工場用語辞典
樹脂成形 【よみ】 じゅしせいけい 【英語】 Resin molding
樹脂成形とは?
樹脂成形とは、熱や圧力を加えて、粉末状や粒状のプラスチック(樹脂)を目的の形状に加工する技術の総称です。私たちの身の回りにある様々なプラスチック製品、例えば家電製品の筐体、自動車部品、日用品、医療機器などに幅広く利用されています。樹脂の種類や製品の形状、求められる特性に応じて、多様な成形方法が存在します。
代表的な樹脂成形方法
樹脂成形には、様々な方法があり、それぞれに特徴と適した用途があります。ここでは、代表的な成形方法をいくつかご紹介します。
1. 射出成形(Injection Molding)
射出成形は、加熱して溶融させた樹脂を、金型と呼ばれる目的の形状をした型に高い圧力をかけて注入し、冷却固化させる成形方法です。複雑な形状の製品を大量かつ高精度に成形できるため、プラスチック成形の中でも最も一般的な方法の一つです。
特徴:
- 複雑な形状の製品を成形可能
- 高い寸法精度
- サイクルタイムが比較的短い
- 大量生産に適している
- 金型の製作にコストと時間がかかる
用途例:
- 自動車部品(バンパー、内装部品など)
- 家電製品(筐体、ボタンなど)
- 日用品(容器、文房具など)
- 医療機器(注射器、カテーテル部品など)
2. 押出成形(Extrusion Molding)
押出成形は、加熱溶融させた樹脂を、特定の断面形状の金型(ダイ)を通して押し出すことで、連続した形状の製品を成形する方法です。主に、パイプ、チューブ、フィルム、シート、異形押出製品などの長尺物を製造するのに適しています。
特徴:
- 連続した一定断面の製品を成形可能
- 比較的安価に大量生産が可能
- 金型の製作コストが射出成形に比べて低い
- 複雑な断面形状には不向き
用途例:
- パイプ、ホース
- 電線被覆
- フィルム、シート
- 窓枠、ドア枠などの建材
- 異形押出製品(モール、パッキンなど)
3. ブロー成形(Blow Molding)
ブロー成形は、パリソンと呼ばれる筒状に成形された溶融樹脂を金型で挟み込み、内部に空気を吹き込んで金型内壁に密着させ、冷却固化させる成形方法です。主に、中空形状の製品、例えばボトルやタンクなどを製造するのに用いられます。
特徴:
- 中空形状の製品を成形可能
- 比較的安価に大量生産が可能
- 軽量な製品を製造しやすい
- 複雑な形状には不向き
用途例:
- ペットボトル、プラスチックボトル
- 燃料タンク
- 医療用容器
- 玩具
4. 熱成形(Thermoforming)
熱成形は、加熱して軟化させたシート状の樹脂を、型に合わせて変形させ、冷却固化させる成形方法です。真空成形、圧空成形、機械成形など、様々な方式があります。主に、食品容器、トレー、自動車内装部品などに利用されます。
特徴:
- 比較的大きなサイズの製品を成形可能
- 金型の製作コストが比較的低い
- 複雑な形状には不向き
- 製品の肉厚が均一になりにくい場合がある
用途例:
- 食品容器(カップ、トレーなど)
- 自動車内装部品(インパネ、ドアトリムなど)
- 家電製品のカバー
- 包装材