インフラ設計とは?主な業務からメリット・目指す方法まで徹底解説!
インフラ設計は、あらゆる企業の業務環境を支える要となる業務です。今回は、インフラ設計の概要や具体的な業務内容や「設計~運用」の主なステップ、さらにインフラ設計に携わる魅力と大変なところなどについて徹底解説しています。
インフラ設計は、ITシステムの基盤を構築する重要なプロセスであり、企業の業務環境を支える要となる業務です。要件定義から設計書作成までの工程を通じて、情報漏れやシステム障害などのリスクを回避しつつ、安定したシステムを構築・運用できる計画を立てなければなりません。
当記事では、インフラ設計の業務内容や運用までの基本的なステップ、仕事のメリット・魅力などを解説します。インフラ設計が気になる方や、インフラエンジニアを目指す方に役立つ情報が満載です。ぜひ最後までご覧ください。
インフラ設計とは?
インフラ設計とは、ITシステムの基盤を構築するために必要な環境を、計画・設計するプロセスです。サーバーやネットワークの配置、クラウドサービスの利用、セキュリティ対策など、システム全体がスムーズに稼働するように設計を行います。
インフラ設計は、ITシステムを構築する上で非常に重要なフェーズです。適切な設計が行われなければ、システム障害やセキュリティリスクが発生する可能性があります。
インフラ設計とインフラ構築・インフラ運用の違い
インフラ設計・インフラ構築・インフラ運用は、いずれもシステム開発においてインフラエンジニアが関与する主要なフェーズです。インフラエンジニアとしてのキャリアを築くのであれば、それぞれの違いを理解しておきましょう。
まず、インフラ設計は、システムの要件を満たすための最適な環境を設計するフェーズです。インフラ構築は、インフラ設計で決定されたプランに基づき、実際にサーバーやネットワーク機器を設置・設定するフェーズです。インフラ運用は、構築されたシステムが安定して稼働するように、定期的な監視やメンテナンスを行うフェーズを指します。
3つのフェーズの中で、インフラ設計は上流工程と呼ばれるフェーズです。システム全体の基盤を決定するため、その重要性は非常に高いと言えます。
新人のインフラエンジニアは、まず運用後の保守から基本的な技術を習得した後、構築フェーズを経験しながら設計フェーズへとキャリアアップしていくのが一般的です。
インフラ設計のスキルを磨くことで、より大規模なプロジェクトに携わる機会が増え、エンジニアとしての市場価値も高まります。
インフラ設計の具体的な業務
システム開発プロジェクトは、インフラ設計から運用までの工程に大きく分けられます。その中でも、システムの基盤を確立するインフラ設計は、さらに工程が細分化されるフェーズです。
ここからは、インフラ設計の主な業務となる「要件定義」「基本設計書の作成」「詳細設計書の作成」を解説します。
要件定義
要件定義は、インフラ設計の最初の段階で、システムのゴールや必要な機能を明確にする工程です。ここでは、プロジェクトの目的や要件、期限を具体的に定め、その後の設計・構築作業の基盤を築きます。
要件定義には、システムの利用目的や導入する技術、セキュリティポリシーなど、さまざまな項目が含まれます。以下は、要件定義で設定する項目の例です。
● 導入するハードウェアの数やスペック ● オンプレミスかクラウドの選択 ● データ格納領域とOSの種類 ● システム監視体制とセキュリティ対策の大枠 |
これらの項目を定める際には、現場でのヒアリングやノウハウの共有が重要です。要件定義でミスや不備があると、その後の設計書作成や構築作業が滞ったり、システムの品質が下がったりしかねません。そのため、担当者には経験豊富なインフラエンジニアが求められます。
基本設計書の作成
基本設計書は、要件定義を基にシステム全体の構成を大枠で示す設計書です。この段階では、具体的な設定値やパラメータは決定しません。しかし、システム全体の構成や方針を明確にし、プロジェクトの方向性を定める重要なドキュメントです。
以下は、基本設計書で設定する項目の例です。
● ハードウェア構成図 ● ソフトウェア構成図 ● ネットワーク構成図 ● サーバーの用途・数・スペック ● OSの種類・バージョン ● バックアップ頻度・リストア方式 ● 拡張性 ● セキュリティ対策の大枠 ● 運用・保守性の大枠 |
基本設計書は、システムの安定性や拡張性を確保するための設計方針を明示します。たとえば、どのようにしてサーバーの冗長性を確保するか、セキュリティ要件に応じてどの程度の暗号化が必要となるかなどです。
