工場用語辞典
洗浄 【よみ】 せんじょう 【英語】 washing
物体の表面に付着している汚れ、異物、油分、金属粉、微粒子、細菌などを除去する作業を指します。製造業や医療、食品業界など多くの分野で必要不可欠な工程であり、製品の品質や安全性、性能に大きく関わります。
洗浄の目的
洗浄の目的は、単なる「きれいにすること」ではなく、その後の工程や使用に支障をきたさない状態にすることです。具体的には以下のような目的があります:
- 製品の表面に残った油や粉じんを除去して品質を安定させる
- 接着や塗装、溶接など後工程の仕上がりを向上させる
- 電子部品の絶縁性や導電性を確保する
- 医療や食品分野では衛生・安全性を確保する
洗浄の種類
洗浄にはさまざまな方法があり、対象物や汚れの種類によって使い分けられます。
1. 水洗浄
水や温水を使って洗い流す方法。食品や医療器具、一般部品などでよく使われます。
2. 有機溶剤洗浄
油やグリースを溶かすために、有機溶剤(トルエン、アルコールなど)を使用。精密機械や電子部品に適用。
3. アルカリ洗浄
アルカリ性の洗浄剤を使用して、油脂やたんぱく質などの有機汚れを分解。金属部品や工業機械に使われます。
4. 超音波洗浄
液体中に超音波を発生させて微細な泡(キャビテーション)を起こし、微細な汚れを除去する。精密機器や医療器具で使用。
5. ドライ洗浄
ガスやプラズマなどを用いた乾式洗浄。半導体や光学機器など、水を嫌う部品に適します。
具体例:自動車部品の洗浄
自動車のエンジン部品を製造した際、切削加工後の金属粉や加工油が部品表面に残っています。これを高圧温水やアルカリ洗浄剤、超音波洗浄などで除去しなければ、組立後にエンジンの不具合や異常摩耗を引き起こす恐れがあります。そのため、洗浄は品質保証の一環として重要な工程なのです。
洗浄の評価と管理
洗浄の効果を確認するには、残留物の検査や顕微鏡観察、接触角測定、蛍光試験などが行われます。洗浄作業は再現性が求められるため、温度、時間、洗浄液の濃度、超音波出力などの条件管理が不可欠です。
洗浄における課題と対策
洗浄工程にはいくつかの課題があります:
- 環境負荷や廃液処理
→ 有機溶剤を使わず、環境対応型洗浄剤やリサイクルシステムを導入 - コスト
→ 自動化による効率化や洗浄液の再利用でコスト削減を図る - 品質のばらつき
→ 作業条件の標準化とモニタリングで安定した品質を維持