半導体のはなし
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2024.06.14

半導体不足はなぜ起きた?いつまで続く?原因や与える影響を解説

半導体不足はなぜ起きた?いつまで続く?原因や与える影響を解説

半導体を使用した製品は、身のまわりにあるもののほとんどに該当します。連絡ツールとして必要なスマートフォンや調理に便利な電子レンジ、移動手段に活用する自動車や電車など生活の一部として重要なものばかりです。そのため、半導体不足が話題になるほど「原因ってなに?」「これからどうなっていくの?」「自動車や電化製品を新調しようと検討しているけど大丈夫かな」など、不安になることも多いでしょう。そこで今回は、半導体不足が起きた原因や世の中に与える影響にくわえて、解消の見込みはあるのかといった点を解説します。

半導体不足はなぜ起きた?考えられる5つの原因

半導体不足は、需要と供給のバランスや国際情勢など、いくつかの原因が複雑に絡み合い発生しています。一つひとつの詳細を理解し、半導体不足が起きた原因を把握しましょう。ここでは、半導体不足を招いたと考えられる5つの原因を紹介します。

原因1|新型コロナウイルスの感染拡大

1つめは、新型コロナウイルスの感染拡大が原因として挙げられます。感染拡大を少しでも防ぐため、リモートワークや教育現場におけるオンライン授業が行われ、それに伴いパソコンのほかタブレットなどの電子機器が普及しました。移動手段として公共交通機関ではなく自家用車を選ぶ人が増えたことなど、生活様式の変化も相まって半導体製品の需要が急増し、不足する事態に陥っています。また、半導体は製造に高度な技術と長い時間を要する精密機械です。コロナ禍による半導体工場の一時的な操業停止や従業員の出勤制限により、生産が追いつかない状況も発生しました。生活様式の変化により需要が増加する一方で供給体制が縮小してしまったことも、新型コロナウイルスの感染拡大によって半導体不足を招いた要因です。

原因2|半導体の需要増加

半導体の需要は生活様式の変化に伴うもの以外に、人工知能や5G通信などのシステム関連でも高まっています。さまざまな方面からの需要が増加する中で、コロナ禍での世界的経済の停滞や半導体工場の操業停止・閉鎖が相次ぎ、半導体不足はより顕著に現れました。需要が供給を上回る状態となり半導体の価格は高騰したものの、半導体が自社の製品生産に欠かせない企業は高価格でも購入に踏み切ります。需要の増加から価格が上昇し、さらに需要が増加するという流れにより、供給体制がひっ迫する悪循環へとつながる状況です。特に半導体集積回路の材料である、ウエハの製造が多く行われる中国上海市が2か月間のロックダウンとなった際は、半導体製品の生産に大きく影響をもたらしました。

原因3|中国に対するアメリカの輸出規制

半導体不足の背景には製造現場の問題以外に、アメリカと中国の経済・技術面での対立も影響しています。半導体はパソコンや自動車などの製品以外に、ミサイルや戦闘機といった軍事分野の制御システムにも利用される材料です。アメリカは安全保障を目的として中国への輸出規制を設け、中国の半導体生産の技術開発に制限をかけています。輸出規制はトランプ政権から始まり、バイデン政権に移行した後はさらに強化されている状態です。2022年には輸出規制の対象となる種類や用途が拡大され、より厳しさを増しています。この輸出規制は対中取引をしている各国の企業にも影響を及ぼしており、半導体不足にさらに拍車をかけています。

原因4|火災や自然災害による半導体工場の操業停止

需要増加や供給体制のひっ迫、各国の情勢事情によって陥った半導体不足にさらなる打撃を与えたのが、下記に挙げる火災や自然災害を原因とした半導体工場の操業停止です。

  • 2020年10月:旭化成の半導体工場で火災が発生
  • 2021年2月:アメリカ・テキサス州の大寒波を原因とした、複数の半導体工場の操業停止
  • 2021年3月:ルネサスエレクトロニクス那珂工場の半導体工場で火災が発生

高い技術力を有する半導体の製造工場が操業停止となる状況は、生産に大きな影響をもたらします。特に自動車向けの半導体を製造している旭化成と、ルネサスエレクトロニクスの操業停止は自動車産業に大きく打撃を与えました。仕様が細かく設定されている自動車向けの半導体は簡単に他社製品に乗り換えられず、必要としている現場の半導体不足を深刻化させた原因の1つです。

原因5|ウクライナ危機

ウクライナには多くの半導体メーカーが拠点を置いています。半導体産業における世界有数の製造国で、特に半導体に回路を描く際に必要なネオンの世界供給量は、7割を占めると言われている国です。しかし、ロシアによるウクライナ侵攻によって生産数が低下しており、世界的な半導体不足を招いている原因の1つとなっています。半導体の生産と不足に関わっているのはウクライナだけではありません。ロシアでも半導体の配線などの生産が盛んに行われており、世界の4割を占めると言われています。それぞれの国の半導体に関わる製造は、ウクライナ危機が長引くほど滞る状態です。ロシアとウクライナの相互で行われている経済制裁や輸出入の規制強化も半導体製造に影響しており、不足を招いている原因と考えられています。

