工場用語辞典
ダイオード 【よみ】 だいおーど 【英語】 diode
ダイオードとは、電気の流れを一方向にだけ許す電子部品です。電流が一方向(順方向)に流れるときは抵抗が小さく、逆方向にはほとんど電流を流さない性質を持っています。この性質から、電流の「逆流防止弁」のような役割を果たすことができます。ダイオードは半導体で作られており、主に「P型半導体」と「N型半導体」を接合した構造(PN接合)になっています。
ダイオードの基本構造と動作原理
ダイオードは、P型半導体とN型半導体を接合することで作られます。P型半導体は正孔(ホール)と呼ばれる正の電荷を持つキャリアが多く、N型半導体は電子(負のキャリア)が多く存在します。この二つを接合すると、接合部に「空乏層」と呼ばれる電気的に中性な領域ができ、ここが電流の流れを制御する働きをします。
電源をつないでP側にプラス、N側にマイナスの電圧(順方向電圧)をかけると、空乏層が狭まり、電流が流れるようになります。逆に、P側にマイナス、N側にプラスの電圧(逆方向電圧)をかけると、空乏層が広がって電流がほとんど流れなくなります。
ダイオードの種類と用途の例
ダイオードにはさまざまな種類があり、それぞれ異なる用途に使われます。以下にいくつかの代表例を挙げます。
整流ダイオード
最も一般的なダイオードで、交流電流(AC)を直流電流(DC)に変換するために使われます。例えば、家庭用のAC100VをDC12Vに変換するACアダプターの中に使用されています。
ツェナーダイオード
特定の電圧で逆方向にも電流を流す特性を持っており、電圧の安定化に使用されます。たとえば、5Vのツェナーダイオードは、電源が不安定なときでも5Vを維持するために使われます。
発光ダイオード(LED)
電流が流れると光を発するダイオードです。インジケーターランプやディスプレイ、照明など広く使用されています。
ショットキーバリアダイオード
スイッチング速度が速く、電源回路や高速回路で用いられます。特にスマートフォンやパソコンの電源制御部分に使用されています。
ダイオードは、電流を一方向に流す性質を持った基本的かつ重要な電子部品です。その単純な構造とは裏腹に、整流、電圧制御、発光など幅広い用途で使われています。電子回路の基本を学ぶうえで、ダイオードの特性と動作原理を理解することはとても重要です。LEDや電源回路の中にも身近に使われており、現代の電子機器には欠かせない存在です。