工場用語辞典
立て中ぐり盤 【よみ】 たてなかぐりばん 【英語】 Vertical boring machine
縦中ぐり盤とも言う。
立て中ぐり盤(たてなかぐりばん)とは、大型の金属部品や工作物の内部に正確な穴を加工するための工作機械です。「中ぐり盤」は英語で「boring mill(ボーリングミル)」と呼ばれ、「中ぐり」とは既存の穴をより正確な寸法に広げたり、内面を仕上げたりする加工のことを指します。その中でも、主軸が縦に配置されたものを「立て中ぐり盤」と呼びます。
立て中ぐり盤は、重量物や大型構造物の穴あけ・穴仕上げ加工に特化しており、主に自動車産業、建設機械、造船、発電設備などの製造現場で使用されます。工作物をテーブルに固定し、主軸に取り付けた工具を垂直方向に降ろして加工するのが特徴です。
立て中ぐり盤の構造と種類
1. 主な構造
立て中ぐり盤は、以下のような主要な構成要素から成り立っています:
- 主軸(スピンドル):垂直方向に動き、工具を取り付けて穴あけや中ぐりを行います。
- テーブル:加工物を固定するための回転可能なテーブル。重い部品にも対応できる構造。
- コラム:主軸を支持する垂直の柱で、上下の送り動作を制御します。
- クロスレール:主軸の横移動を行うための水平レール。
この構造により、非常に大きな部品でも正確かつ安定して加工できる点が、立て中ぐり盤の最大の特長です。
2. 横中ぐり盤との違い
中ぐり盤には「立て中ぐり盤」と「横中ぐり盤」があります。両者の違いは主軸の向きです。
- 立て中ぐり盤:主軸が垂直(縦方向)で、重力を利用して加工が安定しやすい。大型・重量物の加工に適する。
- 横中ぐり盤:主軸が水平(横方向)で、複雑な穴位置への対応や多方向からの加工に強い。
使用例と活用分野
1. エンジンブロックの加工
自動車や船舶のエンジンブロックは、複数の精密な円筒形の穴が必要です。立て中ぐり盤を用いることで、ピストンが挿入されるシリンダーの穴を高精度で仕上げることができます。特に内径の寸法精度や真円度を求められる部品では、中ぐり加工が非常に重要になります。
2. タービンケースの加工
発電所や航空機に使われるタービンのケース(ケーシング)は直径数メートルに及ぶものもあり、非常に重く取り扱いが難しい部品です。立て中ぐり盤の大型テーブルと高剛性の構造により、こうした重量物を安全に固定し、安定した加工が可能になります。
3. ベアリングハウジングの仕上げ
産業用ロボットや大型機械の回転部に使用されるベアリングハウジングも、内径の精度が求められる部品です。立て中ぐり盤は、その高精度な内径仕上げに適しており、生産設備の品質向上に貢献します。
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