工場用語辞典
注文請負書 【よみ】 ちゅうもんうけおいしょ 【英語】 order confirmation
企業や個人が他者に業務や製品の製作などを請け負わせる際に交わす契約書または文書のことです。主に、建設工事、製造業、IT開発、デザイン業務など、「完成を目的とした仕事」に関して使用されます。
請負契約は、民法第632条に基づく法的な契約形態で、「ある仕事の完成を約束し、相手はその成果に対して報酬を支払う」というものです。注文請負書は、この契約関係を文書化して明確にするための書類です。
注文書(発注者が作成)と請書(受注者が作成)をあわせて注文請負書と呼ぶこともあります。
注文請負書の主な構成と記載事項
注文請負書は、契約内容や責任の範囲を明確にし、後々のトラブル防止や法的効力の担保に役立ちます。記載内容は仕事の性質や業界によって異なりますが、一般的には次のような事項が含まれます。
主な記載項目:
①発注者と受注者の情報
会社名、代表者名、住所、連絡先など
②業務の内容(仕事の範囲)
どのような仕事を、どこまで実施するかの明確化
例:システム開発、建築物の建設、試作品製作 など
③納期(期限)
完成・納品の期日、途中段階での成果物提出時期
④報酬および支払い条件
請負金額、支払い方法、分割払いの有無など
⑤検収方法
完成物が仕様通りかどうかの確認方法、合否判定の基準
⑥瑕疵担保責任や保証期間
不具合やミスが発見された場合の対応方針
⑦契約解除の条件や違約金の取り決め
秘密保持条項
受注者が知り得た情報の取り扱い
具体例:
例:建設会社と顧客の間での請負
Aさんが自宅のリフォームをB建設会社に依頼した場合、「注文請負書」には「キッチンと浴室の改装」「工事期間:令和〇年〇月〇日から〇日まで」「工事費用:税込200万円」「支払いは工事完了後30日以内」などが記載されます。
例:中小企業がソフトウェア開発を外
C社が外部の開発会社に業務管理システムを開発してもらう場合、「注文請負書」には「業務内容:販売管理・在庫管理システムの開発」「納期:2025年12月末」「報酬:300万円(2回払い)」「成果物の納品後に検収を行う」などが記載されます。
注文請負書の重要性と注意点
注文請負書は、発注者と受注者の責任範囲や合意内容を明文化し、トラブル時の証拠にもなる非常に重要な書類です。口頭でのやり取りだけでは、後に「言った・言わない」などの紛争が発生する恐れがあり、企業間取引では必ず文書化されます。
注文請負書のメリット:
- 業務の範囲・内容が明確になる
- 納期や支払いに関するトラブルを防げる
- 契約違反があった場合、法的対応の根拠になる
作成時の注意点:
- 曖昧な表現を避けること
例:「なるべく早く納品」ではなく「〇月〇日までに納品」と明記する。 - 成果物の完成基準を明確にする
検収基準や品質要件を書き忘れると、完成の定義が不明確になり紛争の原因になる。 - 秘密保持や著作権の取り扱いも明記
とくにクリエイティブ業務や開発業務では、成果物の著作権帰属先が重要になります。