半導体不足が世の中に与えうる影響とは

半導体不足によって、身近な製品が欠品したり入荷待ちになったりするなど、世の中のさまざまな方面に悪影響が及んでいます。中でも、自動車産業は大きな痛手を受けている業界です。例えば、日産自動車に関しては、2021年当初で50万台の減産削減による生産調整をしています。アメリカの自動車業界では、半導体の在庫を長期的に抱えられないことが原因となり、減産せざるを得ない状況に陥りました。スバルやスズキ自動車は、納車までに最短でも2か月を要するなど、半導体不足の大きな影響を受けていたことが分かります。ただし、人気の車種は時間がかかっても納車を待つ顧客が多い傾向にあり、自動車産業は半導体不足とは関係なく、今後も堅調であると考えられる分野です。半導体不足が世の中に与えうる影響は、自動車産業を含め以下のようなものが挙げられます。

製品の生産ラインがストップする

自動車をはじめとする多くの製品には、半導体が使われています。その半導体が不足すると製品の生産ラインのストップを招くため、安定した流通が行われず市場に大きな影響を与えます。生産元となる企業に関しては、出荷数を確保できないことが理由で収益の減少につながる可能性もあるように、半導体不足は経済活動へダメージを与える存在です。生産ラインのストップによる影響は、最終的に製品を使用する消費者にも及びます。欠品や在庫不足で必要な製品が手に入らないだけではなく、生産コストがかかった分が価格上昇につながると購買意欲の低下を招きかねません。小売業者などの収益にもつながりにくくなるため、結果的に半導体製品に関わる業界全体の経済の回復を遠ざけます。

半導体の偽物や粗悪品が出回る可能性がある

半導体不足が起こると需要に対して供給が追いつかず、結果的に市場に偽物や粗悪品が出回る可能性があります。高品質の半導体が手に入らず代替品を探している企業やメーカーを狙い、不正品をつかませる悪質な行為です。偽物や粗悪品とは、例えば有名メーカーのロゴシールを貼っただけの半導体や、古い家電から抜き取って新品として販売されている半導体などが挙げられます。中には、パッケージ上の数字の刻印を書き換えて製造年月日を偽り販売するケースもある状態です。半導体不足により、やむを得ず非正規ルートから調達した結果、中身は仕様が異なる不正品だったという被害も実際に発生しています。

健康や生命の安全が脅かされるリスクがある

半導体は健康・生命の安全につながるような医療や航空機のほか、防衛関連などの機器にも使用されています。一人ひとりの身体的な面から国の安全に関わる機器に使用される半導体は、高品質かつ精度の高さが求められる存在です。しかし、半導体不足が起こると品質の高い製品が得られなくなり、医療の面であれば治療ができずに回復が遅れるなど、生命の危機につながりかねません。航空機や防衛関連に半導体不足の影響が及ぶと安全性の低下を招くほか、いざという時に必要な機器が使えず、本来の機能が果たせない可能性も考えられます。

半導体が使われている製品

半導体はさまざまな製品に活用されています。半導体が使われている製品の中でも、特に日常的に使用することが多いものは下記の通りです。

・自動車

自動車には走行制御や運転者の補助的なシステムの面で、半導体が使用されています。安全性はもちろん、快適性や機能性の向上を目的としている半導体デバイスです。通常の自動車や電気自動車のほか、ハイブリッド車などにも使用されており、半導体デバイスの搭載車は今後も増加すると言われています。

・家電製品や電子機器

一般家庭で使われる炊飯器やテレビ、洗濯機といった家電製品のほか、スマートフォンやデジタルカメラなどの電子機器にも半導体は使用されています。炊飯器であれば火力調整の役割を持ち、電子機器であればソフトウェアの制御などに欠かせない存在です。

・社会インフラ

航空機や電車、銀行ATMのほか、医療などの社会インフラに欠かせない機器も、半導体によって制御されている製品です。例えば医療の面であれば、健康管理システムを搭載した家庭内で使用できる装置から、実際の現場で使われる機器に至るまで半導体が活用されています。

半導体は基本的に製品の内部に組み込まれているため、一目では確認できません。しかし、日常的に使用する多くの製品・機器に用いられており、日々の生活やインフラ整備に至るまで欠かせない存在です。その半導体が不足する状況が続くと、現在使用している製品の維持や新たな生産ができず、生活のあらゆるところに影響が及びます。

半導体不足はいつまで続く?解消の見込みはある?

