工場用語辞典
継手 【よみ】 つぎて 【英語】 joint
建築や機械、配管、構造物などの分野において、複数の部材や部品を連結・接続するための技術や構造、またはその接続部分自体を指します。継手は、素材の種類、用途、使用環境に応じて多種多様な形状や方法があり、構造の安全性や耐久性を大きく左右する重要な要素です。
継手の種類
継手には、主に以下のような種類があります。
1. 木造建築における継手
木造建築では、柱や梁などの構造材を連結するために継手が使われます。日本の伝統建築では、釘を使わずに木材を組み合わせる高度な継手技術(仕口や枘継ぎなど)が発達してきました。代表的な継手には、鎌継ぎ(かまつぎ)、蟻継ぎ(ありつぎ)、腰掛け蟻継ぎなどがあります。これらは木材の形を加工して噛み合わせることにより、高い強度と美しさを両立させています。
2. 鉄骨構造における継手
鉄骨構造では、鋼材同士を接続するために継手が使われます。方法としては、溶接継手、ボルト継手、リベット継手などがあります。溶接継手は強固で気密性にも優れているため、高層ビルや橋梁などの構造物で多用されます。一方、ボルト継手は分解・再組立てが可能で、施工性に優れています。
3. 配管における継手
配管においては、パイプ同士を接続するために継手が不可欠です。この分野では「継手(フィッティング)」と呼ばれる部品が使われ、材質や用途によってさまざまなタイプがあります。たとえば、エルボ(曲がり)、ティー(分岐)、**ソケット(直線接続)**などがあり、樹脂製・金属製など素材も多様です。
継手の役割と重要性
継手の最も大きな役割は、部材同士を安全かつ確実に接続し、構造物全体の強度と機能性を確保することです。継手の選定や設計が不適切であると、構造の弱点となり、地震や風、荷重などの外力によって破損するリスクが高まります。特に耐震設計においては、継手部の強度や変形性能が構造全体の安全性を左右します。
現代技術と継手の進化
近年では、3D CADや構造解析ソフトの普及により、継手の設計がより精密になり、性能の高い接合方法が開発されています。金属や樹脂の接着剤を用いた継手や、炭素繊維などの新素材に対応した継手技術も進化しています。また、プレハブ工法やユニット工法では、工場で事前に継手を加工・組立てしておくことで、現場での施工効率を大幅に高める工夫もなされています。
