工場用語辞典
液晶 【よみ】 えきしょう 【英語】 liquid crystal
液晶とは、液体と結晶の両方の性質を併せ持つ物質のことです。液体のように流れ動ける一方で、結晶のように分子が規則的に並んでいるという、一見矛盾する特徴を持っています。
液晶の特徴
- 流動性: 液体のように形を自由に変化させ、容器の中で流れることができます。
- 異方性: 結晶のように、特定の方向に性質が異なる異方性を示します。例えば、光を通す方向や電気を通す方向が異なる場合があります。
- 電場や温度による変化: 電場や温度の変化によって、液晶分子の配列が変化し、光学的な性質が変化します。この性質が、液晶ディスプレイの表示原理となっています。
液晶の構造
液晶分子は、棒状や円盤状をした細長い形をしています。これらの分子が、ある程度規則正しく並んでいる状態が液晶状態です。液晶の種類によって、分子の並び方が異なり、ネマチック液晶、スメクティック液晶、コレステリック液晶などがあります。
- ネマチック液晶: 液晶分子が棒状で、ある一方向にそろって並んでいる状態。最も一般的な液晶です。
- スメクティック液晶: 液晶分子が層状に並んでおり、各層内で分子が一定の方向に並んでいる状態。
- コレステリック液晶: ネマチック液晶の分子が、層状に並んでおり、各層内で分子の向きが少しずつ回転している状態。
液晶の応用
液晶の最も代表的な応用が、液晶ディスプレイ(LCD)です。LCDは、液晶の電場による光学特性の変化を利用して、文字や画像を表示します。ノートパソコン、スマートフォン、テレビなどの身近な製品に広く利用されています。
液晶ディスプレイの仕組み
- バックライト: 液晶パネルの背面から光を照らします。
- 偏光板: バックライトからの光を特定の方向に振動させる偏光板を通します。
- 液晶層: 電圧をかけることで液晶分子の配列を制御し、光の透過率を変化させます。
- カラーフィルター: 液晶層を通過した光を赤、緑、青の三原色に分離します。
- カラーフィルター: 各色の光を組み合わせて、様々な色を表現します。
液晶の他の応用
液晶は、ディスプレイ以外にも様々な分野で応用されています。
- 液晶シャッター: カメラのレンズなどに使用され、光の量を調整します。
- 液晶温度計: 液晶の色が温度によって変化する性質を利用した温度計です。
- 液晶偏光子: 液晶ディスプレイだけでなく、様々な光学機器に使われています。