電気設計はどのような仕事?業務内容と仕事に必要なスキル・資格
電気設計は、電気回路・システムを設計する仕事です。電子機器だけでなく、家電・自動車などの製造にも必要な仕事であり、幅広い業界で活躍できる資格として注目されています。しかし、電気設計の仕事内容が分からない人が多くいるのも事実です。 そこで当記事では、電気設計の仕事内容について解説します。詳しい業務内容と仕事に必要なスキル・資格、電気設計の仕事におけるキャリアプランについてもまとめています。電気設計の仕事に興味がある人は、ぜひ参考にしてください。
目次
電気設計はどのような仕事?
電気設計とは、建物や電化製品などを製造するために必要な電気回路・システムを設計する仕事です。電気業界だけではなく、建設業界や製品メーカー、インフラ整備など幅広い分野で必要とされています。
電気設計は、スマートフォンやパソコンのような電子機器だけでなく、家電や自動車にも必要不可欠です。デジタル化が進む現代では、電気設計の知識や経験がある人材の需要が一層高まっています。
具体的な仕事内容の例としては、電子回路図の作成や配電盤・制御盤設計、システムの検証・評価といった作業が挙げられます。建物や電化製品などを作る際の設計段階から開発、テスト、納品まで多くの工程に携わる重要な役割を担います。
電気設計に必要なスキル
電気設計の仕事をしたいなら、スキルを身につける必要があります。
以下では、業務で必要となる電気・電子工学の知識とCADのスキル、コミュニケーションスキルについて解説します。
電気・電子工学の知識
電気設計の仕事では、電気・電子工学についての専門知識が欠かせません。電気関連の知識や回路、信号処理などに関する基礎知識は、電気設計職の必須スキルです。
回路・システム設計を行うためには、電気回路図や回路図記号、電気シンボルを読み書きできるスキルも身につける必要があります。電気・電子工学などの専門的知識は難易度が高く、高度な理解が求められます。
電気・電子工学の知識は、大学の学科・専門学校で身につけることが可能です。ただ、大学の関連学科を卒業していない場合でも、オンラインの学習サイトや資格勉強などで学べば、電気設計の仕事に必要な知識を習得できます。
CADのスキル
設備図をはじめとする製図作業は、CADというソフトウェアを使用します。CADは電気設計の仕事において、製図や設計作業をする際に欠かせないツールです。実務でスムーズにツールを操作するために、操作方法を理解する必要があります。
CADには平面に対応した「2DCAD」と立体に対応した「3DCAD」が存在します。業務に合わせてソフトを使いこなせるように、それぞれのスキルを習得しておくと安心です。
コミュニケーションスキル
電気設計の仕事は、発注者や設計者、メーカーの担当者といったさまざまな立場の関係者と打合せを重ねて進めていきます。多くの人と関わりながら円滑に仕事を進めるためには、コミュニケーション能力の習得が必要です。
発注者の意図やニーズを正しく汲み取り、建物の構造・製品デザインと設備面の細かい調整を行うスキルが求められます。電気設備の特性によって実現できない内容を要求されるケースもあり、代替案をまとめて相手に伝えるスキルも必要になります。
専門知識を持たない相手にも、電気・工学などの高度な専門知識を分かりやすく伝えるコミュニケーションスキルが必要です。対話によって何が求められているかを理解した上で、知識とスキルを用いて発注者の理想を実現する応用力も欠かせません。
電気設計に役立つ資格
電気設計の仕事に就く際に、資格取得は必須ではありません。ただし、資格を取得しておくとスキルアップ・キャリアアップにつながり、責任のある立場を任せてもらえる可能性があります。
以下では、電気設計に役立つ資格を3つ紹介します。
電気工事士
電気工事士は、安全を確保しつつ電気設備工事を進めるために、建築工事現場で働く際に求められる国家資格です。電気設計に関する基本的な知識も習得できます。受験資格がないため、年齢や学歴に関係なく、誰でも挑戦可能です。
電気工事士の資格には、第一種電気工事士と第二種電気工事士の2種類があります。それぞれ作業可能な範囲が異なるため、自分に合った資格取得を検討するのが大切です。
第二種電気工事士が一般住宅や小規模な店舗などの設備工事に従事できるのに対し、第一種電気工事士の資格では、ビルや工場といった大規模な工事にも従事できます。
電気工事士資格は、国家資格に合格して取得するのが一般的です。しかし、第二種電気工事士資格は、専門学校の卒業と同時に試験なしで取得できるケースもあります。
電気主任技術者
電気主任技術者は、事業用の電気工作物の保安や監督などを担うための国家資格です。「電検」とも呼ばれ、電気設計技術者のための代表的な資格として知られています。
電気主任技術者の資格は、第一種から第三種までの3種類があります。資格ごとに作業できる電気工作物の範囲が異なるのが特徴です。
第一種を取得すると、すべての電気工作物の保安・監督を担当することができます。第二種は電圧17万ボルト未満の事業用電気工作物、第三種は電圧5万ボルト未満の電気工作物(出力 5千キロワット以上の発電所を除く)の保安・監督を担当することが可能です。
試験は、マークシート式と記述形式の2段階で合否が決定されます。合格率は第三種で10%前後、第二種と第一種では3%前後と言われています。難易度は高いものの、社会的な評価が高く、就職やキャリアアップに有利になりやすい資格です。
電気工事施工管理技士
電気工事施工管理技士とは、電気工事の施工管理や監督に従事できる国家資格です。資格取得者は、電気工事業界だけではなく、建築業界でも活躍できます。
電気工事施工管理技士の資格は、1級と2級に分かれています。2級を取得すると施工管理業務に従事でき、1級を取得すると工事の指導監督業務に従事することが可能です。試験は学科試験と実地試験の2段階で実施されます。
1級・2級ともに試験自体の難易度は高くなく、比較的取得しやすい資格です。ただ、受験資格が設けられており、電気工学関連の専門課程を卒業している、電気工事の実務経験が1年以上あるなどの条件を満たしていなければ受験できません。
電気設計のキャリアプラン
電気設計の仕事に就くことで目指せるキャリアプランは、以下の通りです。
スペシャリスト | 電気回路に関する深い知識と高度な技術力を活用して、製品・システムの開発に貢献します。 |
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プロジェクトマネージャー | 製品・システムの開発プロジェクトにおいて、チーム全体をまとめて開発成功に導きます。 プロジェクトの進捗管理や予算管理などを行うため、マネジメントスキルも必須です。 |
経営層 | 企業の方向性を決める立場で電気設計部門を統括する役割を担います。 専門知識に加えて、経営管理スキルやリスクマネジメントスキルも必要です。 |
研究開発職 | 企業や大学において、電気回路の設計に関する研究と開発を行う専門職種です。 電気回路の性能向上やコスト削減、消費電力の低減などを目指して研究・開発を行います。 |
電気設計の実務経験を積み、コンサルタントとして独立する道もあります。電気設計の仕事は日本企業だけではなく、建築業界・精密機械業などの外資系企業でも需要があるため、グローバル企業への転職を目指せます。
まとめ
電気設計は、建物や電化製品などを製造するために必要な電気回路・システムを設計する仕事です。建設業界や製品メーカー、インフラ整備など幅広い分野で必要とされており、デジタル化が進む中で需要が高まっています。
電気設計の仕事で必要なスキルは、電気・電子工学の知識とCADのスキル、コミュニケーションスキルの3つです。
仕事をするために必須の資格はありませんが、電気工事士・電気主任技術者・電気工事施工管理技士の資格を取得しておくと、スキルアップやキャリアアップにつながるでしょう。