工場用語辞典
逆展開 【よみ】 ぎゃくてんかい 【英語】 reverse expansion
製造業において、製品を構成する部品から、その部品が使われている製品を特定していく手法のことです。通常の部品表作成では、製品から構成部品へと展開していく「正展開」が行われますが、逆展開は、この流れを逆にすることで、部品の使い道や、複数の製品で共通して使われている部品などを把握することを目的としています。
なぜ逆展開が必要なのか?
- 部品の使い回し: 複数の製品で共通して使われている部品を特定することで、部品の在庫管理を効率化し、コスト削減に繋げることができます。
- 代替部品の選定: ある部品が製造中止になった場合、その部品が使われている製品を全て特定し、代替部品への切り替え作業をスムーズに行うことができます。
- 製品のライフサイクル管理: 製品が廃盤になった場合、その製品に使われていた部品の在庫状況を把握し、適切な廃棄処理を行うことができます。
- 新製品開発: 既存の部品を再利用することで、新製品の開発期間を短縮し、開発コストを削減することができます。
逆展開の手法
逆展開には、大きく分けて以下の2つの手法があります。
- 手作業による逆展開:
- 部品図や部品表を基に、一つ一つの部品を目で追って、その部品が使われている製品を特定していく方法です。
- 小規模な製造現場や、部品の種類が少ない場合に有効ですが、人手がかかり、ミスが発生しやすいというデメリットがあります。
- システムによる逆展開:
- ERPシステムやPLMシステムなどのソフトウェアを用いて、部品データベースを構築し、部品から製品への検索を自動化する方法です。
- 大規模な製造現場や、部品の種類が多い場合に有効で、効率性が高く、正確な情報を得ることができます。
逆展開のメリット
- 部品の有効活用: 部品の在庫削減、コスト削減に貢献します。
- 製品のライフサイクル管理の効率化: 製品ライフサイクルの各段階における適切な対応を可能にします。
- 新製品開発の加速: 既存の部品を再利用することで、開発期間の短縮に繋がります。
- サプライチェーンの可視化: 部品の調達先や供給状況を把握し、サプライチェーン全体の最適化を図ることができます。
逆展開のデメリット
- システム導入コスト: システムによる逆展開を行うためには、専用のソフトウェアを導入する必要があります。
- データの正確性: 部品データベースのデータが正確でなければ、逆展開の結果も正確ではありません。
- 人的リソース: システムの運用には、一定の知識とスキルを持った人材が必要です。
逆展開の活用事例
- 自動車業界: 自動車部品の共通化によるコスト削減
- 電子機器業界: 新製品開発における既存部品の再利用
- 航空機産業: 部品調達の効率化
- 医療機器産業: 製品のリコール対応
逆展開は、製造業において、製品のライフサイクル全体を管理し、効率化を図る上で非常に重要な手法です。特に、製品の複雑化や部品の種類が増加している現代において、その重要性はますます高まっています。
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