テスト・評価とは?主な仕事内容から向いている人の特徴まで解説!
エンジニア業界における評価とは、開発成果物が適切に動作するかどうかをテストする仕事です。当記事では、テスト・評価の仕事内容と必要とされる業種、身につくスキルについて解説しています。評価の仕事に興味のある人は、ぜひご覧ください。
ひとくちにエンジニアと言っても、その職種はさまざまです。スキルや得意分野を生かしてエンジニアとして働くには、自分に合った職種を見極めることが大切と言えます。
エンジニア職の1つに、テスト・評価に特化した仕事があります。自分にぴったりの職種を探している人は、テスト・評価の仕事にも目を向けてみましょう。
今回は、テスト・評価の仕事内容と必要とされる業種、身につくスキルについて解説します。テスト・評価の仕事に向いている人の特徴も紹介するため、ぜひ参考にしてください。
エンジニア業界における「テスト・評価」とは?
エンジニア業界におけるテスト・評価とは、システムエンジニアやプログラマーが作り上げた開発成果物が適切に動作するかどうかテスト・評価をする仕事です。「テストエンジニア」「評価検証エンジニア」と呼ばれることもあります。
テスト・評価が必要となる成果物の具体例は、下記の通りです。
● 各種システム ● ハードウェア ● ゲームソフト ● アプリケーションソフト |
テスト・評価は、ユーザーの視点で作業を行います。実際にシステムやソフトウェアを使用し、エラーや問題点がないかどうかチェックします。ただし、具体的な目的はテストの種類によってさまざまです。
テスト・評価で行う主なテスト内容とそれぞれの目的は、下記の通りです。
テスト内容 | 目的 |
単体テスト | モジュールが正確に動くかどうかを調べる |
結合テスト | モジュール同士を組み合わせた場合に問題が生じないかを調べる |
回帰テスト (リグレッションテスト) | プログラムのバグ取りや変更により新たな問題が生じていないかを調べる |
システムテスト | システム全体の動作が適正かどうかを調べる |
ベンチマークテスト | システムの処理能力やスピードなどを評価する |
オペレーションテスト | 実際の使用環境でシステムが問題なく動くかどうかを最終確認する |
作業の難易度は仕事内容によって異なり、未経験者でも対応できるものもあれば、経験とハイレベルなスキルが求められるものもあります。
テスト・評価が必要とされる主な業種
テスト・評価のスキルは、さまざまな業種で必要とされています。
テスト・評価が必要とされる主な業種は、下記の通りです。
●自動車製造現場
自動車製造現場では、製造に使われる部品のテスト・評価を行います。部品数に比例してテスト・評価の工程も多くなります。また、組み立てる工程においてもテスト・評価が必要です。
●ゲーム開発現場
ゲーム開発現場でのテスト・評価の役割は、主にゲームの動作チェックです。実際に仕様書に沿ってプレイし、動作の不具合やバグがあればプログラマーに伝えます。エラーやバグが起こらない状態になるまでテスト・評価の作業が繰り返されます。
●ITシステム開発現場
ITシステム開発現場では、テスト・評価によるソフトウェアの動作チェックが必須です。ユーザーが問題なく使用できるように、実際に使用した上でテスト・評価を行います。
2. テスト・評価の具体的な仕事内容
テスト・評価とひとくちに言っても、すべきことは多岐にわたります。テスト計画の策定やテスト後の分析もテスト・評価の大事な仕事です。
テスト・評価の仕事は、内容によってオペレーターとスーパーバイザーの2つのポジションに大別されることがあります。それぞれの主な役割は、下記の通りです。
オペレーター | ● 手順書の作成 ● テストの実施 ● スーパーバイザーへの報告 |
スーパーバイザー | ● テストと評価に必要な期間や予算の計画 ● オペレーターのフォロー |
以下では、テスト・評価の具体的な仕事内容を解説します。
テスト計画
システムやソフトウェアのテストを行うにあたり、まずは具体的な計画を立てます。スムーズにテストを進めるには、テストの目的をしっかりと考えた上でスケジュール・測定方法などを検討することが大切です。
テストの手順書や項目リストを丁寧に作成することで、計画の実施やテスト後の分析作業を進めやすくなります。
テスト計画の策定は、未経験者ではなくある程度経験がある人が任されるケースがほとんどです。
テスト実施
気温・湿度・機材の種類などテストに必要な環境や条件を整え、テスト中に入力するテストデータを作成します。テストデータの作成が不十分な場合、テスト漏れが起こる可能性が高くなるため注意しましょう。
準備が整ったらテスト計画に沿ってシステムやソフトウェアなどのテストを実施します。手順通りにテストを実施する作業は、未経験者でも取り組みやすい内容です。
テスト結果の評価・分析
