製造業・工場のお仕事
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2024.07.09

設備保全とはどのような仕事?役割や必要なスキルを解説

設備保全とはどのような仕事?役割や必要なスキルを解説

設備保全とは、工場や施設で稼働する機械や設備が、常に安全かつ効率的に稼働できるように維持・管理する仕事です。当記事では、設備保全の3つの分類や設備保全の役割について解説します。

設備保全は、製造業をはじめ、さまざまな業種で必要とされる重要な仕事です。設備保全には大きく分けて、予防保全・事後保全・予知保全の3つがあります。

設備の安定稼働は、企業の生産性や競争力に直結するため、設備保全の専門知識や技術を持つ人材は、ますます求められている傾向です。

当記事では、設備保全とは何かといった基礎的な内容から、保守・メンテナンス・修理との違い、設備保全の仕事に必要な資質・スキルまで、分かりやすく紹介します。

設備保全とは?

設備保全は、企業で利用されるさまざまな機器や装置が、常に最適な状態で稼働し続けるための保全活動の総称です。

製造業で見られる工作機械や洗浄装置、協働ロボットなどの生産設備から、レンタカーやオフィス機器のリース、IT機器に至るまで、あらゆる機器が設備保全の対象です。設備保全の主な目的は、設備が問題なく稼働し続けることにより、企業が連続して価値を生み出し続けることにあります。

設備保全の3つの分類

設備保全には、予防保全、事後保全、予知保全の3つのアプローチがあります。

・予防保全

予防保全は、設備が故障する前に事前に保全作業を行うことで、トラブルを未然に防ぐ手法です。具体的な作業としては、時間計画保全と状態監視保全があります。時間計画保全では、使用期間や稼働時間に基づいて部品の交換や修理を行います。例えば、ある機械が決められた時間ごとにオイル交換やフィルターの交換が必要であれば、これを計画的に実施します。状態監視保全では、機械の動作データや振動、音、温度などを定期的に監視し、異常が見られた場合には即座に対応を行う方法です。

・事後保全

事後保全は、設備が故障した後に行う保全作業です。機能停止型故障と機能低下型故障があります。機能停止型故障では、設備が完全に停止し、即座に修理や部品交換が必要となります。例えば、生産ラインのモーターが故障して停止した場合、迅速に部品を交換し稼働を再開させます。機能低下型故障では、設備は動作しているものの、性能が低下している状態です。この場合、生産効率の低下や品質問題が発生する前に、必要な調整や部品交換を行います。

・予知保全

予知保全は、設備から得られるデータを分析し、故障する前に兆候を察知して対応を行う方法です。予兆保全とも呼ばれます。設備のダウンタイムを最小限に抑えると同時に、保全コストも削減できます。

保守・メンテナンスの仕事との違い

保守とは、機械や設備を正常な状態に保つことを目的としており、主に故障が発生した際に、それを修正し正常な作動状態に戻す作業を指します。

メンテナンスは保守と似ており、機械や建物などを維持・管理するための活動を広く指す用語です。定期的な検査や必要に応じた修理がなどが含まれます。

修理の仕事との違い

修理は設備に発生した具体的なトラブルや故障を特定し、それを解消するための直接的な対応です。つまり修理は、故障した設備を元の機能あるいは正常な状態に戻すことを目的としています。

設備保全は、保守・メンテナンス・修理など、これらの概念を包括しています。

設備保全の役割

設備保全の仕事には、生産設備の安定稼働を支える重要な役割が複数あります。

安全性の確保
設備保全は、作業員の安全を守る上で不可欠な作業です。設備の定期的な点検やメンテナンスを行うことで、故障や事故のリスクを低減し、安全な作業環境を確保します。

設備の老朽化や摩耗など、潜在的な危険箇所を特定し、適切な対策を講じられれば、事故を未然に防ぐことが可能です。

コストの削減
設備保全は、設備の寿命を延ばし、故障による損失を最小限に抑えることにつながるので、企業のコスト削減にも貢献します。

故障が発生する前に、定期的な点検や部品交換を行えば、設備の寿命を延ばせるでしょう。また、故障が発生した場合でも、早期発見・早期修理を行うことで、修理費用や稼働停止中のコストを最小限に抑えやすくなります。

