ITエンジニアの仕事内容とは?種類や適性、将来性も解説
ITエンジニアの仕事内容は、プログラムやシステムの設計や実装、保守などの多岐に渡ります。主な12の種類を挙げ、仕事内容の違いや、どのような方に向いている仕事なのか、将来性はあるのかについて解説します。ITエンジニアを目指す方はぜひご覧ください。
目次
ITエンジニアとは?主な種類と仕事内容
そもそもエンジニア(engineer)とは、工学系の知識や技術を活かして働く人全体を指す言葉です。日本語では技術者とも呼ばれます。エンジニアには領域ごとにさまざまな種類があり、たとえば、飛行機技術を専門とする航空機エンジニア、自動車を専門とする自動車エンジニアなどがあります。
IT関連の領域で働くエンジニアは「ITエンジニア」です。近年はエンジニアといえばITエンジニアを指すことが一般的です。ITエンジニアの主な種類と仕事内容について見ていきましょう。
システムエンジニア(SE)
システムエンジニア(SE)とは、クライアントのニーズの聞き取りからコンピュータシステムの設計、運用・保守までトータルで担当するエンジニアのことです。次の流れで業務を担当します。
- クライアントのニーズをヒアリング
- クライアントのニーズをもとに、設計するシステムの枠組みを作成
- 機能や画面レイアウトなどを決め、クライアントの合意を得る
- システムの詳細設計
- プログラミング
- 動作テスト
- 運用・保守
システムエンジニアは、エンジニアとしてのスキルだけでなく、営業スキルも求められる仕事です。ただし、プログラミングやテスト、運用・保守はシステムエンジニア自身が担当することもありますが、別のプログラマーに依頼することもあります。
また、社内システムの設計などを専門にする「社内SE」もいます。社内SEには営業スキルは求められませんが、社内の課題や必要とされているシステムについて、敏感に察知していることが必要です。
Webエンジニア(フロントエンド、バックエンド)
Webエンジニアとは、WebサイトやWebサービスの設計などを担当する仕事です。フロントエンドエンジニアとバックエンドエンジニアの2つの種類に分けられます。
フロントエンドエンジニアとは、ユーザーにかかわる部分を開発するエンジニアです。Webデザイナーのデザインをもとに、HTMLやJavaScriptなどの設計・実装、CMSの構築などを担当します。
一方、バックエンドエンジニアとは、ユーザーが閲覧できない部分を開発するエンジニアです。システムの開発や設計、サーバーやデータベースの導入や構築などを担当します。次に紹介するサーバーエンジニアの仕事とかぶる部分が多く、同じ意味で使われることもあります。
インフラエンジニア(ネットワーク、サーバー)
インフラエンジニアとは、システム自体を構築するエンジニアのことです。担当する領域により、ネットワークエンジニアやサーバーエンジニアなどの種類に分けられます。
ネットワークエンジニアとは、ネットワークシステムの設計などを担当するエンジニアです。クライアントがどのようなネットワークを求めているのかヒアリングし、適切なネットワークを設計し、必要な機器や回線、実現にかかるコストなどを割り出します。
クライアントから同意を得られるときは、構築・運用に進みます。ネットワークの規模によっては構築に数カ月かかることも珍しくありません。構築後はテストを実施し、運用・保守を継続しておこないます。
一方、サーバーエンジニアとは、サーバーの設計・構築・保守などを担当するエンジニアです。ファイルサーバー・メールサーバーなどのさまざまなサーバーの通信速度や容量などを考慮して設計し、機材を配置してケーブルをつなぎ、インターネット回線を利用できる状態に調整します。
データベースエンジニア
データベースエンジニアとは、データベースの設計・構築・保守などを担当するエンジニアです。クライアントがどのようなデータを管理したいのかヒアリングし、ニーズに合わせてデータベースを開発・設計します。
データベースシステムを運用するにあたり、サーバーが最適になるように調整するのも、データベースエンジニアの仕事です。また、定期的にアクセス権の管理やデータバックアップを実行し、データ流出を防ぎます。
クラウドエンジニア
クラウドエンジニアとは、インフラの設計と整備を担当するエンジニアです。また、インフラの設計・整備だけでなく、インターネットを利用する現場において、スムーズに業務を続けるために欠かせないクラウド環境の構築も担当します。
近年は自社でサーバーを管理する企業よりも、クラウド環境を構築して運用している企業が増えてきているため、クラウドエンジニアの活躍の場も増えてきています。
組み込み・制御エンジニア
組み込み・制御エンジニアとは、ソフトウェア開発などを担当するエンジニアです。検知した情報をもとに適切に動作するように制御するシステムを開発し、マイコンなどのハードウェアで動かせるようにします。
たとえば、スマートフォンであれば、アプリが制御系システム、OSが組み込み系システムです。そのため、組み込み・制御エンジニアには、アプリからハードウェアまで幅広い知識が求められます。
セキュリティエンジニア
セキュリティエンジニアとは、ユーザーに必要なセキュリティシステムの設計や実装を担当するエンジニアです。IT技術がさまざまな場面で利用されるようになり、多くの情報がデジタル化されました。そのため、従来よりもオンラインで扱う情報の重要性は高まっています。
また、情報が流出することには自社にとって大きな損害があるだけでなく、社会的な信用を失うことにもなりかねません。大切な情報を守るためにも、セキュリティエンジニアがセキュリティシステムを常に新しい状態に維持し、情報流出やウイルスの侵入を回避することが必要です。
AIエンジニア
AIエンジニアとは、AI(人工知能)関連の設計・構築・保守などを担当するエンジニアです。AIエンジニアの仕事内容は、AIのプログラム開発とデータアナリティクスの2つに大別できます。
AIのプログラム開発は、主にクライアントのニーズに応じて実施・実装する業務です。一方、アナリティクスでは、AIによって得られた情報を分析してビジネスにおける課題解決に活用するため、エンジニアというよりはコンサルタントとして働きます。
プログラマー・コーダー
プログラマーとは、システムエンジニアが設計したプログラムに沿って、プログラミングと実装を担当するエンジニアのことです。基本的に設計や開発を担当することはありません。
システム開発などにおいてプログラミングのみ担当する場合は、コーダーと呼ばれることがあります。実装部分はプログラマーやシステムエンジニアが担当します。
ITエンジニアに向いている人とは?
