工場用語辞典

死蔵品 【よみ】 しぞうひん 【英語】 dead stock

死蔵品(しぞうひん)とは、企業や組織が保有している資産のうち、長期間にわたり使用されず、収益を生み出す見込みのない状態にある物品を指します。これは、原材料、仕掛品、製品、備品など、有形固定資産から棚卸資産まで、様々な種類の資産に該当し得ます。単に在庫として保管されているだけでなく、その存在が忘れ去られていたり、将来的な活用計画が全くない状態であることが特徴です。放置された状態が長期間続くほど、管理コストがかさみ、資産価値を毀損する要因となります。

死蔵品が発生する原因

死蔵品が発生する原因は多岐にわたります。需要予測の誤りによる過剰な仕入れや生産、製品モデルの陳腐化による売れ残り、技術革新による旧型設備の不要化、プロジェクトの中止による未使用の資材の滞留などが挙げられます。また、部門間の連携不足により、一部門では不要になったものが、他の部門で活用できる可能性を見過ごされている場合もあります。さらに、不良在庫として認識されていても、処分手続きが煩雑であるなどの理由で放置されてしまうケースも少なくありません。

死蔵品がもたらす影響

財務的な影響

死蔵品は、企業の財務状況に様々な悪影響を及ぼします。まず、資産として計上されているにもかかわらず収益を生まないため、資産効率を低下させます。また、保管スペースの確保や管理のためのコスト(倉庫費用、光熱費、人件費など)が発生し続け、利益を圧迫します。棚卸資産の場合、長期間保管されることで品質が劣化したり、陳腐化したりし、最終的には評価損を計上する必要が生じ、企業の収益を悪化させる要因となります。

経営的な影響

死蔵品の存在は、経営判断の遅れや非効率な資源配分を招く可能性があります。倉庫スペースが死蔵品によって圧迫されると、新たな製品や資材の保管場所が不足し、業務効率を低下させる可能性があります。また、死蔵品の管理に人員や時間を割かれることで、本来注力すべき業務へのリソース配分が滞ることもあります。さらに、死蔵品の存在が経営層に正確に認識されていない場合、適切な対策が取られず、問題が長期化するリスクもあります。

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死蔵品の管理と対策

死蔵品の把握と評価

死蔵品対策の第一歩は、現状を正確に把握することです。定期的な棚卸しを実施し、長期間動きのない在庫や使用されていない資産を特定します。特定された死蔵品については、その原因、保管状況、今後の活用可能性などを評価し、それぞれの資産に対して適切な対応策を検討する必要があります。

死蔵品の有効活用と処分

評価の結果、再利用や転用が可能な死蔵品については、関連部署との連携を強化し、有効活用を検討します。例えば、他の製品の部品として利用したり、別の用途に転用したりするなどの方法が考えられます。一方、活用が見込めない死蔵品については、速やかに処分することが重要です。売却、譲渡、廃棄といった適切な処分方法を選択し、管理コストの削減とスペースの有効活用を図るべきです。

発生予防策

最も重要な対策は、死蔵品を発生させないための予防策を講じることです。需要予測の精度向上、適切な在庫管理体制の構築、部門間の情報共有の促進、不要になった資産の早期処分ルールの確立などが有効です。また、定期的な業務プロセスの見直しを行い、無駄な在庫や資産が発生しにくい仕組みを構築することが重要です。

死蔵品に対して、長い期間使われてはいないが、他の生産部品として使用する可能性があり、機能的にも問題がないとされる品目を”滞留品”(スリーピングストック)という。