工場用語辞典

入庫 【よみ】 にゅうこ 【英語】 warehousing

入庫とは、商品や資材、原材料などが倉庫や保管施設に実際に収納され、在庫として管理され始めることを指します。物流業務や在庫管理において非常に重要な工程の一つであり、「入荷」と混同されがちですが、意味合いや役割には明確な違いがあります。

入庫は、物流現場で行われる一連の業務の中で、入荷後に行われる「保管作業」を指し、商品が検品や受領確認を終えたあと、所定の棚や保管スペースに正式に格納される段階を意味します。この処理が完了すると、その商品は「保管在庫」として販売や出荷などの後工程に使用できる状態になります。

入庫と入荷の違い

「入荷」と「入庫」は似た言葉ですが、物流上は明確に区別されます。

  • 入荷:商品が外部から到着し、検品や受領処理を行う段階。
  • 入庫:入荷した商品を所定の棚や保管エリアに収納し、在庫として登録する段階。

つまり、入荷は「届いたことの確認」、入庫は「保管場所にきちんと入れたことの確認」と言えます。多くの企業では、入庫処理が完了した商品から、在庫システム上で「使用可能な在庫」として認識され、販売・出荷・生産に活用されるようになります。

入庫の流れと業務内容

入庫作業には、主に以下のような手順があります。

  1. 検品の完了
    入荷した商品は、品目・数量・品質などが正しいかを検品されます。不良品や誤納品があれば、返品や修正対応が行われます。
  2. 入庫登録
    問題がなければ、商品ごとに在庫管理システムへ入庫処理が行われます。この時点で、商品が倉庫内のどの棚・エリアにあるかもシステム上に記録されます。
  3. 棚入れ・格納作業
    入庫処理を終えた商品は、フォークリフトやカートなどを使って指定された保管場所へ運ばれ、整理・分類されたうえで格納されます。
ウイルテック公式求人サイト「ウイルタス」で仕事探し!製造業やエンジニアを積極採用!全国各地で面接、面談、登録を実施中。
ウイルテックでお仕事を見つけませんか?画像をクリックしてお仕事情報をチェック!

業界別:入庫の具体例

① EC倉庫の場合(ネット通販)

大手ECサイトでは、入荷した商品が倉庫に到着すると、スタッフがバーコードを読み取り、検品を行い、問題がなければ入庫処理に進みます。商品はカテゴリーやサイズごとに棚番号が割り当てられ、そこに正確に格納されます。例えば、1000点のスマートフォンケースが届いた場合、それぞれの色や型番ごとに分類し、決められた棚に保管することで、注文が入った際に迅速なピッキング(取り出し)が可能になります。入庫ミスがあると、誤出荷や在庫ロスの原因となるため、非常に重要な作業です。

② 製造業の部品倉庫

ある自動車部品メーカーでは、海外から届いたエンジン部品が工場の隣接倉庫に入荷したあと、部品番号ごとに検品され、保管棚に入庫されます。部品にはそれぞれ保管条件(温度、湿度など)があり、入庫先の選定は品質保持に直結します。生産ラインが必要とするタイミングで部品を確実に供給するためにも、正確でタイムリーな入庫が求められます。

③ 医療機器の入庫管理

医療機器を扱う企業では、入荷した製品が入庫されるまでに、厳格な管理が求められます。シリアル番号やロット番号がすべて記録され、トレーサビリティ(追跡性)を確保する必要があるため、入庫処理ではデータの正確性が非常に重視されます。また、保管エリアも「通常保管」「冷蔵保管」などに分かれており、誤って別の場所に入庫してしまうと、品質事故や法令違反につながるリスクがあります。

入庫の精度が企業活動に与える影響

入庫が適切に行われていない場合、以下のような問題が発生する恐れがあります:

  • 在庫数の誤差が発生し、販売・出荷に支障をきたす
  • 商品の紛失・劣化・誤出荷につながる
  • 棚卸し業務に大きな負担を与える
  • 顧客満足度やブランド信頼の低下につながる

そのため、企業では入庫の自動化(ハンディターミナル・RFID活用)や倉庫内レイアウトの最適化、WMS(倉庫管理システム)の導入などを進め、ミスのない効率的な入庫体制の構築に取り組んでいます。