工場用語辞典
層別 【よみ】 そうべつ 【英語】 Stratified
QC七つ道具のひとつ。
得られたデータを特定の属性や条件に基づいて分類(グループ分け)し、分析しやすくする手法のことです。主に品質管理や統計解析、マーケティング、業務改善の分野で使われます。
例えば、不良品の発生データを「工場ごと」「作業者ごと」「時間帯ごと」に分けて分析することで、「どこで」「誰が」「いつ」不良が多く出ているのかを明確にできます。
なぜ層別が必要なのか?
全体の平均だけを見て判断すると、見えにくい問題が埋もれてしまうことがあります。層別をすることで、以下のようなメリットがあります:
- 問題の原因が特定しやすくなる
- 特定の層だけに起きている傾向が見える
- 対策を立てるポイントが明確になる
特に、**品質管理の「QC七つ道具」**の1つとしても、層別は重要な位置を占めています。
層別の具体例:製造業での活用
例1:不良率の層別
ある製品の不良率が全体で5%だったとします。これだけを見ても、対策の打ちようがありません。しかし、以下のように層別を行うと:
作業者 | 不良率 |
Aさん | 2% |
Bさん | 3% |
Cさん | 10% |
→ Cさんの作業に何らかの問題がある可能性が高い、と判断できます。
例2:時間帯による層別
さらに、不良の発生を時間帯で層別すると:
時間帯 | 不良率 |
午前中 | 3% |
午後(14時〜) | 8% |
→ 午後に不良が多いとわかれば、「作業者の集中力低下」や「設備の温度変化」などを対策のヒントとして考えられます。
層別の分類軸:何で分ける?
層別は、状況に応じてさまざまな視点で行うことができます。主な分類軸は以下のとおりです:
- 人:作業者、担当者、チームなど
- 場所:工場、ライン、現場の位置など
- 時間:日付、時間帯、曜日、季節など
- 方法:作業手順、使用材料、機械設定など
- その他:製品ロット、機種、取引先など
どの視点で層別するかは、目的や仮説に応じて決めます。
層別の注意点
層別は便利ですが、以下の点に注意が必要です:
- 層を分けすぎるとデータ量が減り、信頼性が下がる
- 偶然のバラつきを因果関係と誤認しやすい
- 層の分け方が適切でないと、逆に誤解を招く
したがって、層別の前には「どんな要因が問題を引き起こしていそうか?」という仮説を持つことが重要です。