日本のモノづくり

其の五 作り出す技術

金具に細工を施す職人

モノづくりは遠い遠い昔に始まった。歴史博物館などを訪れると古代人が創意工夫を凝らして、植物や石・土から作った道具などが見られる。そのうち材料にも工夫がなされ、より丈夫で耐久性が高い素材が使われるようになる。

弥生時代には日本にも金属とその加工技術がもたらされた。剣や装身具に使われたらしく、当時の遺跡からは鍛冶工房も発見されているという。

金属を加工・細工する「金工」や溶かした鉄を型に流して量産する「鋳金」などの技法があり、今日にも大切に受け継がれている。

南部鉄器(急須)

有名な作品の一つが日本の伝統工芸品「南部製鉄」であろう。17世紀にはじまり、職人によって一つ一つ丁寧に手作りされている。見た目にも美しく今では西欧の茶屋にも並ぶ一級品である。

鉄を熱し鍛錬する鍛冶職人

日本オリジナルの鉄が作られるようになったのは古墳時代後期のようだ。

「たたら」と呼ばれるふいごで炉に空気を送り込み、砂鉄などの鉄材料を熱して作る「たたら製鉄」がそれだ。日本独特の製鉄法で、1000年以上の歴史がある。

この鉄を使って工具用の鉄素材や刃物が作られた。鋼は熱々の鉄を叩いて伸ばして鍛え上げるが、中でも良質のものは日本刀などの高級刃物の原料となった。

鉄の歴史は奥深い。次回はまた違った製法の有名な刃物の話と、ちょっと目線をかえて仏像作りの話をしよう。

※画像はイメージです