工場用語辞典
パワーステアリング 【よみ】 ぱわーすてありんぐ 【英語】 power steering
自動車のハンドル操作を補助する仕組みのことであり、ドライバーが少ない力でスムーズにハンドルを回すことを可能にする装置です。日本語では「動力操舵装置」とも呼ばれます。
かつての車両では、タイヤを直接動かす力をすべてドライバーが腕の力で担っており、特に低速時や停車中のハンドル操作は重労働でした。パワーステアリングはその負担を軽減し、より安全で快適な運転を実現する技術です。
1. パワーステアリングの種類
1.1 油圧式パワーステアリング(HPS)
最も古くから使われている方式が油圧式(Hydraulic Power Steering)です。これはエンジンの動力を利用して油圧ポンプを回し、その圧力でステアリング操作をアシストする仕組みです。ハンドルを回すと油圧バルブが作動し、油圧でタイヤの向きを変える力を補助します。
例:
トヨタ・クラウンや日産・セドリックなど、1990年代の高級車に多く使われていました。
1.2 電動式パワーステアリング(EPS)
最近の主流となっているのが電動式(Electric Power Steering)です。こちらは油圧を使わず、電動モーターの力でステアリング操作をアシストします。センサーがハンドルの回転角や車速を感知し、最適な力を電動モーターで補います。
例:
トヨタ・アクアやホンダ・フィットなど、燃費性能を重視する車種に多く採用されています。
1.3 電動油圧式パワーステアリング(EHPS)
これは油圧を使いながらも、その油圧を電動モーターで作るハイブリッド型の方式です。エンジン出力に依存せず、電動モーターでポンプを動かすため、燃費にも配慮されています。
例:
BMWの一部モデルや、一部のSUVで使用されています。
2. パワーステアリングのメリットとデメリット
2.1 メリット
- 運転のしやすさ
停車中や低速走行時でも軽い力でハンドルを回せるため、特に女性や高齢者にも運転しやすくなります。 - 安全性の向上
緊急回避時や高速走行中のハンドル操作も安定して行えるため、事故のリスクを減らせます。 - 省エネルギー(EPSの場合)
電動式では必要なときにだけモーターが作動するため、燃費の向上にも寄与します。
2.2 デメリット
- 故障リスク
複雑な機構のため、故障した場合にはハンドルが非常に重くなり、運転が困難になります。 - コスト
修理費や初期導入コストが高くつく場合があります。
3. 具体例から見るパワーステアリングの進化
3.1 昔の車と今の車の違い
1980年代の小型車(例:初代スズキ・アルト)では、パワーステアリングが装備されていないことも多く、ハンドルは非常に重く感じられました。一方、2020年代の軽自動車でも電動パワーステアリングが標準装備されており、片手でも楽に操作が可能です。
3.2 自動運転との関連性
近年では自動運転技術との連携が進み、パワーステアリングも電子制御が前提となっています。車両のコンピューターがハンドル操作を制御するため、精密な電動ステアリングは自動運転車にとって不可欠な要素です。
例:
テスラ・モデル3や日産・リーフの自動運転支援機能では、電動ステアリングを用いて車線変更や緊急回避が行われます。
