工場用語辞典

トレーサビリティ 【よみ】 とれーさびりてぃー 【英語】 traceability

「追跡可能性」とも訳される言葉で、製品や部品の履歴、流通経路、製造工程などをさかのぼって確認できる仕組みのことです。製造業、食品業界、医薬品業界、物流など、さまざまな分野で活用されています。

たとえば、ある製品に不具合が発生した場合、「いつ、どこで、誰が、どんな材料で、どの工程を経て作ったのか?」をたどることができれば、原因特定や対策が迅速に行えます。これがトレーサビリティの目的です。

企業にとっては、品質保証・リスク管理・法令遵守の観点で極めて重要であり、消費者からの信頼確保にも大きく貢献します。

トレーサビリティの仕組みと種類

トレーサビリティは、管理の対象や目的によっていくつかの種類に分けられます。それぞれの特徴を見てみましょう。

1. ロットトレーサビリティ(生産・製造履歴)

ある製品がどのロット(生産単位)で、どの材料を使って、どのライン・作業者によって、どんな工程で製造されたかを記録します。

例: 自動車部品メーカーが、「ブレーキパッドA」は2025年6月1日に第3ラインで製造され、原料ロットX123を使用、検査は作業者Bが実施、という記録を保持する。

この情報があることで、仮に後日その製品に欠陥が見つかった場合、該当ロットだけをリコールすることができます。

2. サプライチェーン・トレーサビリティ

原材料から最終製品、そして出荷・納品先に至るまで、製品の流通経路全体を追跡可能にする仕組みです。

例: コンビニで売られているおにぎりに使用された米が、どの農家でいつ収穫され、どの業者を経て工場に届いたかをすべて記録・管理。

これは特に食品業界で重要で、異物混入や食中毒が発生したときに迅速な対応を可能にします。

3. デジタルトレーサビリティ(ITを活用した管理)

バーコード、QRコード、RFID、製造番号、IoTなどの技術を使って、各工程の情報をデジタルで記録・保存・共有する方法です。

例: 医薬品の製造で、ボトルに個別のバーコードを付けてスキャンし、製造日時・検査記録・配送履歴をデータベースに保存する。

ペーパーレスで管理でき、検索・照合・報告などもスムーズに行えます。現在ではサステナビリティやESG経営の一環としても導入が進んでいます。

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トレーサビリティの活用例とその効果

トレーサビリティは、品質管理だけでなく、法的リスク回避や企業の信用維持にも大きく関わります。以下に具体的な例を紹介します。

1. 食品業界:異物混入への対応

ある食品工場で製造された冷凍食品に金属片が混入していたとします。トレーサビリティが確立されていれば、問題のロットを特定し、どの仕入れ業者からの原材料か、どの工程で異物が混入したかを迅速に追跡できます。

これにより、問題の製品を回収する範囲を最小限にとどめ、消費者の安全を守ることができます。また、原因が明確になれば再発防止策も講じやすくなります。

2. 自動車業界:部品リコール対応

自動車メーカーで、ブレーキ系統に不具合があった場合、すべての車をリコールするのは非現実的です。トレーサビリティによって、該当部品のロット番号や搭載車種が特定できれば、対象車だけにリコール通知を出すことが可能になります。

これはコストの削減だけでなく、企業の信頼維持にもつながります。

3. 医薬品業界:偽造防止と流通管理

医薬品には厳密な管理が求められるため、1つ1つの製品に製造番号やバーコードが付与され、流通先・保管履歴・使用期限などが追跡できるようになっています。

トレーサビリティがあることで、偽造薬の流通防止や、異常品の迅速な回収が可能になります。これは患者の命に関わる非常に重要な管理です。