工場用語辞典

かんばん方式 【よみ】 かんばんほうしき 【英語】 Kanban system just-in-time inventory management

かんばん方式とは、トヨタ生産方式で開発された、必要なものを、必要な時に、必要なだけ作るという考えに基づいた生産管理方式です。無駄な在庫を削減し、生産効率を向上させることを目的としています。

かんばん方式の仕組み

かんばん方式では、かんばんと呼ばれるカードが重要な役割を果たします。かんばんには、いつ、どこで、何が、どれだけ使われたかといった情報が記載されており、生産の指示書として機能します。

  1. 後工程からの引き出し: 後工程で製品が使われると、空になった場所にかんばんが置かれます。
  2. 前工程への引き渡し: 後工程から引き出されたかんばんは、前工程に渡されます。
  3. 前工程での生産: 前工程は、受け取ったかんばんの指示に従って、必要な部品や製品を生産します。
  4. 後工程への納品: 生産された部品や製品は、かんばんとともに後工程に納品されます。

このサイクルを繰り返すことで、過剰な生産を抑制し、必要なものだけを必要な時に生産することができます。

かんばん方式のメリット

  • 在庫削減: 過剰な在庫を抱えることがなく、在庫管理コストを削減できます。
  • 生産効率向上: 必要なものだけを生産するため、生産リードタイムを短縮し、生産効率を向上できます。
  • 品質向上: 小ロット生産により、不良品の発生を抑制し、品質を向上できます。
  • 問題の早期発見: 問題が発生した場合、すぐに原因を特定し、対策を講じることができます。
  • 柔軟な対応: 需要の変化に迅速に対応でき、市場の変化に対応しやすい生産体制を構築できます。

かんばん方式のデメリット

  • 導入コスト: システムを構築するための初期費用がかかります。
  • 従業員の教育: すべての従業員がかんばん方式を理解し、実践できるよう、教育が必要です。
  • 複雑なシステム: 多品種少量生産の場合、かんばんの管理が複雑になることがあります。

かんばん方式の種類

かんばん方式には、大きく分けて以下の2種類があります。

  • 引取りかんばん: 後工程から前工程へ、必要な部品や製品を引き出すためのかんばん。
  • 生産かんばん: 前工程で生産する製品の種類と数量を指示するかんばん。

かんばん方式の活用例

かんばん方式は、製造業だけでなく、サービス業やIT業界など、様々な分野で活用されています。例えば、ソフトウェア開発のタスク管理や、コールセンターの業務管理などにも応用されています。

かんばん方式は、無駄を削減し、生産効率を向上させるための効果的な手法です。しかし、導入にあたっては、企業の規模や業種、製品特性などを考慮し、適切なシステムを構築することが重要です。