テスト結果で得られたデータを分析して、基準をクリアしているかどうか評価します。評価が難しい場合や不具合がある場合は、異なる条件下で再度テストを実施し、過去のデータと比較しつつ分析を続けなければなりません。
テストが終了次第、結果をまとめて報告書を作成します。テスト・評価の仕事の中でも重要度が高い仕事であり、テスト計画の策定と同様に経験者が担当するケースも多く見られます。
課題の明確化と改善策の提案
不具合がある場合は、原因を特定して課題を明確化します。ユーザーにとってより良い製品やサービスを提供できるように、改善策を考案するのもテスト・評価の仕事の1つです。
テスト・評価で見つかった課題や改善策は、開発現場に伝えられ今後の開発に活かされます。テスト計画の策定やテスト結果の評価・分析業務と同様に、テスト・評価の経験をある程度積むことで担当できるようになるでしょう。
資料作成
テスト・評価で見つかった課題や改善策をまとめた資料を作成します。開発現場では資料の内容をもとに改善に向けた作業を実施するため、分かりやすい内容に仕上げることが重要です。資料のクオリティが高いほど開発現場の作業がはかどりやすくなります。
また、プロジェクトの一員として打ち合わせに参加する場合もあります。作成した資料は、開発現場だけでなく企業全体や社外に共有されることもあるでしょう。
【テスト・評価】1日の勤務スケジュール例
テスト・評価をする人の平均勤務時間は約7.7時間、1日あたりの平均残業時間は約100分です。
実際にテスト・評価にあたる人の1日の勤務スケジュール例は、下記の通りです。
9:00 | 出社、朝礼、メールチェック、社内ブログチェック |
10:30 | 打ち合わせ、テスト・評価業務 |
11:45 | 昼休み |
12:30 | テスト・評価業務、進捗の報告 |
17:30 | 終礼 |
18:00 | 残業 |
20:00 | 退社 |
午前中はメールチェックやチーム内での打ち合わせを行い、午後はテスト・評価業務に集中する人が多く見られます。社内ブログがある場合は、課題解決ノウハウが書かれた記事に目を通しておくことも大切です。
1日のスケジュールがルーティーン化しやすいため、慣れてしまえば仕事のペースがつかみやすい業種と言えます。作業の進捗状況によっては、終礼後に残業が必要になる場合もあるでしょう。
テスト・評価の仕事によって身につく4つのスキル
テスト・評価の仕事は、テスト実施以外にもさまざまな業務への対応が必要です。担当する業務内容が増えると、基礎知識や専門知識だけでなくOAスキルや正確さなどのスキル取得もできます。
ここからは、テスト・評価の仕事によって身につく4つのスキルを詳しく解説します。
開発全般に関する知識
テスト・評価は、システムやソフトの開発初期段階から納品まで深く関わる仕事です。そのため、開発の過程やIT機器の仕様など、ものづくりのベースや裏側を間近で見て開発全般に関する知識を体系的に学ぶことができます。
未経験者でも、学んだ知識を活かしてテスト・評価の専門職を目指すことが可能です。キャリアアップを目指したい人にとって、テスト・評価の仕事はメリットが大きい職種と言えます。
開発全般に関する知識が深まった段階でソフトウェアテスト技術者資格認定などの資格を取得しておくと、知識や経験の裏づけになります。
コンピュータの専門知識
システムやソフトウェアのテスト・評価には、プログラミング言語や回路設計などコンピュータの専門知識が必要です。テスト・評価の経験がなくても挑戦できる職場が多く、仕事を通じてコンピュータの専門知識を幅広く身につけられます。
コンピュータの専門知識があれば、転職やキャリアチェンジもスムーズです。IT業界で活躍したいと考えている人にとって、テスト・評価は特にプラスになる仕事と言えるでしょう。
OAスキル
テストの手順書や項目リストの作成、報告書や資料作成などの作業は、テスト・評価の仕事で日常的に行います。テスト・評価の仕事を続けるうちに、Word・Excel・PowerPointなどのOAスキルが身につきます。
PowerPointを使って書類を作成する機会も多く、情報図解化スキルや装飾スキルも身につくでしょう。
また、操作スキルだけでなく文章力や構成力なども高めることが可能です。正しい文章で分かりやすい書類を作成するスキルは、キャリアアップの武器にもなります。
正確さ・慎重さ
テスト・評価の仕事は、正確さや慎重さが身につきます。
テスト・評価は、テスト実施や結果分析に誤りがないように常に正確かつ慎重に作業をしなければなりません。テスト環境の違いやデータ入力の誤りは、システムやソフトウェアの品質に悪影響を及ぼします。
1つ1つの作業を正確かつ慎重に行えるスキルが身につくことで、テスト計画の策定・課題の明確化・改善策の提案など経験が求められる仕事も対応できるようになるでしょう。
テスト・評価はどんな人に向いている?
