工場用語辞典

最小発注数 【よみ】 さいしょうはっちゅうすう 【英語】 Minimum order quantity

最小発注数とは、買い手が売り手に対して一度に発注しなければならない最小の数量のことです。英語では Minimum Order Quantity (MOQ) とも呼ばれます。売り手側が、採算性の確保や生産効率の維持などの理由から、一定数量以上の発注を取引の条件として設定するものです。

最小発注数が設定される主な理由

売り手が最小発注数を設定する主な理由としては、以下の点が挙げられます。

  1. 生産効率の維持: 生産ラインを稼働させるには準備や段取りが必要となり、少量生産では単位あたりのコストが高くなる場合があります。一定量以上の発注を受けることで、効率的な生産体制を維持し、コストを抑えることができます。
  2. 採算性の確保: 少量のみの注文では、材料費、人件費、輸送費などのコストを回収できず、利益を確保できない場合があります。最小発注数を設けることで、一定の売上を確保し、採算ラインを維持します。
  3. 在庫管理の効率化: 多種少量の商品を少量ずつ頻繁に出荷する場合、在庫管理やピッキング、梱包などの作業が煩雑になります。最小発注数を設定することで、取引の頻度を減らし、在庫管理業務を効率化します。
  4. 取引コストの削減: 少量注文への対応は、見積もり作成、受発注処理、請求書発行などの事務作業コストがかかります。最小発注数を設けることで、これらの取引コストを削減します。
  5. 卸売・業者間の取引の特性: 卸売業やメーカーと小売業者の間など、大量取引を前提としたビジネスモデルにおいては、少量注文への対応が非効率となるため、最小発注数が設定されることが一般的です。
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買い手側の視点と対応

買い手側にとって、最小発注数は仕入れの制約となる場合があります。特に、小規模な事業者や少量のみを必要とする場合には、過剰な在庫を抱えるリスクや、資金繰りの圧迫につながる可能性があります。

買い手側が最小発注数に対して取りうる対応としては、以下のようなものが考えられます。

  • 発注量の調整: 必要量を満たすように、他の商品とまとめて発注したり、将来の需要を見越して多めに発注したりすることを検討します。
  • 他のサプライヤーの探索: より少量からの発注に対応してくれるサプライヤーを探します。
  • 共同購入: 他の事業者と協力して共同で発注することで、最小発注数を満たす方法を検討します。
  • 交渉: サプライヤーに対して、最小発注数の引き下げや、段階的な発注に応じてもらえるか交渉してみることも有効な場合があります。

最小発注数は、サプライチェーンにおける取引条件の一つであり、売り手と買い手の双方の状況を考慮して設定・交渉されるものです。買い手側は、自身の事業規模や需要に合わせて、柔軟に対応策を検討する必要があります。