工場用語辞典

関税 【よみ】 かんぜい 【英語】 tariff

関税とは、物品を輸出入する際に、国が課す税金のことです。具体的には、外国から日本へ商品を持ち込む際(輸入)に、日本政府が課す税金が一般的です。

関税の目的

関税が課される目的は、大きく分けて以下の2つが挙げられます。

  1. 財政収入の確保: 関税は、国にとって重要な財源の一つです。輸入品に課すことで、国庫に収入をもたらし、公共サービスの維持や新たな政策の実施に充てられます。
  2. 国内産業の保護: 自国の産業を保護するために、外国からの製品との競争を抑制する目的で関税が課されることがあります。特に、新興国の低価格製品から国内産業を守るために、高い関税が課されるケースもあります。

関税の種類

関税には、課税基準によって様々な種類があります。

  • 従価税: 商品の価格に基づいて課される税金です。輸入品の価格が高いほど、支払う関税額も高くなります。
  • 従量税: 商品の数量に基づいて課される税金です。輸入品の数量が多いほど、支払う関税額も高くなります。
  • 複合税: 従価税と従量税を組み合わせた税金です。
  • 比重税: 商品の重量に基づいて課される税金です。

関税率の決定

関税率は、各国政府が定める関税法に基づいて決定されます。一般的に、以下のような要素を考慮して関税率が設定されます。

  • 商品の種類: 商品の種類によって、関税率が異なります。例えば、農産品や工業製品、自動車など、それぞれ異なる税率が設定されています。
  • 原産国: 商品の原産国によって、関税率が異なります。自由貿易協定(FTA)を結んでいる国からの輸入品は、一般的に低い関税率が適用されます。
  • 輸入数量: 輸入数量が多い場合、関税率が引き下げられることがあります。

関税が及ぼす影響

関税が課されることで、経済に様々な影響が生まれます。

  • 国内産業への影響: 関税によって外国製品の価格が上昇するため、国内産業は保護されます。しかし、一方で、原材料の輸入コストが上昇し、国内産業の生産コストも上昇する可能性があります。
  • 消費者への影響: 関税によって製品価格が上昇するため、消費者の負担が増加します。
  • 貿易への影響: 関税は、貿易の自由化を阻害する要因となります。高関税は、貿易摩擦の原因となることもあります。

関税は、国が貿易をコントロールするための重要な手段の一つです。財政収入の確保、国内産業の保護、そして貿易の自由化など、様々な目的のために利用されています。しかし、関税は、経済に多様な影響を与えるため、その設定には慎重な検討が必要です。