高校や専門学校などで工学について学んでいなくても、適性があればITエンジニアになることは可能です。ITエンジニアとして働くことを考えている方は、まずは次の3つの特質を有しているかチェックしてみてください。
・向学心がある
・根気強い
・コミュニケーションスキルが高い
それぞれの特質について見ていきましょう。
向学心がある
ITの分野は変化が速く、現時点で常識とされていることが1年後には非常識とされることも珍しくありません。そのため、常に新しい技術・知識を採り入れ、情報をアップデートすることが大切です。
新しい技術や知識は、自然と身につくものではありません。ITエンジニアとして働きながらも、自発的に学び続ける姿勢を持つことが求められます。
根気強い
ITエンジニアの仕事内容には、設計だけでなく実装とテストも含まれることがあります。設計したとおりに作動しないときなどは、根気よく解決策を探して、試行錯誤を繰り返すことが必要です。
また、プログラミングだけを担当する場合でも、入力ミスによりバグが生じるかもしれません。膨大な数字や記号のなかから間違いを見つけ出す作業にも、根気強く諦めない姿勢が求められます。
コミュニケーションスキルが高い
ITエンジニアの仕事は、チーム作業が基本です。たとえばスマートフォンのアプリを開発する場合でも、お互いにアイデアを出しながら、作業を分担しつつ、一つの目標に向かって仕事を進めていきます。コミュニケーションを取ることや協働が苦手な人は、ITエンジニアには向かないといえるでしょう。
また、システムエンジニアのようにクライアントと直接会い、営業活動をするエンジニアも多いです。クライアントのニーズを的確に把握するためにも、コミュニケーションスキルの高さが求められます。
ITエンジニアの将来性
厚生労働省が公開するデータによれば、8割強のIT企業において、ITエンジニアなどの人材が不足(大幅に不足・やや不足)しています。デジタル化が進み、IT技術の活用範囲は広がっています。ITエンジニアは、今後もニーズが高い仕事といえるでしょう。
年度 | 大幅に不足 | やや不足 | 過不足なし | その他 |
2020年度 | 16.8% | 64.2% | 15.7% | 3.3% |
2019年度 | 28.2% | 66.8% | 6.9% | 0.1% |
2018年度 | 31.9% | 60.1% | 7.0% | 1.0% |
2017年度 | 29.5% | 61.0% | 8.1% | 1.4% |
2016年度 | 20.3% | 66.6% | 11.9% | 1.2% |
※その他には、「分からない」「無回答」「やや過剰」などが含まれます。
参考:厚生労働省「令和4年版 労働経済の分析 IT企業におけるIT人材の過不足の状況」
ITエンジニアになるには?
ITエンジニアになるには、知識とスキルを身につけることが必要です。工学などの理系の学校を卒業していない場合でも、次の方法でITエンジニアに必要な知識とスキルを習得できます。
・スクールに通う
・通信講座で学ぶ
・独学する
それぞれの学び方のメリットや注意点を説明します。
スクールに通う
プログラミングなどを学べる専門学校に通う方法もあります。分からないことを直接講師に尋ねられるだけでなく、一緒に学ぶ仲間ができること、就職先の情報を得られることなどのメリットがあります。
ただし、仕事や勉強が忙しいときは、通うのが苦痛に感じるかもしれません。無理なく通える立地を選びましょう。
通信講座で学ぶ
オンライン学習で学ぶ方法もあります。好きなときに学べるため、会社や学校に通いながらでも続けやすい点がメリットです。
しかし、通信講座によっては講師のサポートを得られないものもあり、疑問を解消しにくい可能性があります。また、好きなときに学べることから、学習が後回しになるかもしれません。
独学する
動画や本などを使って独学する方法もあります。好きなときに勉強できるだけでなく、テキスト代だけで学べる点もメリットです。
しかし、正確に学べているか判断できず、実力が身につきにくいのも事実です。できればカリキュラムに沿って学べるスクールか通信講座を選びましょう。
まとめ
ITの技術はさまざまな業界で必要とされており、これからも需要は高まっていくことでしょう。どの業界においても、今後必要となる人材であるため、早めにITエンジニアの道をこころざす場合は、早めにアクションを起こすのが賢明です。ITエンジニアとして働くことは、専門的な知識やスキルを身に付ける必要がある一方で、最新の技術に携わることも多いのでやりがいも魅力もあります。
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