工場用語辞典

熱交換器 【よみ】 ねつこうかんき 【英語】 Heat exchanger

異なる温度の流体(液体または気体)同士が直接混ざることなく、熱だけを効率よく移動させる装置です。たとえば、冷たい水を温かい空気で温めたり、熱い蒸気を冷水で冷ましたりするときに使われます。エネルギーの効率的な利用が求められる現代社会において、熱交換器は産業・家庭の両方で重要な役割を果たしています。

2. 熱交換の基本原理

熱は「高温から低温へ」と自然に移動します。熱交換器はこの自然の原理を活用し、2つの流体の間で熱を移動させます。たとえば、エンジンから出る高温の排気ガスの熱を利用して冷たい空気を温めるといったように、無駄になっていた熱を再利用することが可能です。

このとき、2つの流体は通常、金属などの高熱伝導性の壁を挟んで流れるため、直接混ざることはありません。これにより、流体の性質を保ちつつ、熱だけをやりとりできます。

3. 熱交換器の主な種類

熱交換器にはさまざまな種類がありますが、代表的なものを以下に紹介します。

(1) シェルアンドチューブ型

このタイプは、筒状の「シェル(外殻)」の中に複数の細い管(チューブ)が入っており、2種類の流体がそれぞれシェル側とチューブ側に流れる構造です。石油化学プラントや発電所など、大規模な産業設備で広く使用されています。

(2) プレート型熱交換器

薄い金属板(プレート)を何枚も重ね合わせ、板の間に流体を交互に流すことで熱を交換します。コンパクトで熱伝導効率が高く、食品加工、空調、暖房システムなどに多く用いられています。

(3) 空気熱交換器(エアヒーター)

空気と別の流体の間で熱を交換する装置で、乾燥機や換気設備などに使われます。たとえば、工場で使われる排気ガスの熱を、外気を温めるために再利用するケースがあります。

ウイルテック公式求人サイト「ウイルタス」で仕事探し!製造業やエンジニアを積極採用!全国各地で面接、面談、登録を実施中。
ウイルテックでお仕事を見つけませんか?画像をクリックしてお仕事情報をチェック!

4. 使用される分野と身近な例

熱交換器は多くの産業だけでなく、私たちの生活の中にも数多く存在しています。以下はその一例です。

(1) 家庭用エアコン

エアコン内部には冷媒という気体が流れており、室内機と室外機でそれぞれ熱交換器が使われています。室内では空気から熱を奪って冷やし、室外ではその熱を外に放出する仕組みです。これにより、効率よく冷暖房が可能になります。

(2) 自動車のラジエーター

自動車のエンジンは運転中に大量の熱を発生させます。この熱を効率よく外部に逃がすために使われているのがラジエーターです。エンジンを冷却する水が熱を吸収し、ラジエーターで空気と熱交換して冷却され、再びエンジンに戻ります。

(3) 給湯器

ガス給湯器では、燃焼によって発生した熱を熱交換器を通して水に伝え、お湯として使用します。近年では、排気の熱まで利用する「エコジョーズ」のような高効率型給湯器も登場しており、省エネ性能が向上しています。

5. 熱交換器のメリットと課題

メリット:

  • エネルギー効率の向上:廃熱を再利用できるため、燃料の消費を抑えられる。
  • 環境負荷の軽減:二酸化炭素の排出削減に貢献できる。
  • コスト削減:燃料費や電力使用量が減少する。

課題:

  • 汚れや詰まり:長期間使用すると内部にスケール(汚れ)がたまり、熱交換効率が低下する。
  • 腐食や劣化:高温・高圧環境で使われることが多く、材質の選定が重要。