工場用語辞典

パーティクル測定 【よみ】 ばーてぃくるそくてい 【英語】 particle measurement

パーティクル測定とは、空気や液体中に存在する「粒子(パーティクル)」の数や大きさ、分布を測定・分析する作業のことです。ここで言う「粒子」とは、塵(ちり)、ほこり、金属片、バクテリア、化学粒子、微細な液滴など、目に見えないレベルの微細な物質を指します。

この測定は、製薬・半導体・食品・化学・医療・クリーンルームなど、高い清浄度管理が求められる現場で非常に重要です。製品や工程の安全性、品質、信頼性を確保するために、微粒子の管理が欠かせないためです。

パーティクル測定の仕組みと測定機器の種類

測定の目的と考え方

パーティクル測定の主な目的は、次の3点です:

  1. クリーン度の管理(空気や作業環境)
    クリーンルームや作業場において、空気中に浮遊する微粒子の濃度を測定し、国際規格(ISO)やGMPに適合しているかを確認する。
  2. 液体中の清浄度評価
    製品に使用される水、薬品、溶剤、潤滑油などの中に不純物が含まれていないかを確認する。
  3. 機器や製品のコンタミ(異物混入)対策
    製品内部や製造装置に異物が混入していないかをチェックすることで、製品不良の原因を特定・予防します。

主な測定方法

1. 光散乱式パーティクルカウンター

最も一般的な方式で、レーザー光を粒子に当て、その散乱光の強さを測定することで粒子の大きさと数をカウントします。空気中の粒子をリアルタイムで測定でき、クリーンルームや手術室のモニタリングに使われます。

2. レーザー回折式測定器

主に液体や粉体中の粒子径の分布を測る方法です。粒子がレーザー光をどの角度にどれだけ回折させたかをもとに、粒子のサイズを求めます。

3. 顕微鏡法(フィルター法)

空気や液体をフィルターでろ過し、その上に残った粒子を顕微鏡で観察・数える手法です。精密さに優れる一方で、手作業での分析が必要なため時間がかかります。

4. 動的光散乱(DLS)

ナノサイズの粒子(サブミクロン以下)の動きを光の散乱で解析し、粒子の平均径を算出します。医薬品や化粧品など、微細分散系の品質評価に使われます。

ウイルテック公式求人サイト「ウイルタス」で仕事探し!製造業やエンジニアを積極採用!全国各地で面接、面談、登録を実施中。
ウイルテックでお仕事を見つけませんか?画像をクリックしてお仕事情報をチェック!

パーティクル測定の活用分野と重要性

1. 製薬・医療業界

注射薬や点眼薬などの無菌製剤に異物が混入していないかの確認は、人命に関わる重大な問題です。製薬会社では、パーティクル測定がGMP(適正製造基準)で義務付けられており、液中パーティクルの測定が製造過程で必須です。

また、手術室やクリーンルーム内の空気清浄度もパーティクル測定で管理されています。

2. 半導体・精密機器業界

半導体製造では、微細な粒子でもチップや回路の欠陥の原因になるため、ナノレベルのパーティクル管理が求められます。パーティクル測定は、製造装置、工程、クリーンルームの維持に不可欠です。

3. 食品・化粧品業界

食品や化粧品の製造過程でも、製品への異物混入を防止するためのモニタリングとしてパーティクル測定が導入されています。消費者の安全と信頼確保のために重要です。

4. クリーンルーム管理

クリーンルームでは、ISO14644-1のような国際規格に基づき空気中の粒子数を定期的に測定し、清浄度クラス(例:ISO Class 5~8)を維持する必要があります。

パーティクル測定を行う際の注意点

測定環境の安定化

温度・湿度・気流などの影響で測定値が変動するため、安定した環境条件で測定を行うことが重要です。

定期的な校正とメンテナンス

パーティクルカウンターは精密機器のため、定期的な校正(キャリブレーション)や点検が必要です。測定精度の信頼性を保つには欠かせません。

測定データの活用

単に測定して終わりではなく、測定データを分析・記録し、傾向管理や原因追及に活用することで、品質向上・工程改善につながります。