工場用語辞典
光学プリズム 【よみ】 こうがくぷりずむ 【英語】 optical prism
透明な物質(ガラス、水晶など)でできた多面体で、光を通す際にその進行方向を変化させる光学素子のことを指します。三角柱の形をしているものが一般的ですが、様々な形状のものが存在します。
光学プリズムはシンプルな構造でありながら、光を自在に操ることができる非常に重要な光学素子です。私たちの身の回りにある様々な光学機器の中に、プリズムは必ずと言っていいほど組み込まれています。
プリズムの働き
プリズムが光に与える主な効果は、以下の3つです。
- 屈折: 光が異なる媒質(空気からガラスなど)を通るときに、その進行方向が曲がる現象です。プリズムは、この屈折を利用して、光線を特定の方向に曲げることができます。
- 分散: 白色光は様々な色の光(スペクトル)の集合体です。プリズムは、これらの色ごとの屈折率の違いを利用して、白色光を構成する様々な色の光に分離することができます。虹が生まれるのも、大気中の水滴がプリズムのような働きをしているからです。
- 全反射: 光が密度の高い媒質から低い媒質へ入射する際、入射角が臨界角を超えると、全反射と呼ばれる現象が起こり、光が全て反射します。プリズムは、この全反射を利用して、光線を90度曲げたり、像を反転させたりすることができます。
プリズムの種類と用途
プリズムには、その形状や用途によって様々な種類があります。
- 三角プリズム: 最も一般的な形状で、分光器などに使われます。
- 直角プリズム: 90度で光を曲げるために使用されます。双眼鏡やカメラのファインダーなどに使われます。
- ペンタプリズム: 45度と90度の角度を持つ五角形のプリズムで、像を反転させるために使用されます。一眼レフカメラのファインダーなどに使われます。
- ロッホプリズム: 光を分散させずに、像を反転させるために使用されます。
- ニコルプリズム: 特定の振動方向の光のみを通す偏光プリズムです。
これらのプリズムは、以下のような用途で利用されています。
- 分光: 光を構成する成分に分離し、分析する。
- 結像: 光線を集めたり、平行光線に変えたりして、像を形成する。
- 偏光: 特定の振動方向の光のみを通す。
- 光路の変更: 光の進行方向を意図的に変える。
プリズムの材質
プリズムの材質としては、ガラス、水晶、フッ化カルシウムなどが一般的に使用されます。それぞれの材質は、透過する光の波長範囲や屈折率が異なるため、用途に合わせて適切な材質が選ばれます。