工場用語辞典

顕微鏡 【よみ】 けんびきょう 【英語】 microscope

肉眼では見えないほど小さな物体や構造を拡大して観察するための光学機器です。古代ギリシャ語の「mikros(小さい)」と「skopeō(見る、検査する)」に由来し、文字通り「小さなものを見る」ための道具と言えるでしょう。
顕微鏡は、私たちの目には見えない微細な世界を覗き見るための重要なツールです。科学の発展に大きく貢献しており、今後も様々な分野で活躍が期待されています。

顕微鏡の構造と仕組み

顕微鏡の主な構造は、対物レンズ、接眼レンズ、鏡筒、ステージ、光源などから構成されています。

  • 対物レンズ: 観察対象物に最も近いレンズで、ここで一次拡大像が作られます。倍率は数倍から数百倍まで様々です。
  • 接眼レンズ: 目に最も近いレンズで、対物レンズでできた一次拡大像をさらに拡大し、最終的な像を結像します。
  • 鏡筒: 対物レンズと接眼レンズを固定し、光の通り道を確保する筒状の部分です。
  • ステージ: 観察対象物を載せる平らな台です。
  • 光源: 観察対象物に光を当てるための光源です。

顕微鏡の仕組みは、光がレンズを通過する際に屈折し、拡大されるという原理に基づいています。対物レンズで拡大された像を、接眼レンズでさらに拡大することで、肉眼では見えない微細な世界を観察することが可能になります。

顕微鏡の種類

顕微鏡には、様々な種類があり、それぞれ特徴と用途が異なります。

  • 光学顕微鏡: 可視光線を用いて観察する最も一般的な顕微鏡です。さらに、透過光を用いる透過型と、反射光を用いる落射型に分けられます。
  • 電子顕微鏡: 電子線を用いて観察する顕微鏡で、光学顕微鏡よりもはるかに高い解像度を得ることができます。透過型電子顕微鏡(TEM)と走査型電子顕微鏡(SEM)が代表的です。
  • 蛍光顕微鏡: 特定の波長の光を吸収し、より長い波長の光を放出する蛍光物質を用いて観察する顕微鏡です。
  • 共焦点顕微鏡: レーザー光を用いて、焦点が合った部分の光のみを検出する顕微鏡で、厚い標本の内部構造を詳細に観察できます。
  • 実体顕微鏡: 立体的な観察に適した顕微鏡で、宝石や昆虫などの観察に用いられます。

顕微鏡の用途

顕微鏡は、様々な分野で利用されています。

  • 生物学: 細菌、細胞、組織などの微生物学的な観察
  • 医学: 病理組織の検査、血液検査など
  • 材料科学: 金属、セラミックス、高分子材料の微細構造の観察
  • 半導体: 集積回路の検査
  • 考古学: 古代の遺物の分析

顕微鏡の使い方

顕微鏡の使い方の基本は、以下の通りです。

  1. プレパラートの作成: 観察したい試料をスライドガラスに載せ、カバーガラスで覆います。
  2. 対物レンズの選択: 観察したい倍率に合わせて対物レンズを選択します。
  3. ピント合わせ: 微調整ネジを回し、ピントを合わせます。
  4. 観察: 接眼レンズをのぞき込み、観察します。

顕微鏡の注意点

  • 試料の準備: 試料の厚さや濃度など、観察する対象物に合わせて適切な準備が必要です。
  • 照明: 光源の明るさや角度を調整することで、より鮮明な画像を得ることができます。
  • レンズの清掃: レンズに汚れが付着すると、観察画像がぼやけるため、定期的に清掃することが重要です。