2022年時点では、インテル社のCEOパット・ゲルシンガー氏によって、半導体不足は2年後の2024年頃まで続くと予想されていました。2023年時点には、DRAMやフラッシュメモリーといった機器の製造が徐々に需要を上回りはじめ、過剰供給に至るほどに変化しています。対して自動車業界や産業機器業界は、供給体制が整っておらず2023年時点では半導体不足が続く状態となりました。2024年現在は各国の不安定な情勢に影響を受け、供給は安定していません。くわえて、新型コロナウイルス感染拡大による再度のロックダウンや、近年続く災害によって半導体製造に必要な水の流通が滞ってしまう懸念もあるのが実状です。いくつかの要因が重なっている現状では、安定した半導体の供給はもうしばらく先になると予想されています。ただし、半導体不足解消に向けて政府による支援が行われていることもあり、一部では不足状況が改善する見込みもあるなど、今後の供給の増加が期待されています。

半導体の2024年問題も懸念されている

2024年問題とは、半導体の供給不足が2024年に終息し、反対に今後は過剰供給に陥るのではと懸念されている経済状況のことです。供給が不足する中、徐々に進められてきた新たな半導体工場の建設が終わり、2024年に世界各国の新工場が稼働する予定となっています。複数の新工場が同時に稼働を始めることで、過剰供給の可能性が予測されているのが現状です。実際に2021年から2022年には、世界で29件の新工場が着工予定として半導体の生産力拡大を目的に、建設が進められました。以下では、2024年問題が予測通りに起こるとどのような影響があるのか、また2024年問題に向けて半導体関連企業が意識すべきことを紹介します。

半導体の2024年問題によって起こりうる影響

半導体の2024年問題が現実となった場合に考えられる影響として、下記の2つが挙げられます。

・半導体市場における価格競争

過剰供給で市場に半導体があふれると、在庫を売りさばくために製品の低価格化が進むことが考えられます。企業によっては価格競争についていけなかったり、収益の悪化を招いたりしかねない状況です。多くの企業が価格競争で振り落とされた場合、最終的に市場の活気が失われる可能性も否定できません。

・社会全体でのデジタル化の推進

2024年問題は、半導体を仕入れる側の企業や消費者にとっては半導体不足が解消されるだけではなく、低価格で手に入れやすくなるメリットがあります。半導体を使用した製品が製造されやすくなるため、社会全体のデジタル化の推進にもつながるなど、電子機器の高性能化が期待できます。

2024年問題は生産元の企業にとってはマイナスに働く可能性があるものの、仕入れ側企業や消費者にとっては、デジタル化の推進といった嬉しい面があるのも事実です。

半導体関連企業が意識すべきこと

2024年問題をふまえて、生産企業側は過剰供給で半導体があふれた場合を意識して早めのマーケティング戦略を練り、売るための努力を進めなければなりません。対して仕入れ側は、半導体が入手しやすくなった際に素早く行動し、他企業よりも先行して収益を得られるように設備投資を進めておく必要があります。また、半導体関連企業は、下記に挙げるシリコンサイクルを意識することも大切です。

・シリコンサイクルとは

半導体業界の景気循環が、約4年周期で好況と不況を繰り返すことを指す言葉です。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、半導体は2021年頃から需要が増加、出荷額も急激に上昇しています。2024年は4年周期に当てはまるほか、2024年問題が懸念されている点からも、より景気や業界の変動に注目が必要です。

なお、日本では経済産業省が「半導体戦略」を打ち出しています。現状のままでは将来的に日本の半導体シェアはほぼ0%になると予測し、国家として半導体工場の新設や改修を進めることの必要性を記した戦略です。

出典:経済産業省「半導体戦略(概略)」

各半導体関連企業は、半導体がデジタル社会を支える基盤であることを再認識しなければなりません。くわえて、安全保障の観点からも欠かせない製品として把握し、今後の半導体設計や技術開発に反映する必要があります。

日本における半導体産業は今後どうなる?

現在の日本における半導体産業は、半導体の供給不足やアメリカとの貿易規制などによってシェアが低下傾向にあります。しかし、日本には高い需要を維持する自動車産業があるほか、半導体製造装置やセンサー技術、パッケージング技術といった強みが存在するのも事実です。経済産業省では、次世代半導体プロジェクトが進められています。10年前、Fin型と呼ばれる半導体プロセスに関する技術の量産に至らなかったおくれを取り戻し、次世代半導体市場に参入する狙いがあるプロジェクトです。

日本の半導体関連企業はこのプロジェクトをもとに、さらなる半導体技術の強化を図り、10年のおくれを取り戻すことと安定した供給の実現に取り組む姿勢が求められます。

出典:経済産業省「半導体・デジタル産業戦略の現状と今後」

まとめ

半導体不足が起きた原因としては、新型コロナウイルスの感染拡大や半導体の需要増加などが挙げられます。ほかにも中国に対するアメリカの輸出規制や、火災・自然災害による半導体工場の操業停止、ウクライナ危機なども半導体不足の原因の1つです。2024年現在は、まだ安定した供給を実現できていないものの、依然として需要の高い半導体に関しては、今後業界全体の拡大が予想されます。半導体工場や半導体関連企業で働きたい場合も、その需要の高さから安定して働くことが可能です。ウイルタスでは、半導体関連の求人も多数取り扱っています。半導体業界への転職を考えている方や製造業に興味がある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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