工場用語辞典

半導体素子 【よみ】 はんどうたいそし 【英語】 semiconductor element

主にシリコン(Si)などの半導体材料をもとに作られます。これらの材料は、電気を「ある条件下でだけ通す」という特徴を持ち、電子回路におけるスイッチングや増幅といった動作を実現します。不純物を加える「ドーピング」によって、電気の流れやすさを調整できる点も特徴です。

1-2. 代表的な半導体素子の種類

半導体素子には多くの種類がありますが、以下の3つが代表的です。

  • ダイオード(Diode)
     一方向にしか電流を流さない素子で、電源の整流や保護回路に使われます。発光するものは「LED(発光ダイオード)」と呼ばれます。
  • トランジスタ(Transistor)
     電流を増幅したり、スイッチのようにオン/オフを切り替えたりする素子です。デジタル回路の基本であり、CPUなどの中には何十億個ものトランジスタが集積されています。
  • サイリスタやMOSFETなどの電力素子
     大電流や高電圧を制御するための素子で、電源装置や電気自動車のモーター制御などに使われます。

1-3. アナログ素子とデジタル素子

半導体素子は、大きく「アナログ素子」と「デジタル素子」に分かれます。

  • アナログ素子:連続した信号を処理(例:音声、温度など)。増幅や整流に使用。
  • デジタル素子:0と1の信号を扱い、論理的な計算や制御を行う(例:論理回路、メモリ素子)。

どちらの素子も、電子機器には欠かせない存在です。

2. 半導体素子の役割と応用例

2-1. 情報処理の中核:トランジスタの役割

トランジスタは、半導体素子の中でも特に重要です。小さな電流で大きな電流を制御できるため、信号の増幅や、デジタル回路のスイッチとして使われます。コンピュータの「演算処理」は、トランジスタがオン/オフを繰り返すことで実現されています。

2-2. 電源制御と保護:ダイオードやパワー素子

ダイオードは、交流を直流に変換する「整流」や、逆流を防ぐ「逆流防止回路」に使用されます。また、パワー素子は電力の制御に使われ、電気自動車や家電製品のエネルギー効率を高めるために重要です。

2-3. LEDやセンサーなどの応用

半導体素子は、光や温度、圧力を検知するセンサーとしても使われます。LED(発光ダイオード)は照明・ディスプレイに使われ、光センサーや赤外線センサーなどは自動ドアやスマートデバイスに活用されています。

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3. 半導体素子の技術進化と未来

3-1. 微細化と高性能化の進展

半導体素子の進化は、微細化技術と密接に関係しています。トランジスタのサイズが小さくなることで、より多くの素子を1つのチップに集積でき、計算速度が上がり、消費電力も削減されます。現在では、1個のCPUチップに100億個を超えるトランジスタが搭載されています。

3-2. 新素材への挑戦:シリコン以外の半導体

従来はシリコンが主流でしたが、近年では以下のような新素材も注目されています。

  • SiC(シリコンカーバイド):高温・高耐圧に強く、電気自動車のパワー素子などに利用
  • GaN(窒化ガリウム):高速スイッチングが可能で、次世代通信(5G)や充電器などに活用

これらの新素材によって、半導体素子の性能はさらに向上し、省エネ化や小型化が進んでいます。

3-3. AI・IoT時代における役割

AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)の普及により、より多機能で高性能な半導体素子が求められています。センサーで情報を取得し、トランジスタで処理し、LEDで表示する——こうした一連の動作は、すべて半導体素子によって実現されています。