この設計書を基に、詳細設計書の作成や実際の構築作業が進められるため、基本設計書の品質がプロジェクト全体の成功に直結します。
詳細設計書の作成
詳細設計書は、基本設計書で決めた大枠の設計を、具体的な設定値やパラメータに落とし込むドキュメントです。この段階では、サーバーやネットワーク機器の具体的な設定値、セキュリティ設定、データバックアップの方式などを詳細に記載します。
詳細設計書は、システム構築の際に作業者間の認識のズレを防ぎ、正確な作業を可能にするドキュメントです。また、問題発生時のトラブルシューティングや、システムの変更・追加に伴うメンテナンス作業を円滑に進めるための重要な指針にもなります。
インフラ設計からインフラ運用までの基本的なステップ
インフラ設計から運用までのプロセスは、システムの安定稼働を実現する重要なステップです。以下では、このプロセスを4つのステップに分けて説明します。
【STEP(1)ニーズや要件に応じたインフラ設計の実施】
最初は、ニーズや要件に応じたインフラ設計です。ここでは、丁寧にヒアリングしたプロジェクトの目的や要件に基づいて、インフラ全体の構成を計画します。たとえば、必要なサーバーの数やスペック、ネットワークの構成、セキュリティ対策などです。
この段階での設計が正確であるほど、後の工程がスムーズに進行します。
【STEP(2)インフラ設計に応じたインフラ構築の実施】
設計が完了したら、次に行うのはその設計に基づいたインフラの構築です。この段階では、設計書を基に、実際にサーバーやネットワーク機器を設置・設定します。手順を守らない場合、後々のトラブル対応やシステムの更新が複雑化する恐れがあるため、必ず設計書通りに構築しなければなりません。
もし構築中に設計上の問題が発見された場合は、一旦作業を中断し、設計書自体を見直す必要があります。
【STEP(3)構築したインフラの各主動作テスト】
インフラ構築が完了したら、次は各種動作テストです。これは、構築したシステムが設計通りに動作するかを確認するための重要な工程です。テストでは、システムの正常動作を確認するだけでなく、地震や停電などの非常事態を想定したシミュレーションも行います。
テストで問題が発見された場合は、運用開始前にすべて解決しておかなければなりません。この段階での徹底したテストが、運用中のトラブル発生を防ぐ鍵となります。
【STEP(4)運用開始】
テストが完了し、問題がないことが確認されたら、いよいよ運用開始です。運用開始直後は、システムが安定して稼働しているかを注意深く監視する必要があります。特に、運用初期は予期しないトラブルが発生するケースが多いため、頻繁なチェックと迅速な対応が求められます。 インフラの長期的な安定稼働には、システムの保守・管理体制を整え、定期的なメンテナンスを行うことも重要です。
インフラ設計に携わることのメリット・魅力
インフラ設計に携わることには、多くのメリット・魅力があります。インフラ設計は企業の基盤を支える重要な業務であり、その経験を通じて技術的なスキルや信頼性、市場価値を高められるためです。
ここからは、インフラ設計に参画する代表的なメリット・魅力を4つ説明します。
スケールの大きいプロジェクトに携われる
インフラ設計に関わるエンジニアは、大規模なプロジェクトに携わる機会が豊富です。たとえば、数百台のサーバーやネットワーク機器を使用するプロジェクトや、複数の拠点を結ぶ広域ネットワークの設計など、スケールの大きい仕事に従事します。
このような経験を重ねれば、エンジニアとしてのスキルが飛躍的に向上し、次のステップへ進むための貴重な実績を着実に積めるでしょう。
最新の技術や動向を学べる
インフラ設計の現場では、常に最新の技術や業界の動向を追う必要があります。クラウドコンピューティングの進化や新しいセキュリティ技術の導入など、インフラエンジニアとして新しい技術を学び続けなければなりません。
業界の最前線で活躍を続ければ、エンジニアとしての専門知識が深まり、技術トレンドに敏感な実力者として評価される機会が増えます。最新技術を積極的に取り入れる姿勢は、今後のキャリアアップでも大いに役立つでしょう。
インフラエンジニアとしての信頼性を高められる
インフラ設計に成功すると、インフラエンジニアとしての信頼性が大きく向上するのもメリットの1つです。設計したシステムが安定して稼働し、プロジェクトが順調に進めば、クライアントやチームからの信頼を獲得できます。
信頼性が高まると、より多様なプロジェクトへ参画する機会やリーダーシップを発揮する機会も増えるでしょう。着々と実績を上げればキャリアの選択肢が広がり、異なる分野や新しい役割への挑戦も可能になります。
