工場用語辞典
ノギス 【よみ】 のぎす 【英語】 vernier caliper
ノギスとは、長さ・厚さ・深さ・内径・外径などを高精度で測定するための測定器具の一種です。特に金属加工や製造、工業製品の検査現場などで広く使用されており、ミリ単位、さらには0.05mmや0.01mm単位での精密な測定が可能です。
「ノギス」は漢字で「鋩子(のぎす)」と書かれることもありますが、由来には諸説あり、現在ではカタカナで「ノギス」と表記されるのが一般的です。英語では「vernier caliper(バーニアキャリパー)」と呼ばれています。
ノギスの構造と種類
ノギスの基本構造
ノギスは以下のような主要な部分で構成されています:
- 本尺(ほんじゃく):全体の基準となる固定されたスケール(目盛り)。
- バーニア(副尺):スライドして動く部分で、本尺より細かい目盛りが刻まれており、微細な測定を可能にします。
- 外側用ジョウ:物体の外径や厚さを測定する部分(上下の大きな爪)。
- 内側用ジョウ:物体の内径(穴の直径など)を測定する部分(上部の小さな爪)。
- 深さ測定ロッド:物体の深さを測るための棒状の部品。
- ロックネジ:副尺の位置を固定して読み取りやすくするネジ。
ノギスの主な種類
ノギスには用途や機能に応じて、いくつかの種類があります。
アナログノギス(バーニアノギス)
伝統的なタイプで、目視で目盛りを読み取ります。バーニア目盛を使って細かく測定できる仕組みで、電池を使わずに済むのが特徴です。
デジタルノギス
測定値がデジタル表示されるタイプです。目盛りを読む必要がなく、直感的で正確な読み取りが可能です。初心者でも使いやすく、データの出力や記録も簡単に行えます。
ダイヤルノギス
目盛りの代わりにダイヤルを使って読み取るタイプ。視認性が高く、アナログ式の中では使いやすいとされています。
ノギスの使い方と測定方法
外径の測定
物体を外側用ジョウで挟み、ぴったり合ったところでロックネジを締めて測定します。主に板や棒、パイプの太さを測るのに使います。
内径の測定
内側用ジョウを穴の中に差し込み、左右に開いて内径を測定します。機械部品の穴の径やパイプの内径のチェックに使います。
深さの測定
測定したい場所に深さ測定ロッドを差し込み、副尺をスライドさせて底に到達した時点で測定します。溝や容器の深さなどを測定する際に便利です。
段差・段付きの測定
物体の段差や肩部の寸法も測定可能で、部品加工の検査などに活用されます。
ノギスを使用する上での注意点
測定対象物の正しい位置決め
ノギスのジョウを斜めに当てると正確な数値が出ないため、必ず測定物に対して直角・水平に当てることが大切です。
過剰な力をかけない
ジョウを強く締めすぎると、測定物やノギス自体が傷つく恐れがあり、正確な測定ができません。軽く触れる程度で十分に測定できます。
目盛りの読み間違いに注意(アナログ)
バーニア目盛りの読み方を間違えると誤差が出ます。正しい読み取り方を理解しておくことが重要です。デジタルノギスではこのリスクが軽減されます。
校正と清掃の重要性
精密機器であるため、定期的に校正(精度の確認)を行う必要があります。また、ホコリや油分がついたままだと正確な測定ができないため、使用前後には清掃を行うのが基本です。
ノギスの活用場面
製造業・機械加工
部品の外形寸法や内径、穴の深さを高精度で測定するため、機械加工現場での検査・品質管理に必須です。特に、0.1mm単位での精度が求められる現場では重宝されています。
DIY・日曜大工
家庭や趣味の木工、模型制作などでも活躍します。市販のノギスは価格も手ごろなため、一般家庭でも導入が進んでいます。
学校教育・技術訓練
工業高校や専門学校、職業訓練施設などでもノギスは基本的な測定工具として広く使われ、精密測定の基本を学ぶ教材にもなっています。
