工場用語辞典

仕掛品 【よみ】 しかかりひん 【英語】 Work in progress

仕掛品(しかかりひん、Work in Process – WIP)とは、製造業において、原材料が投入され、製造工程の途中にあり、まだ完成品となっていない製品のことです。工場内を移動しながら、組み立て、加工、検査などの工程を経て、最終的に販売可能な製品となる前の段階のものを指します。会計上は棚卸資産の一つとして扱われ、企業の財政状態を示す重要な要素となります。

1. 仕掛品の定義と特徴

仕掛品は、原材料と完成品の中間に位置する存在であり、いくつかの重要な特徴を持っています。

  • 1.1 仕掛品の定義: 企業が販売を目的として製造している製品であり、以下の状態にあるものが仕掛品として認識されます。
    • 原材料が投入された状態
    • 一部または全部の製造工程が完了している状態
    • まだ最終的な品質検査や包装などが完了していない状態
    重要なのは、「最終製品として販売できる状態ではない」という点です。例えば、自動車製造ラインにおいて、車体が組み立てられ、塗装も完了しているが、内装部品の取り付けが完了していない車両などは仕掛品に該当します。
  • 1.2 仕掛品の特徴:
    • 流動性: 完成品に比べて流動性が低い資産です。最終的に販売されるまでには、さらに製造工程を経る必要があります。
    • 評価の複雑性: どの程度製造が進んでいるかによって、その価値が変動します。原材料費、労務費、製造間接費などが累積しているため、評価方法が複数存在し、企業の会計方針によって異なります。
    • 管理の重要性: 仕掛品の過剰な滞留は、資金繰りの悪化や保管コストの増大につながります。一方で、不足は生産遅延の原因となります。そのため、適切な生産計画と在庫管理が重要となります。
    • 製造期間との関連: 製品の製造期間が長いほど、仕掛品の量が多くなる傾向があります。特に受注生産のような形態では、顧客からの注文を受けてから製造を開始するため、仕掛品の管理がより重要になります。
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2. 仕掛品の会計処理と評価方法

仕掛品は、企業の財務諸表において重要な情報となるため、適切な会計処理と評価が必要です。

  • 2.1 会計処理: 仕掛品は、通常、流動資産の「棚卸資産」の区分に計上されます。製造に要した原材料費、労務費、製造間接費(工場全体の管理費、光熱費、減価償却費など)が、製造の進捗に応じて仕掛品勘定に振り替えられていきます。完成した製品は、仕掛品勘定から製品勘定へと振り替えられます。
  • 2.2 仕掛品の評価方法: 期末における仕掛品の評価は、一般的に以下のいずれかの方法で行われます。
    • 原価法: 製造に要した原価に基づいて評価する方法です。具体的には、個別法、先入先出法(FIFO)、後入先出法(LIFO)、平均原価法などがあります。
      • 個別法: 個々の仕掛品ごとに実際にかかった原価を計算して評価する方法です。多品種少量生産に適しています。
      • 先入先出法(FIFO: First-In, First-Out): 先に製造に着手した仕掛品から順に完成したものとみなし、期末に残っている仕掛品は比較的最近に投入されたものとして評価する方法です。
      • 後入先出法(LIFO: Last-In, First-Out): 後に製造に着手した仕掛品から順に完成したものとみなし、期末に残っている仕掛品は比較的古い時期に投入されたものとして評価する方法です。(日本では原則として認められていません)
      • 平均原価法: 期首の仕掛品と当期に製造に着手した仕掛品の原価の合計を、数量の合計で割って平均原価を算出し、期末の仕掛品数量に乗じて評価する方法です。
    • 正味実現可能価額法: 仕掛品を将来販売できると見込まれる価格(正味実現可能価額)が、原価よりも下落した場合に、正味実現可能価額で評価する方法です。これは、資産の価値が下落した場合に、その損失を早期に認識するための保守主義の原則に基づいています。
    企業は、自社の業種や製品の特性、会計方針などを考慮して、適切な評価方法を選択する必要があります。

3. 仕掛品の管理と業務効率化

仕掛品の適切な管理は、生産効率の向上、コスト削減、納期遵守に不可欠です。

  • 3.1 仕掛品管理の重要性:
    • リードタイムの短縮: 仕掛品の滞留時間を短縮することで、製品の完成までの時間を短縮し、顧客への納品を早めることができます。
    • 在庫コストの削減: 過剰な仕掛品は、保管スペースの圧迫や管理コストの増大につながります。適切な量を維持することで、在庫コストを削減できます。
    • 品質管理の向上: 製造工程の早期段階で不良を発見し、手戻りを減らすことで、品質向上とコスト削減につながります。
    • 生産計画の最適化: 仕掛品の状況を正確に把握することで、より効率的な生産計画を立てることが可能になります。
  • 3.2 業務効率化のための取り組み:
    • 見える化: 製造ラインにおける仕掛品の量や進捗状況をリアルタイムに把握できるシステムを導入することで、問題点の早期発見と対応が可能になります。
    • JIT(ジャストインタイム)生産: 必要なものを、必要な時に、必要な量だけ生産するJIT生産方式を採用することで、仕掛品の滞留を最小限に抑えることができます。
    • セル生産方式: 複数の工程を一人または少数の作業者で担当するセル生産方式は、仕掛品の移動を減らし、リードタイム短縮に貢献します。
    • ITツールの活用: 生産管理システム(MES)やサプライチェーンマネジメント(SCM)システムなどを活用することで、仕掛品の情報を一元管理し、効率的な管理を実現できます。
    • 工程改善: 製造工程におけるボトルネックを特定し、改善することで、仕掛品の滞留を解消し、生産効率を向上させることができます。