インフラエンジニアとしての市場価値を高められる
インフラ設計に携わるエンジニアは、その経験を通じて市場価値が高まるのもメリットです。インフラ設計は高度な専門知識とスキルを要するため、豊富な経験を持つエンジニアは多くの企業から高く評価されます。
市場価値の高いエンジニアは報酬面でも優遇される可能性が高く、安定したキャリアと収入を得られるでしょう。転職市場でも有利な立場に立てるため、さらなるキャリアや収入を目指して転職するインフラエンジニアも少なくありません。
インフラ設計の大変なところ
インフラ設計には多くのメリットや魅力がある反面、エンジニアとして成長する過程で避けられない苦労も存在します。これらの大変さを理解し、乗り越えることで、より一層スキルアップでき信頼も得られるでしょう。
ここからは、インフラ設計の大変な点を3つ解説します。
常に学ぶ姿勢が必要となる
インフラ設計に携わるエンジニアは、常に新しい技術や知識の習得が必須です。IT業界は日々進化しており、クラウド技術やセキュリティ対策、新しいネットワークプロトコルなどが次々と登場します。
これらに対応するためには、最新情報をキャッチアップし、自身のスキルを更新し続けなければなりません。ただ、学習の負担は大きいものの、技術の進化に対応できる柔軟なスキルをもっていれば、長期的なキャリア形成においても有利になります。
プロジェクトの納期に追われやすい
インフラ設計の業務は、プロジェクトの進行状況やクライアントの要望に応じて厳しい納期が設定される場合があります。プロジェクトが進むにつれ、設計内容の変更や追加要求が発生し、それに対応するためにスケジュールが圧迫されるケースも少なくありません。
しかし、こうしたプレッシャーを乗り越えれば、プロジェクトマネジメントスキルや効率的な業務遂行能力が磨かれます。結果として、自身の信頼性や価値も高められるでしょう。
素早いトラブル対処が求められる
インフラ設計において、予期せぬトラブルやシステム障害の発生は避けられません。これらの問題が発生した際には、迅速かつ的確な対応が必須です。
特に、運用開始直後のシステムでは、初期の安定稼働を確保するために、24時間体制での監視や即時対応が必要になるケースが大半です。
緊急対応のプレッシャーは大きいですが、トラブルを乗り越える経験はエンジニアとしての自信を深めることにもつながるでしょう。また、今後の業務において迅速な問題解決能力を発揮する基盤にもなります。
設計業務に携わるインフラエンジニアの平均年収
設計業務を担当するインフラエンジニアの平均年収は、約400万円~600万円が一般的な目安です。この金額は実際の求人情報に基づき算出したものであり、経験やスキル、勤務先の企業規模によっては基準が異なる場合もあります。
なお、募集されている仕事内容は、設計だけでなく構築もセットで担当するケースが少なくありません。上流工程の設計に携わるエンジニアは高い専門性が求められるため市場価値が高く、経験の豊富さによってはより高い年収も目指せるでしょう。
設計業務に携われるインフラエンジニアを目指すためには?
設計業務に携われるインフラエンジニアを目指すのであれば、実務経験を積みながらスキルを磨き、着実にキャリアアップを図る必要があります。
インフラエンジニアのキャリアは、まず運用保守やテスト業務からスタートし、その後構築工程に進むのが基本的な流れです。設計業務はインフラ構築の上流工程に当たり、ミスが許されないフェーズでもあるため、十分な経験と専門知識を備えていなければなりません。
一般的に、設計業務を担当できるようになるまでには、最低でも3年以上の実務経験が必要とされています。特にサーバー・ネットワーク、クラウドといった分野での専門知識は不可欠です。
設計業務に携わるのであれば、技術的なスキルだけでなくアプリケーション担当者や顧客などとのコミュニケーション能力も重要です。これにより、要件を満たしつつ、コストパフォーマンスに優れたインフラ設計が実現できます。
また、日々の業務を通じてスキルを磨きつつ、最新の技術動向にも敏感でなければなりません。段階的にキャリアを進めながら、設計業務に必要な知識と経験を積み重ねていくことが、インフラエンジニアとしての成功につながるでしょう。
まとめ
インフラ設計に携わるエンジニアは、技術的な挑戦を楽しみながら、スケールの大きなプロジェクトに関われる職種です。大変な側面もあるものの、市場価値が高くキャリアアップの機会にも恵まれているため、長期的に安定した成長が期待できるでしょう。
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