工場用語辞典

単価未定発注 【よみ】 たんかみていはっちゅう 【英語】 Unit price undecided order

取引先に対して、商品の数量や仕様などを確定させて発注するが、その時点で単価(価格)がまだ決まっていない発注方法です。つまり、「とりあえず注文は出すが、金額は後で決める」という形式の発注です。

主に製造業や建設業、商社などの取引で使われ、次のような状況で用いられることが多いです:

  • 納期が迫っており、価格決定を待っていられない場合
  • 市場価格の変動が大きく、価格交渉に時間を要する場合
  • 取引関係の信頼があり、後日改めて価格を調整する前提がある場合

このように、スピード優先や柔軟な対応が求められる現場では、単価未定のままでも発注を行うことがあります。

単価未定発注の実例と使用シーン

1. 製造業の調達における単価未定発注

たとえば、自動車部品メーカーがサプライヤーに対して「○○部品を500個納入してほしい」と発注するが、まだ原材料価格が変動しており、価格交渉中であるとします。この場合、まずは数量と仕様を確定させ、製造ラインを止めないようにするため、単価未定で発注を出すという判断がなされます。

発注書には「単価未定(後日合意)」と記載され、後日正式な単価を決定し、請求金額を確定します。

2. 建設業における単価未定発注

建設現場では、緊急の資材手配や工期短縮のために、詳細な見積もりが固まる前に材料や工事を発注することがあります。

例:

  • 現場監督「今週中に仮設足場を設置してほしい」
  • 協力会社「了解しました。ただし、単価はまだ調整中です」

この場合も、作業内容や納期は合意済みだが、費用は後から決定される、という形になります。

3. 商社・輸入業のケース

為替の影響や国際市況の変動が大きい商品の輸入では、船積み手配や通関処理を先行させ、価格確定は後回しにする場合があります。

例:

  • 商社が海外から鉄鉱石を輸入する際、数量と船便は確定させるが、国際価格が日々変動しているため、単価は後日調整。
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単価未定発注のメリットとリスク

メリット

納期の確保
 価格交渉に時間をかけずに発注できるため、納期が遅れるリスクを回避できます。

柔軟な対応
 原材料価格や為替の状況に応じて、最適なタイミングで単価を決めることが可能です。

信頼関係のある取引で有効
 長年の付き合いがある取引先同士であれば、後日調整する前提で、スムーズに対応できます。

リスクと注意点

価格トラブルの可能性
 単価について双方の認識が異なる場合、後々トラブルの原因になります。明確な合意や記録が重要です。

法的トラブルのリスク
 正式な契約が成立していないとみなされる可能性もあり、法律上の不備になる場合があります。

社内管理の煩雑さ
 発注書の内容が確定していないため、会計処理や原価管理において曖昧さが残ります。

2004年改訂の法律(下請法)により合法と認められている。