工場用語辞典
バルブ 【よみ】 ばるぶ 【英語】 valve
液体や気体などの流体の流れを制御するための装置です。パイプや配管の途中に設置され、開けたり閉めたりすることで、流体の流れを「止める・通す・量を調整する・方向を切り替える」などの働きをします。
バルブは、私たちの身の回りや、産業・機械・インフラ設備など、あらゆる場面で使われています。家庭の水道の蛇口もバルブの一種であり、工場やプラントでは、高圧のガスや化学薬品を安全かつ正確にコントロールするために高性能なバルブが使用されています。
バルブの主な種類と構造
バルブにはさまざまな種類があり、それぞれの特性に応じて使い分けられています。以下は代表的なバルブの種類とその仕組みです。
1. ゲートバルブ(仕切弁)
ゲート(門)を上下に動かして開閉するタイプのバルブです。水道や配管設備などで多く使われています。
- 特徴:全開・全閉で使用するのに適しており、途中での流量調整には不向き
- 使用例:ビルの給水配管、工場の配管ライン
2. ボールバルブ
内部に球体の弁(ボール)が入っており、穴の位置を回転させて流体の流れを制御します。操作が簡単で、開閉がスムーズです。
- 特徴:90度回すだけで全開・全閉が可能
- 使用例:家庭用のガス栓、給湯器、エアーコンプレッサーの配管
3. グローブバルブ(玉形弁)
内部にディスク型の弁体があり、ねじ機構で上げ下げして流量を制御します。調整性が高く、流量の細かなコントロールに向いています。
- 特徴:流量の調整がしやすい
- 使用例:蒸気配管、化学プラント、油圧装置
4. チェックバルブ(逆止弁)
一方向にしか流れを許さないバルブで、逆流を防止する目的で使われます。ポンプや圧力装置に不可欠です。
- 特徴:流体が逆流しそうになると自動で閉じる
- 使用例:ポンプの吐出口、給水設備、冷却装置
バルブの役割と使用分野
バルブは、単なる「開け閉め」だけでなく、現代の多くの産業において不可欠な機能を担っています。ここでは、具体的な役割と使用されている分野を見てみましょう。
1. 流体の制御と安全確保
最も基本的な役割は、流体の通過をコントロールすることです。適切に流量を調整したり、必要なときに完全に止めたりすることで、装置や配管の安全を守ります。
- 例:火力発電所では、高温高圧の蒸気を安全にコントロールするために、数百個のバルブが使用されています。
2. 自動制御システムとの連携
近年では、センサーやコンピューターと連動して、バルブを自動で開閉する電動バルブ・空圧バルブなども多く導入されています。これにより、無人化や省力化が進んでいます。
- 例:工場の生産ラインでは、流体の圧力や温度に応じてバルブを自動制御し、製造品質を安定化させています。
3. 緊急時の遮断や逆流防止
事故や機器の故障時に、素早く流れを止めることもバルブの重要な役割です。これにより、大きなトラブルや損害を防ぐことができます。
- 例:ガス配管に設置された緊急遮断バルブは、地震や異常圧力を感知して自動的に閉じる機能があります。
身近なバルブの例とその重要性
私たちの生活の中にも、実は多くのバルブが使われています。それらは、普段は意識されにくいですが、安全・快適な暮らしを支える重要な存在です。
家庭で使われるバルブの例
- 蛇口(単水栓・混合水栓):手動で開け閉めすることで、水の流れを調整。バルブの一種。
- ガス栓:料理用のガスを供給する栓。安全のために回して閉じられるよう設計されています。
- 洗濯機用水栓:ホースが外れたときに自動的に水を止めるバルブ機能付きのものも増えています。
車やバイクで使われるバルブの例
- エンジンの吸気・排気バルブ:燃焼に必要な空気を取り入れ、排気ガスを排出する。バルブリフターと連動して作動。
- タイヤのエアバルブ:空気を入れたり止めたりする弁。逆流を防止する構造になっています。
