工場用語辞典
単価変更 【よみ】 たんかへんこう 【英語】 unit price change
「商品やサービスの1単位あたりの価格(単価)を変更すること」を指します。この変更には「値上げ」と「値下げ」の両方が含まれます。単価を変更する目的は多岐にわたり、コストの変動、需要と供給の変化、競合との価格競争、利益率の見直しなどが背景にあります。
企業にとって単価変更は重要な意思決定であり、慎重にタイミングや影響を見極める必要があります。また、変更によって取引先や顧客との関係性にも影響を及ぼすため、事前の通知や交渉が不可欠です。
単価変更の主な理由とその例
1. 原材料価格の変動
製造業や飲食業などでは、仕入れ原価が上昇すると、それに応じて販売単価も変更せざるを得ません。たとえば、小麦粉や食用油の価格が世界的に上昇した場合、パンを製造・販売する企業は、パン1個の単価を100円から110円に値上げすることがあります。
このような「コスト上昇に対応する単価変更」は、利益を維持するために必要です。
2. 市場競争や販売戦略
競合他社が価格を下げてきた場合、自社もそれに合わせて単価を下げることで顧客をつなぎとめようとすることがあります。これが「価格競争型の単価変更」です。
たとえば、ある携帯電話会社が月額プランの単価を5,000円から4,500円に引き下げれば、他社も追随して価格を調整する可能性があります。このような動きは、顧客獲得戦略の一環として行われます。
3. 業務効率の改善や大量発注による値下げ
一方で、コスト削減や生産性向上によって、単価を下げる余地が生まれることもあります。たとえば、製造工程を見直し、無駄を削減した結果、以前より低コストで生産できるようになれば、その分、単価を引き下げて市場での競争力を高めることが可能です。
また、取引先から「発注量を増やすから単価を下げてほしい」といった要請を受け、大口契約として単価変更が行われるケースもあります。
単価変更に伴う影響と注意点
1. 顧客・取引先への影響
単価変更は、顧客や取引先の購入意欲や信頼に直結します。特に値上げを行う場合は、「なぜ上がるのか」「今後どのように安定供給するか」など、説明責任が求められます。理由が不明確だったり、一方的な通知であった場合、取引関係の悪化を招くこともあります。
そのため、取引先とは事前に丁寧な協議を行い、合意を得た上で変更を実施することが重要です。
2. 業績や利益への影響
単価の引き上げは、短期的には利益増加につながる可能性がありますが、顧客離れを引き起こせば逆効果になることもあります。逆に、単価を下げれば一時的に売上が伸びる可能性はありますが、利益率が低下するリスクもあります。
したがって、単価変更を行う際は「販売数量・利益率・コスト・市場の反応」など、総合的なバランスの検討が欠かせません。
3. 社内調整とシステム対応
単価変更は営業部門だけでなく、会計・在庫管理・受発注システムなど多くの部門に影響を与えます。特にITシステムを使って価格を管理している企業では、変更の際にシステム更新が必要となるため、事前の準備とスケジュール調整が不可欠です。
