工場用語辞典

ハンダづけ 【よみ】 はんだづけ 【英語】 soldering

ハンダという金属合金を使って、異なる金属部品同士を接合する技術です。ハンダは低温で溶ける金属であり、溶けた状態で接合部分に流し込み、その後冷却して固まることで、強固な接続ができます。ハンダづけは、特に電子機器の製造や修理、配線の接続などに広く利用されています。

ハンダづけは、冷却後に接合部分が強固で耐久性のある接続を形成するため、機械的な強度や電気的な接続を確保するための非常に重要な作業です。特に、精密な電子部品や基板の接続において、ハンダづけは欠かせない技術となっています。

ハンダづけの原理とプロセス

ハンダづけの原理

ハンダづけは、主にハンダという金属合金を溶かし、その液体を接合部分に流し込むことで行います。ハンダは、基本的に**錫(Sn)鉛(Pb)を中心にした合金ですが、環境や健康への配慮から、近年では鉛フリーのハンダも使用されています。鉛フリーのハンダは、錫に銅(Cu)銀(Ag)**を加えた合金です。

ハンダづけを行うとき、まず部品同士を接触させ、ハンダが液体になり、接合部を満たすことによって接続が形成されます。ハンダが冷却し固まると、部品同士が電気的にも機械的にも結びつきます。接合部分は、非常に高い信頼性を持って接続されるため、ハンダづけは多くの分野で使用されています。

ハンダづけのプロセス

ハンダづけのプロセスは、以下のステップで行われます。

部品の準備: ハンダづけを行う部品(基板やリード線など)の接合部分を清掃します。酸化物や汚れがあると、ハンダがうまく接合しないため、清潔であることが重要です。

フラックスの塗布: フラックスとは、ハンダづけの際に酸化物を除去したり、ハンダの流れを良くしたりするための助剤です。フラックスを塗布することで、よりスムーズにハンダが流れ、強固な接続が得られます。

加熱: ハンダを溶かすためには、一定の温度まで加熱する必要があります。加熱には、ハンダごて(はんだごて)などの加熱器具を使用します。ハンダが溶ける温度(約180°C〜230°C)に達したら、ハンダが溶けて流れ始めます。

ハンダの供給: 溶けたハンダを接合部に供給し、部品がしっかりと接続されるようにします。ハンダが液体になって接合部を満たし、冷却後に固まると接続が完了します。

冷却: ハンダが冷えて固まると、強固で安定した接続が得られます。冷却時間は自然に放置して冷ますこともありますが、急冷することは基本的に避けるべきです。

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ハンダづけの用途と具体例

電子機器でのハンダづけ

最も一般的なハンダづけの用途は、電子機器の基板回路の接続です。ハンダづけは、電子部品を基板に取り付けるために欠かせない作業です。たとえば、コンデンサ抵抗器トランジスタなどの部品を基板に接続するために使用されます。

  • 例1: コンピュータ基板のハンダづけ
    コンピュータのマザーボードには、多くの電子部品(チップ、コネクタ、抵抗など)がハンダで取り付けられています。これらの部品を基板にしっかりと接続するために、精密なハンダづけが行われます。基板上に小さなパッドがあり、その上に部品の端子をハンダで接続します。
  • 例2: スマートフォン
    スマートフォンにも数多くの電子部品がハンダづけされています。特に小型化が進んでいるため、部品同士の接続には非常に精密なハンダづけ技術が必要です。例えば、液晶ディスプレイのコネクタやバッテリー端子、各種センサーがハンダで接続されています。

自動車産業におけるハンダづけ

自動車産業でも、電子機器の多くはハンダづけによって組み立てられています。自動車には、エンジン制御ユニット(ECU)、ナビゲーションシステム、センサーなど、多くの電子機器が搭載されています。これらの機器の内部でも、基板に部品を取り付ける際にハンダづけが行われます。

  • 例: 車両のECU(エンジン制御ユニット)
    ECUは、エンジンの動作を管理する重要な部品です。その内部では、様々なセンサーやチップがハンダづけされています。これらの部品が確実に接続されていることで、エンジンの最適な制御が可能となります。

ソーラーセル(太陽光発電)でのハンダづけ

太陽光発電パネルの製造にもハンダづけが利用されています。ソーラーセルは、太陽光を電気に変換するための重要な部品です。これらのセルを接続する際には、ハンダを使ってセル同士を電気的に結びつけます。

  • 例: ソーラーセルの接続
    ソーラーセルは、複数のセルを直列または並列に接続してパネルを作ります。この接続部分には、ハンダを使用して各セルをしっかりと接続します。ハンダが適切に使用されないと、発電効率が低下するため、正確で高品質なハンダづけが求められます。

DIY(自作電子機器)でのハンダづけ

自作の電子機器や修理作業を行う際にも、ハンダづけは広く使用されます。特に、電子回路を自作する趣味がある人や、故障した機器の修理を行う人にとって、ハンダづけは欠かせないスキルです。

  • 例: 自作のラジオや電子回路
    自作でラジオを作る際や、オーディオ機器の改造を行う際には、ハンダづけを利用して部品を基板に取り付けます。また、古い家電製品が壊れた場合にも、故障部分を修理するためにハンダを使って接続を修復することがあります。

医療機器におけるハンダづけ

医療機器や機器類でもハンダづけは利用されています。特に精密な電子部品やセンサーを接続するためにハンダが使われ、信頼性の高い接続を提供します。

  • 例: 診断機器やポータブル医療機器
    医療機器では、患者のデータを正確に処理するために、多くの電子部品が利用されます。これらの部品はハンダで接続されており、機器の信頼性と精度を支えています。