工場用語辞典

滞留品 【よみ】 たいりゅうひん 【英語】 Sleeping Stock

滞留品(たいりゅうひん)とは、企業が保有する在庫品のうち、長期間にわたって出荷や販売が行われず、倉庫や店舗に留まり続けている商品や資材のことを指します。一般的には「一定期間以上動きがない在庫」として認識され、販売可能ではあるものの、需要がなくなった、もしくは流通が停滞した結果、動かなくなった商品を意味します。

滞留品は、単なる「売れ残り」とは異なり、企業の経営においては財務や物流に負担を与える「非効率な在庫」として扱われることが多いです。企業活動における在庫の最適化の中でも、滞留品の管理は特に重要な課題とされています。

2. 滞留品が発生する原因

滞留品が生じる理由はさまざまです。代表的な原因は以下の通りです。

(1)需要予測の誤り

販売計画が実際の市場動向とずれた結果、商品が想定より売れず、在庫として残ってしまうケースです。新商品や季節商品でよく見られます。

(2)流行や季節の終了

一時的なトレンドや季節性に依存した商品は、販売期間を過ぎると急速に需要がなくなります。例えば、クリスマス商品や福袋、流行ファッションなどが該当します。

(3)製品仕様の変更・モデルチェンジ

家電や電子機器などでは、新モデルが発売されると旧モデルの需要が落ち、在庫が滞留品になることがあります。

(4)発注・在庫管理ミス

過剰な仕入れや、販売数の見誤りなど、企業内部のミスによっても滞留品は発生します。

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3. 滞留品が企業にもたらす影響

滞留品の存在は、企業にとってさまざまな問題を引き起こします。

まず、保管コストの増加があります。倉庫スペースを圧迫するだけでなく、在庫管理や保管にかかる人件費・光熱費・保険料などのコストが増大します。

次に、資金の固定化です。売れない商品に資金が使われたままになるため、新たな商品仕入れや事業投資に必要な資金が圧迫され、キャッシュフローが悪化します。

また、滞留期間が長くなることで、商品が陳腐化したり、劣化や破損を招く可能性もあります。特に食品、化粧品、医薬品などは、期限切れによって廃棄が必要になるため、直接的な損失につながります。

さらに、滞留品が増えると在庫回転率が低下し、財務上の評価が下がる要因ともなります。企業の信用や株価にも悪影響を及ぼす可能性があります。

4. 滞留品の具体例と対策

たとえば、アパレル企業が冬物のダウンコートを大量に仕入れたものの、暖冬により販売が不振に終わったとします。その結果、季節が過ぎても大量のダウンコートが売れ残り、倉庫に保管されたままになる。このような商品は、翌年の冬にも流行が変わっていれば再販売も難しくなり、滞留品としてコストを生み続けることになります。

このような滞留品に対しては、いくつかの有効な対策があります。

  • 早期割引やセール販売:動きが鈍い段階で価格を下げて売り切ることで、滞留を防ぎます。
  • アウトレット・ネット販売での処分:通常の販売ルートとは別に、特価で在庫を販売する手段です。
  • 在庫分析とスキルの活用:定期的な棚卸と在庫のデータ分析を行い、動きの悪い商品を早めに把握します。
  • 適正在庫管理の強化:販売履歴をもとにした精度の高い需要予測、発注量の見直し、社内での共有体制強化なども重要です。


これに対して製品の設計変更や生産中止などで、2度と使われることがなくなった製品や、保管による経年劣化などで本来の機能価値がなくなった製品のことを”死蔵品”(デットストック)という。