工場用語辞典
テーピング装置 【よみ】 てーぴんぐそうち 【英語】 Taping device
電子部品などの小型部品を、自動実装機で扱いやすい形に包装するための装置です。主に電子部品をキャリアテープ(帯状のテープ)に一定の間隔で整列・封入し、リール状に巻き取る作業を行います。これにより、部品の取り扱いや保管がしやすくなり、電子部品の自動組立ラインにおける効率的な供給を実現します。
テーピングの目的と重要性
電子部品の多くは非常に小型であり、バラの状態では取り扱いが困難です。そこで、テーピング装置を用いて整列・包装することで、以下のようなメリットが得られます。
1. 自動実装対応
キャリアテープに封入された部品は、自動実装機(マウンター)で高速かつ正確に吸着・実装されます。手作業を減らし、生産性を向上させます。
2. 品質の安定化
部品が整列されて保護されることで、部品の破損や混在、汚染などのリスクを低減できます。
3. 出荷と保管の効率化
部品が規則正しく巻かれたリール状で出荷されるため、物流や在庫管理も容易になります。
テーピング装置の構成と動作
テーピング装置は、以下のような構成要素から成り立っています。
1. フィーダー部
部品を供給する部分で、バルク品(バラ部品)やトレイなどから部品を取り出します。画像処理やロボットアームを使って正確にピックアップすることが求められます。
2. キャリアテープ供給部
部品を挿入するテープを供給します。テープにはあらかじめポケット(凹み)が形成されており、そこに部品が収まります。
3. 部品挿入部
供給された部品を、1つずつテープのポケットに正確に挿入する工程です。位置ズレや裏表の誤挿入を防ぐため、高精度な制御が必要です。
4. シール部
部品が挿入されたキャリアテープの上から、トップテープ(粘着フィルム)で封止します。部品の脱落や静電気障害を防ぎます。
5. 巻き取り部(リール巻き)
完成したテープをリール状に巻き取り、出荷可能な形に整えます。ラベル貼りや印字もこの工程で行われることがあります。
テーピング装置が使われる分野
テーピング装置は主に電子部品製造・加工業で利用されますが、近年では他分野にも活用が広がっています。
- 電子部品(IC・抵抗・コンデンサなど)
- 半導体パッケージ
- LEDやセンサー部品
- コネクタや端子部品
- 医療用部品・精密部品(マイクロパーツ)
とくにスマートフォンや車載電子機器に使用されるSMD部品(表面実装部品)では、ほぼすべてがテーピングで供給されているといっても過言ではありません。
テーピング装置の種類
テーピング装置は、処理対象や供給形式、封止方法によってさまざまなタイプに分かれます。
| 装置タイプ | 特徴 |
| バルク供給タイプ | バラ部品を自動整列してテープ封入 |
| トレイ供給タイプ | トレイからのピックアップに対応 |
| チューブ供給タイプ | 細長いチューブからの搬送用 |
| 真空吸着タイプ | 吸着で小型・軽量部品を扱う |
| 熱圧着/超音波シールタイプ | 高精度なシール方式で封止する |
近年ではAIや画像処理技術を活用した高精度なピック&プレース機能を搭載したテーピング装置も登場し、さらなる精密化と省人化が進んでいます。
今後の展望と課題
製造現場の自動化が進む中で、テーピング装置のニーズは今後も高まると予測されます。ただし、以下のような課題もあります。
・多品種小ロット対応
部品の種類が多くなり、品種変更への柔軟な対応が求められる。
・微小・高精度部品の取扱い
電子部品のさらなる小型化により、高精度な挿入と封止がより重要になります。
・静電気・異物対策
電子部品の保護のため、クリーンな環境とESD(静電気対策)設計が必要です。
