要が高い資格も取得すれば、良い条件・待遇での採用が期待できます。
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