テスト・評価の仕事に適性がある場合、転職やキャリアチェンジがスムーズです。テスト・評価の仕事に向いている人の特徴は、下記の通りです。
● ものづくりに情熱を注げられる人 ● 新たな技術の学習意欲がある人 ● 情報収集が得意な人 ● 根気強い人 ● 真面目で几帳面な人 |
ここでは、それぞれの特徴がどのような人を指すのか具体的に解説します。
ものづくりに情熱を注げられる人
テスト・評価の役割は、システムやソフトウェアを品質の高い状態に導くことです。そのためには、何度もテストと分析を繰り返して、改善点を的確に開発現場に伝える必要があります。
実際に現場で開発をするわけではないもの、テスト・評価はものづくりを支える重要な役割を担っています。「良いものを作りたい」「ユーザーにとって役立つものを作りたい」という情熱が強い人ほど、テスト・評価の仕事に向いているでしょう。
新たな技術の学習意欲がある人
テスト・評価の仕事は、新たな技術の学習意欲が高い人にもおすすめです。例えば、「コンピュータの専門知識を習得したい」「新しい技術を用いた製品に興味がある」など、新しい分野に興味関心を持って取り組める人を指します。
新しい技術に興味関心を持って働ける人は、日々進歩するIT業界の仕事に適しています。学習意欲が高い人は自分で考えて努力できるため、テスト・評価の経験がなくても採用につながりやすいでしょう。
情報収集が得意な人
テスト・評価の仕事は、情報収集が得意な人にも向いています。
「過去に同様の製品はなかったか」「改善に役立つ事例はないか」など、必要な情報を探し出せる人は分析や改善策の提案がスムーズです。
また、日常的にスキルアップに役立つ情報収集ができる人ほどキャリアアップを目指しやすくなります。社内ブログやIT系の情報サイトなどをチェックして、自分に不足しているスキルを補うことも大切です。
根気強い人
テスト実施は単純作業が続きやすく、根気強さや集中力が求められます。同じ作業を何度も繰り返すことが多く、集中力が途切れると単純ミスが起こりやすくなるため注意が必要です。
安定した品質が得られるまでコツコツ作業を続けられる人は、テスト・評価の仕事に向いていると言えます。肩こりや目の疲れなども起こりやすい仕事ですが、品質保証の基準をクリアできた瞬間の達成感はひとしおです。
真面目で几帳面な人
テスト・評価は、淡々と作業をこなす地道な仕事です。一方で、手抜きが許されない仕事でもあるため、真面目で几帳面な人に適しています。
小さな不具合やミスがシステムやソフトウェア全体に悪影響を及ぼすこともあるため、丁寧にテストを行った上で分析結果を正しく開発現場に伝えなければなりません。
開発現場とのスムーズな情報共有が必要となるため、報告・連絡・相談を徹底できる真面目な人が適しています。
まとめ
テスト・評価は、主に自動車製造現場・ゲーム開発現場・ITシステム開発現場などの現場で必要とされる仕事です。
テスト・評価の仕事を続けることで、開発全般に関する知識やコンピュータの専門知識などが身につきます。OAスキルや正確さ・慎重さも身につくため、キャリアアップを考えている人にもぴったりの仕事です。ものづくりが好きな人や根気強くて真面目な人に向いています。
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