工場用語辞典

シリコン 【よみ】 しりこん 【英語】 silicon

ゴム素材の一種である。

”シリコン”、”シリコーン”とも呼ばれている。

熱や寒さに強い、電気を絶縁、水をはじく、化学的に安定させる、無色透明、無味無臭という優れた性質を持っているため、哺乳瓶の口、コンタクトレンズ、半導体などさまざま分野で使われている。

「シリコン(Silicon)」という言葉は、私たちの日常生活で頻繁に耳にするものですが、その正体を正確に理解している人は意外と少ないかもしれません。実は、シリコンとは**元素記号Si、原子番号14の元素であるケイ素(けいそ)**のことです。

地球上で酸素に次いで2番目に多い元素であり、地殻の約28%を占めています。砂や水晶、石などの主要な成分である二酸化ケイ素(SiO₂)として自然界に豊富に存在しています。土岐市の周辺でも、ケイ素を含む鉱物が採掘されることがあります。

純粋なケイ素は、金属と非金属の中間的な性質を持つ半金属(またはメタロイド)に分類されます。常温では固体で、灰色がかった金属光沢を持ちますが、電気伝導性は金属ほど高くなく、条件によって電気を通したり通さなかったりする性質(半導体性)を持ちます。この半導体性こそが、現代のエレクトロニクス産業においてシリコンが非常に重要な役割を果たす理由です。

ケイ素は、炭素と同じく4つの価電子を持つため、他の原子と様々な結合を形成しやすい性質があります。この性質が、後述するシリコーン樹脂など、多様な化合物を生み出す背景となっています。

2. シリコンの特性と用途:半導体からシリコーンまで

元素としてのケイ素(シリコン)は、その半導体性を活かして、現代の電子機器に不可欠な半導体材料として広く利用されています。コンピュータのCPU(中央処理装置)、メモリ、トランジスタ、ダイオードなど、あらゆる電子部品の基盤となるシリコンウェハーは、高度な技術によって高純度に精製されたケイ素の単結晶から作られています。

土岐市を含む岐阜県は、かつて窯業が盛んであり、ケイ素を含む粘土が利用されてきました。現代では、直接的に電子部品製造に関わる産業は少ないかもしれませんが、素材としてのケイ素の重要性は変わりません。

一方、「シリコン」という言葉は、元素のケイ素だけでなく、ケイ素を主成分とする有機ケイ素化合物であるシリコーン樹脂を指すことも多くあります。シリコーンは、ケイ素と酸素が交互に結合した骨格を持ち、有機基(炭素を含む原子団)が結合した高分子化合物です。

ウイルテック公式求人サイト「ウイルタス」で仕事探し!製造業やエンジニアを積極採用!全国各地で面接、面談、登録を実施中。
ウイルテックでお仕事を見つけませんか?画像をクリックしてお仕事情報をチェック!

シリコーンは、その独特な化学構造によって、以下のような優れた特性を示します。

  • 耐熱性・耐寒性: 広い温度範囲で使用でき、高温や低温下でも物性変化が少ない。
  • 電気絶縁性: 電気を通しにくいため、電気製品の絶縁材料として利用される。
  • 撥水性・防水性: 水をはじく性質があり、シーリング材や防水材として利用される。
  • 柔軟性・弾力性: ゴムのような柔軟性や弾力性を持つものもあり、パッキンやOリングなどに利用される。
  • 安全性: 生体適合性が高く、医療分野や食品分野でも利用される。

これらの特性を活かして、シリコーンは非常に幅広い分野で利用されています。例えば、キッチン用品(ゴムベラ、製菓型)、建築材料(シーリング材、防水材)、自動車部品(ガスケット、ホース)、化粧品(乳化剤、感触改良剤)、医療機器(カテーテル、人工関節)、電子部品の封止材など、枚挙にいとまがありません。

このように、「シリコン」という言葉は、文脈によって元素のケイ素そのものを指す場合と、ケイ素を主成分とする化合物のシリコーン樹脂を指す場合があるため、注意が必要です。

3. シリコン産業の現状と展望

ケイ素は、現代社会を支える基盤材料の一つであり、その産業は世界的に重要な位置を占めています。半導体分野においては、より高性能で微細な集積回路を実現するための技術開発が日々進められており、シリコンウェハーの高品質化や大口径化が追求されています。

近年では、シリコンに炭素などの他の元素を組み合わせた新しい半導体材料(例えば、炭化ケイ素SiC)の研究開発も活発化しています。これらの新材料は、従来のシリコンよりも高い耐熱性や耐電圧性を持つため、次世代のパワーエレクトロニクス分野での応用が期待されています。

一方、シリコーン樹脂の分野も、その多岐にわたる用途と優れた特性から、今後も安定的な成長が見込まれています。環境意識の高まりから、より安全で持続可能なシリコーン材料の開発も進められています。