工場用語辞典
外段取り 【よみ】 そとだんどり 【英語】 Off-line setup
ラインの工程や加工する機械を止めることなく行える段取り作業のこと。
ライン・工程の外で行うことができ作業と同時並行もでき効率が良く、無駄が省ける。
製造業において「段取り」は、生産効率を大きく左右する重要な作業です。段取りとは、製品の切り替えや機械の設定変更など、生産の準備作業全般を指します。生産性を上げるためには、この段取りにかかる時間をいかに短縮するかが鍵となります。その中でも注目されるのが「外段取り」です。
段取りの種類と外段取りの特徴
内段取りと外段取りの違い
段取りには大きく分けて「内段取り」と「外段取り」があります。
- 内段取り(Internal Setup):機械を停止していないと行えない準備作業。
例:金型の交換、機械の調整など。 - 外段取り(External Setup):機械が稼働している間でも実施できる作業。
例:部品の準備、工具の整理、作業指示書の確認など。
内段取りは、機械が止まっている時間に行うため、生産を一時中断せざるを得ません。一方、外段取りは生産の合間に並行して行えるため、稼働率の向上が可能です。
外段取りの目的
外段取りの目的は、「機械の停止時間(ダウンタイム)を最小限に抑えること」です。段取り作業を可能な限り外段取り化することで、機械の生産時間が最大化され、生産性向上につながります。
3. 外段取りのメリット
生産性の向上
最も大きなメリットは生産性の向上です。例えば、段取りに30分かかっていた作業のうち、15分を外段取りに移行できれば、機械の停止時間を半分に減らせます。
作業の平準化
外段取りは計画的に事前準備が可能なため、作業が標準化され、誰でも同じ品質・手順で段取り作業を行いやすくなります。これにより属人化が防げ、作業のバラツキが減ります。
人的ミスの削減
作業手順を明確にし、あらかじめ準備することで、焦って作業を行う必要がなくなり、ミスのリスクを軽減できます。
外段取りの実践例
例:金型交換作業の改善
あるプレス工場では、1回の金型交換に平均40分かかっていました。そのうち、以下のような作業を外段取り化しました。
- 新しい金型の準備を生産中に実施
- 必要工具を事前に専用ワゴンにまとめておく
- 作業指示書を作業開始前に確認・共有
これにより、実際に機械を止めてからの作業時間は40分から20分に短縮されました。結果として、生産の切り替え回数を増やすことができ、少量多品種生産にも柔軟に対応可能となりました。
外段取り導入のポイント
外段取りをうまく導入するには、以下のポイントが重要です。
- 現状の段取り作業を細かく分析すること
すべての作業を分解し、「外段取り化できるものはないか」を検討します。 - 専用ツールや仕組みを整備すること
専用のワゴン、チェックリスト、治具などを用いて外段取り作業を効率化します。 - 作業手順の標準化と教育の実施
誰が作業しても同じ結果になるよう、手順をマニュアル化し、全員が習得できるよう教育します。
外段取りは、製造現場における「ムダの削減」「生産性向上」のカギとなる手法です。内段取りと外段取りの違いを明確にし、可能な限り外段取りに移行することで、機械の停止時間を短縮し、効率の良い現場運営が可能になります。段取り改善は一度で終わるものではなく、継続的な改善活動(カイゼン)によって磨かれていきます。外段取りの考え方を現場に根付かせることが、強いものづくり企業への第一歩と言えるでしょう。