不良率の低減
設備の調整やメンテナンスを定期的に行い、常に問題ない状態で稼働させることで、製品品質の安定や、製品の不良率の低減につながります。また、設備の異常を早期に検知し、迅速に対応することで、不良品の発生を未然に防ぎやすくなります。
チョコ停の減少
チョコ停とは、短時間の設備停止のことです。チョコ停は、生産効率を低下させるだけでなく、品質にも悪影響を及ぼす可能性があります。設備保全によって、チョコ停になりうる原因を特定し、適切な対策を講じられれば、チョコ停の減少につながるでしょう。

設備保全の仕事に必要な素質・スキル

設備保全の専門家として働くためには、専門的な知識や資格はもちろん、設備保全に従事する者が持つべき基本的な資質があります。その中でも、主要な4つの資質やスキルについて紹介します。

機械に関する知識

設備保全の職務を遂行する上で、工場や施設で使用されるさまざまな機械の性能、構造、動作原理についての理解など、機械に関する知識は非常に重要です。

機械の基本的な構造や仕組みを把握することは、日常の保守活動や障害が発生した際の迅速なトラブルシューティングに不可欠です。例えば、異常が生じた際にはその原因を正確に診断し、適切な修理や調整を行うために、どの部品がどのように機能しているのかを理解している必要があります。

また、メーカーに問い合わせる際にも、具体的な問題や必要な修理について正確に説明できる能力が求められます。そのためにも、機械や構造についての深い理解が必要となるでしょう。知識を証明するために、電気工事士・機械保全技能士・電気主任技術者など、各種関連資格を取得するのもおすすめです。

QCDの意識

QCDは品質(Quality)、コスト(Cost)、納期(Delivery)の頭文字を取ったもので、製造業における生産管理の三大要素を指します。設備保全の専門家としては、QCDの要素を常に考慮し、設備が高い品質を維持しつつコスト効率よく運用され、必要な時に確実に稼働できるよう管理することが求められます。

具体的には、品質の面では設備が製品の品質に直接影響を与えないよう、定期的な点検や予防保全を通じて性能を問題なく保つことが必要です。

コストに関しては、設備の運用や保守にかかる費用を抑えながらも最大限の効率を追求することが重要です。無駄な資源の消費を避けるためにも、適切なメンテナンス計画が必要となります。

納期は、生産スケジュールに支障をきたさず、いかなる状況でも製品が期日までに完成し出荷されるよう、設備の稼働率を最適化することが求められます。

臨機応変に対応する力

工場や生産施設では、予期せぬ故障やトラブルが発生することが多く、迅速かつ柔軟に対処する能力が求められます。例えば、計画外の機械の故障や、生産ラインの突然の変更に遭遇した場合、設備保全の担当者は即座に問題の診断と解決策の提案を行う必要があります。標準的なプロトコルに従うだけでなく、状況に応じて適切な判断を下す柔軟性が不可欠です。

また、トラブル発生時の迅速な対応は、設備のダウンタイムを最小限に抑え、生産効率の低下を防ぐために重要です。

注意深さ

注意深さとは、機械の動作をただルーティンとして観察することではありません。

設備の点検やメンテナンスを行う際には、細かな異音、異臭、または状態の変化など、些細な兆候を見逃さずに捉える能力が求められます。このような兆候は、将来的に大きなトラブルへと発展する可能性があるため、早期に察知し適切な対処を行いましょう。

まとめ

設備が故障すると、生産停止や性能低下が発生し、それによって納期遅れや不良品の発生など、企業に大きな損害をもたらす恐れがあります。そのため、設備保全では、定期的な点検や必要に応じた修理が行われ、設備が長期間にわたり効率良く機能するよう努めることが求められます。

また、設備保全の業務はチームで行うことが多いです。設備保全の担当者として働く上では、チームメンバーと、スムーズにコミュニケーションを取りながら問題を解決していけるような協調性が重要です。

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