工場用語辞典

トルクコンバーター 【よみ】 とるくこんばーたー 【英語】 torque converter

主に自動車のオートマチックトランスミッション(AT)車に使用される部品で、エンジンの回転力(トルク)を効率よく変速機に伝える装置です。日本語では「流体式変速機」や「流体クラッチ」と呼ばれることもあります。

マニュアル車で使われるクラッチの代わりに、AT車ではこのトルクコンバーターがエンジンとミッションの間に装着され、走行時のスムーズな発進や変速を可能にしています。トルクコンバーターは、運転者がクラッチ操作をすることなく、エンジンの動力を適切に伝達・制御できるという点で、快適な運転を支える重要なコンポーネントです。

トルクコンバーターの仕組みと構造

トルクコンバーターは、主に以下の3つの部品から構成されています。

1. インペラー(ポンプ)

インペラーはエンジン側に接続されており、エンジンが回転すると一緒に回ります。その回転によって、内部に満たされたオイル(ATF:オートマチックトランスミッションフルード)を外向きに押し出します。これはちょうど水車が水を外に飛ばすようなイメージです。

2. タービン

タービンは変速機側に接続されており、インペラーから送られてきたオイルの力で回転します。このタービンの回転が、車輪を動かす動力源になります。つまり、エンジンの回転力がオイルを介してタービンに伝わることで、車が前進します。

3. ステーター

ステーターは、インペラーとタービンの間に配置されており、オイルの流れを調整してエネルギーの損失を抑え、トルクを増幅する役割を果たします。特に、発進時や低速時にはエンジンのトルクを2倍以上に増幅する働きもあり、車をスムーズかつ力強く動かすことが可能になります。

ウイルテック公式求人サイト「ウイルタス」で仕事探し!製造業やエンジニアを積極採用!全国各地で面接、面談、登録を実施中。
ウイルテックでお仕事を見つけませんか?画像をクリックしてお仕事情報をチェック!

トルクコンバーターの特徴と応用例

トルクコンバーターは、単に動力を伝えるだけでなく、走行性能や快適性を高める機能を持っています。以下に、具体的な特徴と実例を挙げて紹介します。

1. スムーズな発進と変速

マニュアル車では、クラッチ操作を誤るとエンストしてしまうことがありますが、トルクコンバーター付きのAT車ではその心配がありません。たとえば、赤信号から青信号に変わったとき、運転者がアクセルを踏むだけでスムーズに発進できます。これはトルクコンバーターがエンジンとミッションの接続を自然に調整してくれるからです。

2. トルク増幅効果

トルクコンバーターは、発進時にトルクを増幅する性質があります。たとえば、重いトラックやバスなどでは、発進時に強い力が必要です。このような車両では、トルクコンバーターによってエンジンの力を一時的に増やし、スムーズに車体を動かすことができます。

3. ロックアップ機構の搭載

近年のトルクコンバーターには、「ロックアップクラッチ」という仕組みが組み込まれており、高速走行中にインペラーとタービンを機械的に直接接続することができます。これにより、オイルによるエネルギー損失をなくし、燃費を向上させることが可能になります。たとえば、高速道路を一定速度で走るときなどにこの機能が働きます。

実際の車における例

例1:トヨタ・プリウス(ハイブリッド車)

プリウスなどのハイブリッド車では、エンジンと電動モーターが協調して走行しますが、一部のモデルにはトルクコンバーターが組み込まれており、モーターとエンジンの動力切り替えをスムーズに行うための補助として活用されています。

例2:トラック・バス(商用車)

商用車では、発進時に強いトルクが必要なため、トルクコンバーターのトルク増幅機能が特に重要です。これにより、荷物を積んだ状態でも、スムーズに坂道を登ったり、交差点で素早く発進したりすることができます。