工場用語辞典
製造オーダー 【よみ】 せいぞうおーだー 【英語】 production order
製造業において、特定の製品を製造するために発行される指示書、またはそれを管理するための情報体系を指します。一般的には「製造指示書」「生産オーダー」「ワークオーダー」などとも呼ばれます。製造オーダーは、いつ、何を、どれだけ作るのかという生産計画の具体的な実行指示であり、工場内の各部門が連携して生産活動を進める上での中心的なドキュメントとなります。これには、製造する製品の品目コード、数量、納期、使用する原材料、製造工程、担当者などの詳細情報が含まれます。
製造オーダーの役割と記載内容
製造オーダーの主な役割は、生産活動を統制し、効率的かつ確実に製品を製造することにあります。具体的には、以下の点で重要な役割を果たします。
①生産指示の明確化: 製造する製品の種類、数量、納期を明確に指示することで、生産現場が混乱なく作業を進められるようにします。これにより、必要なものを必要な時に必要なだけ生産することが可能になります。
②リソースの割り当て: 製品を製造するために必要な原材料、部品、設備、人員などのリソースを割り当てる基準となります。製造オーダーに基づいて、各リソースが適切に準備され、配置されることで、生産のボトルネックを解消し、スムーズな流れを確保します。
③進捗管理と実績把握: 製造オーダーごとに生産の進捗状況を追跡し、計画との差異を把握するための基盤となります。作業完了時間、使用した原材料の量、不良品の発生数などを記録することで、生産実績を正確に把握し、将来の計画立案やコスト計算に役立てることができます。
④品質管理の基盤: 製造オーダーには、製品の品質基準や検査工程に関する情報が含まれることもあります。これにより、製造プロセス全体で品質が維持・管理され、不良品の発生を抑制します。
製造オーダーに記載される一般的な内容は以下の通りです。
- オーダー番号: 一意に識別するための番号
- 製品コード/品目コード: 製造する製品の識別コード
- 製品名: 製造する製品の名称
- 製造数量: 製造する製品の目標数量
- 開始予定日時/完了予定日時: 製造開始と完了の目標日時
- 納期: 製品を納めるべき期日
- 構成部品(BOM:Bills of Material): 製品を構成する原材料や部品の一覧と必要量
- 製造工程(ルーティング): 製品が通過すべき工程の順序と各工程での作業内容、所要時間
- 使用設備: 各工程で使用する設備や機械
- 担当者/責任者: 各工程や全体の責任者
- 特記事項: 品質に関する指示や特別な注意事項など
製造オーダーと生産管理システム
現代の製造業では、製造オーダーの作成・管理は、ERP(統合基幹業務システム)や生産管理システムと連携して行われるのが一般的です。これらのシステムでは、販売管理からの受注情報に基づいて製造オーダーが自動的に生成され、在庫管理、購買管理、工程管理などと連動します。
例えば、システム内で製造オーダーが発行されると、必要な原材料や部品の在庫が自動的に引き落とされたり、不足している場合には購買オーダーが自動的に生成されたりします。また、製造工程の進捗状況はリアルタイムでシステムに反映され、遅延が発生した場合にはアラートが発せられるなど、迅速な対応を促します。
